<長歌>メイデー (助けて五月)

落陽の緑の色した雨が降る

メーデーメーデー、こちら月

アポロはウサギに会いたきや?

西から昇ったお日様は

東の島に落ちまして

記号化された桜の木

英霊英霊、こちら敵

(明日がないから僕たちは?)

 芋虫が落ち葉を食らう

  路肩には雄猫の死体

   春先のサクラ芽吹く前

    虹色の枯葉剤降り

   保険証も失くしちゃったし

  変な顔鏡に映るし

 隣には誰も居ないし

散りぬるを花咲か爺

 ア・ベ・セも知らないまま恋

 枯れたのは蕾のままで

  咲かぬのはテングス病

  ただいっさいは過ぎてゆき

   鳴かぬから撃たれ墜つ鳥

  羽ばたけど沼地に沈み

  待てど手ばかりぢっと眺め

 柔らかな唇を欲し

 ラッキーストライク燻らせ

我が世誰ぞふしあわせ

 A for Alice, is a Clown, <アリスは道化のおんなのこ>

 Be for sure, it ain't frown. <べつに怒っていませんよ>

 C'est une fille de fantasie, <空想好きで気ままなの>

 Dégagea sa mère, pour son libre. <だから母さん殺したの>

 Elle n'a pas encore d'organes génitaux, <嘔吐く性器はありません>

 Frogs 'n' snails 'n' puppy-dogs' tails, <ふさふさ尻尾に蛙、ヘビ>

 Girls're made of all such things. <五臓はそれで出来ている>

――はいはい、芝居は終わりです

  肝腎なのはお金でさ

  心がなくても投げ入れて

  (卑しいと思う?) 肉付きは

  悪くないでしょ僕の肢体

  どれだけ身売りを出来るかが

  道化と娼婦の要でさ

――パフェというのを食べたいな

  完璧という名の菓子を

  ぜんぶ甘いので出来ている

  アイスクリーム、チョコ、ヴァニラ……

  (花の寿命は短くて

   4時間のうちの生殖を

   奴隷の子供が見つけたの)

  僕に性器は無いけれど

  一度でいいから射精したい

  白くてあまくて苦いやつ……

――栗の花で無く銃を呉れ

  (沼からナイフは届かない

   ここから人を撃てるよに)

  黒くて堅くて重いやつ……

  いまどき女の子供にも

  男根はあるものですよ

  甘たい蜜を啜るのは

  孵化した蝶だけ 芋虫は

  キャベツの重さに潰されて

  空の重さを夢想して

  客の精液飲んでいる

――昨日はどうしていたのかな

  今日はどうしているのかな

  明日はどうしていくのかな

   僕らに明日は無いけれど

    後悔ばかりあるけれど

    煙草の本数増えるけど

   蝶のナイフは錆びるけど

    始めから間違えたから

     もーちょいブスじゃなかったら

     もすこし平和だったなら

     (ほら曼珠沙華が咲くから)

     愛されていたならだから、

    恋恨レンコン銃に弾丸を

    1/6の運だめし

   5回引き金引いたなら

   最後はあなたを撃ったげる

  どうせ終わった人生ですから


<反歌>

 陽は落ちてまた天昇る揚羽蝶(道化のアリスは芋虫のまま?)

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