香「ねぇ!」鷹谷「うるせぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

前回までの☆ARASUZI☆

馬鹿に騙されて意味の分からない部活に連れてこられ訳の分からない説明をされた後なんか丸め込まれて渋々仮入部して意味深な発言を聞いて翌日に朝活動に来たら中学生が毒を吐いたり土下座ステンバイしだしたりするから床から引き剥がそうとしたらその場面を後輩に目撃されてロ〇コン疑惑がかかったらしく気まずい空気になってそれを読んだ先輩が何とかしようとして何ともならなくて爆死したら空気の読めない馬鹿が来た



 総括 もう嫌だ



(゜Д゜〃)(゜Д゜〃)(゜Д゜〃)(゜Д゜〃)(゜Д゜〃)



「おっはよー!」


 馬鹿が、馬鹿が来た。これ以上ないタイミングで馬鹿が来た。何でこのタイミングで来てくれるのだろうか。鷹谷は思った、今来るなよ、来るならもっと早く来い、一番先に来てろ。というかもういっそ来るな、と。ジーザス


「あ、おはようっす」


 逃げ場を見つけたと言わんばかりに鏡か高速で返事を返す。そのスピードと言ったら絶滅寸前の珍獣が初めて同類を見つけた時のようだった、おそらく絶滅寸前の珍獣というのは馬と鹿のハイブリットだろう


「………おはよう花岸さん」


 一泊遅れて謙太郎が返事を返した。その表情にはいかんともしがたい絶望の色が浮かんでいる。


 鷹谷は謙太郎がこの表情にシフトする瞬間を見ていたので何故か申し訳無い気持ちになった


「…………………………」


 泉菜に至っては返事を返さない、というか珍獣馬鹿かおるの鳴き声が耳に入っているのかどうかがまず怪しい、顔をこちらに向ける様子すら無い。


 その代わりとでも言わんばかりに背中が「空気の読めない人は来なくて良かったのに」と語っている、何故実験好きな女子中学生が背中で語る等という芸当をしているのだろうか


 そして鷹谷の返事だが、そんなものは無い。表情も知らない。


 部室の中、それも自分の視線のほぼ延長線上と言っていい位置に鏡(壁にかけるタイプ)があるはずなので少し首をそちらに向ければ表情は理解できるはずだがそんなことはどうでもいい、というか正直だいたい予想がつく


 しかし空気の読めない馬鹿はこちらが何もせずとも話し掛けてくるものである


「おっはー!鷹ちゃん!どうかした~?」


「………………………」


「ほら、黙ってちゃ分からないよ?」


「……………………………」


「ほらほら~、まるで『部室に入ったらいきなり後輩に毒吐かれてその後いろいろあってロリ〇ン疑惑かけられた』みたいな表情してるよ~?」


「分かってるじゃねぇか…………」


 一体何が「黙ってちゃ分からない」のだろうか?相も変わらず読んでほしくないところだけを的確に読みやがってくれる幼馴染みである。ひょっとしてこいつは珍獣ではなく妖怪か何かではないのだろうか?


「え?何?正解だったの?」


 しまった、今のは自白に近い反応だった。しかし冤罪なのに自白とは実に奇妙な状態である。自白が最大の証拠であった古き悪しき時代の官憲のようである。


「ちょっと、何?正解だったの?」


 それにしてもあの柚子音という部長はなかなか姿を見せない。時刻は8時過ぎ、すでに彼女の指定した時刻になってし―


「ちょっと、ねぇ、鷹ちゃん聞いてる?」


 …すでに彼女の指定した時刻になってしまっている。そもそも本来部長というものは責任がある職であり、少なくとも時刻オーバーで来るようなものではないのでは―


「ねぇ、ねぇ、鷹ちゃん」


 ……少なくとも時刻オーバーで来r―


「鷹ちゃぁぁぁぁぁぁん!!!!!」



「うるせぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!」



 ドフッバキッ!!


 言葉と同時、否、言葉より僅かに早く放たれた拳は正確に香の眉間を捉えた。これまでボクシングをはじめとして様々な格闘技を齧ってきたのが良かった。その努力の結晶()を眉間に喰らった珍獣はドアを巻き込んで吹っ飛び、声をあげる間も無く気絶した


「………馬鹿が」


 今しがた香を吹っ飛ばした右手をおろしつつ、おそらく聞こえていないであろう捨て台詞を吐いた




 ――――ちなみにやたらと怯えた目で自分と香を見つめている泉菜の姿が視界のすみに映っている気がするのは気のせいだろうか

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