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______________青緑の木々。


高校の中庭に植えられた木々は、

風に揺れ揺られ、葉の匂いを私たちに嗅がせている。


5回建ての校舎。今年で30年。



____の割には、外見は汚い。






「おはよ、咲」



「うん」





こうやって声をかけてくれる人たちに、私はいつも申し訳なさを抱えていた。

私はこうやって明るく振る舞えることが、出来ない。


黒い封筒を思い出す。



私はあれが手に渡った瞬間から、


工藤咲は、いなくなった。

私は、誰なのだろう。


こんなのは、私ではない。





「工藤さん」



教室に入ると、1人の男子生徒が声をかけてきた。

香西泰こうざいひろだ。



去年、委員会で一緒になったことがあり、少しばかり言葉を交わしたことがある。


私のこの変わり様から1ヶ月。


彼は私の異変にいち早く気がついた人物だった。





「これ、昨日借りてたやつ。ありがとう!」



「どういたしまして」





少し愛想笑いしようかと思ったけれど、彼の満面の笑みになんだか負けた気がして、


私は不貞腐れた子供のように真顔で目も合わせず言った。



私は、私じゃない。

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