ヒシェス
僕らが帰って、それから。
たいしたことない、流れる様な現実。ちょっとしたら入団、だから最初は自己紹介というありふれた儀式を執り行った。
僕ら二人は機関の面々を前に直立していた。アンクルが自己紹介をしようと、列より前に立とうとすると他の、僕が見た事のある人が手を挙げる。
詳細な記憶は無いが、見た筈だ。
その人物はキツく口角を上げていて、僕には彼の考えは全く分からなかった。アンクルは怪訝な眼差しを向けるが、顎を撫でてその場で静止した。
「ヒシェス・ミゴです。お噂は予々、お二人が王の力を所有している事も存じています。我々の仕事に多大な恩恵を賜る事を感謝します」
嫌味の籠った感じ、慇懃無礼というか、唯の皮肉一歩手前の悪口だ。金髪はギラギラと不快にこのロビーの照明を反射している、そう感じるのは僕の感情の所為で間違いない。
僕は心の中を、不快感で満たしていた。あくまで心の中のつもりだったのだが少なくともルミナには伝わっていたらしい。
「目付き、悪いよ」
耳元でそう囁かれて、こそばゆく感じた。確かに、目元に力が入っていた気もして、肩を落として気を軽く保つ。
次は女性、ステユシェラさん。赤髪のそばかすのあるティーンエイジャーの様な顔の造形で垢抜けない感じ。服飾も黒のスーツで背伸びした学生の様に感じた。
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