4枚目 シンクロココロ
紅崎が対峙している怪物は動く岩の塊といったところだ。
(さっきあいつらに言ったとおりコイツが一番強い相手だ。時間稼ぎをしてあいつらの援護を待つかな。)
GYAAAAAAAAO
気が付くと怪物はすぐ近くまで近づき、攻撃を開始していた。
試作品の兵器である為連発はできないが、かなり高い破壊力を持っている。
「【ShineHand】『シールド』ッ!」
その言葉に反応してシアン色に光る右手は変化する。その形を維持するのならダイヤモンド程度の固さからゴムのような柔らかさまで自由自在だ。
「シールド」は盾の形に変形させるといったものだ。そしてその盾が相手のレーザーを跳ね返す。クレサキは盾を利用し敵の攻撃を防ぎながら後ろへと進む。
(確か工学部のレーザー砲は6発打ったらリロードしないといけなかったな。っと、次で6発目か。)
GYAAAAAAAAAAAAAAAA
「『マジックハンド』ッ!」
また、硬さを維持するなら約10mまで伸ばす事も可能だ。
GYOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO
怪物には紅崎の常時の腕力での攻撃は無意味そのもの。しかしこれも彼の狙いどおりだった。
「届いた、来いッ!」
紅崎は消火栓のホースを引き抜いた。
GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA
「学校には消火栓はあるもんだろ?これほどの岩の塊なら速度は遅いし地面を濡らせば滑りやすくなるから
多少の時間稼ぎにはなる…………!?」
GYAAAAAAAAAAAAAAAA
その次の瞬間、圧倒的なレーザー攻撃を加えた怪物。紅崎は間一髪で避けた。
「あぶなかったぜ…………さっきシールドで見ておいて良かった…………推論だけで動くもんじゃねぇな。じゃあいくぜッ!」
消火栓から大量の水が飛び出す。
GYAAAAAAAAAAAAAAAA
怪物の肉体は滑りやすくなった廊下のせいで動きが鈍くなった。
「オラァ!」
後ろから鳥のような怪物が紅崎を狙って突進してくる。
「!?」
紅崎は不意打ちに反応し、そちらを回避する。しかし…………
GYAAAAAAAAAAAAAAAA
「クッ…………なん…………だと!?」
怪物の強力なパンチをモロに喰らい、その場で気絶してしまった。
と、そこにシルクハットを被った赤いボサボサ髪の男が近づく。
「おっと、彼を殺させるわけにはいかないね。」
「チッ、俺もそこで倒れてるそいつも今はアイツに攻撃する手段はねぇ。」
「それなら助かったよ。ありがとうね」
シルクハットの男はそう言うと目の前にいた男を指パッチンと同時に何処かへ飛ばした。
「まぁ、ここからこっちに戻ってこれるかは彼次第だけどね」
「俺は…………死んだのか?」
ここは三途の川なんだろうか、と思い
「い~や、お前はまだ生きているZE!」
と、近づいてきたのは警察の格好をした青年。
「お前は誰だ?」
と、焦り気味に聞く紅崎。
「レリシュ=パーフィード。2日前にBBQ中に死んだただの死人だZE!」
「で、今の俺の状態は?」
「死にかけてるな…………とりあえず俺の魂を受け入れろYO、紅崎ッ!」
なんだこいつは。紅崎はそう思い、呆れた口調でこう返す。
「どういう事だ?」
「契約だ。俺がお前の身体を好きに使う代わりにお前の命を助けるって事だZE!」
「俺の身体を使う目的は?」
「人生を楽しむためだZE!」
話を聞いていると案外目的もある程度ハッキリしている。これなら生きるためにはやむを得ないと考える紅崎。
「…………やむを得ないな。で、どうすればいい?」
「我、レリシュ=パーフィードは紅崎終夜と契約し、肉体を拝借する代わりに生命力を与えるものとする…………ZE!」
その言葉が発せられた瞬間、レリシュと紅崎の精神体は光り輝き、彼らが目を開ける頃には契約は完了していた。
学校三階廊下
紅崎に取り憑いたレリシュが目覚めた時、岩の怪物が少女になっていた。
「2日ぶりの肉体だZE!おい、大丈夫か?」
「話しかけんなクレサキマジでウザいんだよッ!」
そういって少女はどこかへ行った。
(紅崎の体はどういう仕組みなのか分からんが大打撃を受けた時に攻撃者の怪物化を無効化するようだな…………なんかおかしい気がするけどまあいいだろうZE!それに紅崎の怪我はまだ完全に癒えてねぇ、とりあえず保健室に行くZE!)
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