8枚目 RS VS PoN




紅崎家での歓迎会の次の日の夕方、紅崎の部屋にはメンバーが集まっていた。


「さて、今日は学校を見に行こうと思う。」

「そういやしらばく休校だったな、面白そうだし行こうぜ!」

紅崎の突然の提案に簡単な理由で賛同する理典。その尖った頭には既に未来を描いているのだろうか。

「もしかして修復作業でもしにいくのでござるか?」

「いや、どちらかというと調査だな。」

慈善活動にも積極的なハリモト。やはり他のメンバーとは違った視点から物事を見ることが出来るハリモトはチームでは重要なメンバーなのかもしれない。しかし紅崎はあくまでも自分の利益を優先する姿勢だ。

「怪物の痕跡でも見に行くのか?なかなかに面白いな。」

「まぁもしかしたらもっと面白い展開になるかもな!」

が、そんな紅崎もチームの中では珍しく、面白いかどうかだけで行動する面子とは考え方が違うようだ。シンの不謹慎にも程がある発言に乗っかかる理典。

「…………」

ただ単に楽しんでいる2人を見てため息をつきつつも、夜に向けての準備を始めていた。




その日の夜、メカメカしい校舎の傍らで、紅崎たちは瓦礫をかき分ける作業をしていた。

「何か見つかったか?」

「いや、何も。」

普段のジャケットとは打って変わって作業着姿で瓦礫をかき分ける紅崎とハリモト。流石に普段の服のまま作業をする訳にはいかなかったのだろう。

「こっちもダメだな。」

「こっちもダメだ、見つからないな…………」

一方の理典は学ランにバッチリと決めたリーゼント、さらにはその手のガントレットで粉々に砕いている。一方シンも普段通りの服装で、彼は空を見ては作業を再開し、という作業を繰り返す。が、普段から一緒にいるだけあって誰も突っ込まない。この場にベンジャミン、もしくはダイヤがいればツッコミ要因になる事は間違いないだろう。

「…………!?静かにしろ!」

「了解。」

何かを感じ取った紅崎の小さな号令で一斉に隠れる全員。


「ほうほう、これは使えそうだ。」   

紅崎が覗き込むと、紫のローブを覆ったモヒカン男と

「やったんだな!」

青いジャケットを着た巨体の男、

「兄貴!そろそろ帰りましょう!」

その中には赤いマスクを被ったヒーロー風の男と…………

「了解。」

どこかで見たことのある緑マスク、

「…………」

そしてインテリメガネの黒帯空手家が。




「こんな夜中の学校で随分楽しんでるな、ギブソン=レックス、そしてPhantomOfNightsの面々とSYSYまでいやがるのか。まさかお前らが組んでるとはなァ!」

紅崎は口角を上げて安心して彼らの前に飛び出す。

「あぁ、昨日の騒動の中でなくなった工学部の兵器を回収しにな。」

「そういう事なんだな!」

自信満々なモヒカン男ことギブソンと巨漢の発言を聴き、さらに紅崎は目を輝かせた。

が、次のある人間の発言で彼の笑みは崩れ去る。

「俺らもそれが目的だ!渡してくれ!」

理典だ。紅崎の後ろからはやってしまったか、というような感覚が刺さる。紅崎はギブソン達も来るであろう事を知っていて、連れてきた3人の能力を使って強奪をしようと考えていたのだ。が、最近補習と言う名の事情で活動に参加していなかった理典に詳しい説明をしていなかった。が、実はこれも紅崎の予想通り。理典はまっすぐな男であり、強奪などを嫌う、という事をギブソン側も知っていると考えていた。

「だが断る。」

ギブソンは良くも悪くも紅崎の予想通りの発言をした。が、ここから状況は一変する。サイオシーは仮面を外し、

「ブツは俺が持っていく。フィア、ギブソン、ヘルプタン、フラワー!お前らはこいつらを足止めしろ!」

と、普段の発言量などからは想像も出来ないような的確な指示を出した。

「了解!」

それにすぐに答えたのは最初に名前を呼ばれた赤マスク。連合チームのリーダーを差し置いて最初に名前を挙げられた彼はサイオシーから最も信頼されているのだろう。

「わーった、ただしお前の取り分は減らすぜ!」

次にその連合チームのリーダー。

「了解…………」

その次に答えたのが最後に名前を呼ばれた黒帯のほうであった。つまりフラワーだ。

「うーん、俺が足止めする相手は決めたんだな、理典ッ!」

巨漢ことヘルプタンは誰を足止めしたいか、それを考えていた。

「しゃあ!俺の出番が来たぜ!」

リーゼント理典、ここにありと言わんばかりのスピードで裏にあったバスケットゴールと教卓が扉の隙間から見える方向に突っ込んでいく。と同時にRS残りの3人も一斉に散らばった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る