何かとの距離感

そこにあるのは打ちひしがれて

朽ち果てた夢の欠片だけだ


その欠片さえ 見えなくなるほどに

粉砕されてゆく様を

どんな瞳で僕は 眺めているのだろか



此処に居る人は 泣かないでと

一生懸命に慰めてくれるだろう


其処にいる人は 苦しそうだと

目線を下げて僕の涙を確認するかもしれない


あそこにいる人は 人の気を惹こうとしていると

野次を飛ばしているかもしれない


何処かにいる人は 僕の存在にも気がつくこともなく

今を生きている



其処彼処(そこかしこ)で そんなことは日常の一部で

自分の距離から どの辺りかであり 

きっと僕自身も同じ事をしているに違いないと 自分に笑ってしまう



朽ち果てた夢の欠片で 手を切ってしまったり

一枚、又一枚と散る希望の花弁を

必死に受け止めたり


今も何処かで そんなことが起きている


近くだからこそ 自分以外の存在であっても

何か声を掛けることが 意味がなくても必要になり


どこかで利害を考えている 

それが遠くて 自分に遠くになればなるほど

声を掛ける必要性が 本当に意味があっても

今度は理由が曖昧で薄れてしまう


その自分の持つ距離感が とても邪魔だと思うのに

人はこれが無ければ 生きていく事に不便だという事を

とてもよく知っている

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