第四話 エプロンとパイプ椅子
――――薄暗い畦道を走る。
走る、走る、ひたすら走る。懐中電灯を握り締め、夜風で波打つ稲穂を横目に、草と砂利を蹴散らしながら進む。カエルと虫の鳴き声で満たされた暗がりの中、小さな光源を目指して走り続ける。
真新しいスニーカーが泥溜まりと水溜りに没し、靴下まで濡れ、スラックスの裾に泥が跳ねる。山からの吹き下ろしが、木々を不気味にざわめかせ、木の葉が舞い散った。その風には、堆肥とは根本的に異なる生臭い匂いが混じっている。
伸び放題の雑草が倒れていて、不自然に揺れていた。懐中電灯の光条で雑草の分け目を貫くと、そこには丸まった男の背があった。その手元では、ちかりと何かが光を跳ねる。汗が浮いた禿頭が振り返る前に、その両脇の下に腕を差し込んで抱え上げ、そのまま仰け反って――――
「ぐげあっ!」
強かに膝をぶつけ、残忍は悲鳴を上げた。
「何だよいきなり」
鬱陶しげに振り返ったのは、前の座席に座っていた先輩レスラーの牛島実だった。すんません、と平謝りしてから、残忍は鈍く痛む両膝をさすった。
「シノブちゃん、寝ぼけた?」
通路を挟んで向こう側の席に座る赤木進に問われ、残忍は曖昧に返した。
「はあ、まあ、そうッスね……」
「さっきのシノブちゃんの手付きからするとフルネルソンだろ、で、その後は両足を上げる……というか踏ん張ろうとしたけど足場がなかったせいで仰け反ったみたいだから、ドラゴン・スープレックスか?」
最後部の座席の端を陣取っていた大上剣児は、残忍の座席の背もたれに寄り掛かってきた。
「けど、先輩がドラスー出したことってないですよね?」
中程の座席に座っていた鬼無里克己が顔を出し、不思議がる。
「ドラスクは何度かあるけどな。ドラゴン・リングインも、うっかりやっちまったことがある。……うー、なぁーんか夢見てた気もするんスけど、なんだったかな」
両膝の痛みと衝撃で、綺麗さっぱり吹っ飛んでしまった。古傷が疼かなきゃいいんだが、と懸念しつつ、残忍はバスの外に目をやった。見渡す限りの田園地帯で、四角く区切られた田んぼには稲が残っておらず、既に刈り取られた後だった。その奥にはどっしりとした山脈が横たわっている。山の斜面には果樹園があり、濃緑の葉の下から覗く果実は熟している。収穫シーズンも間近だ。
超日本プロレスのレスラーと関係者を載せた大型バスと、会場設営に不可欠な機材を積んだトレーラーの群れは高速道路をひた走っていた。原則的に、プロレスラーはバスで移動する。その方が手っ取り早いし、色々と都合がいいからだ。しかし、移動する距離がとんでもなく長いので死ぬほど退屈である。暇潰しにゲームに興じる者もいれば、試合の疲れを癒すためにひたすら寝る者もあり、ブログに載せるコラムを捻り出そうとする者もあり、とそれぞれのやり方で移動時間を消化している。
「稲の収穫シーズンって十月だとばっかり思っていたけど、そうじゃないんだなぁ。この辺の田んぼ、ほとんどが収穫済みだ」
すこぶるどうでもいいことを呟いたのは、アギラ――否、
「あー……。品種にも寄るッスけど、この辺は九月ッスよ」
「一律じゃないんだ」
「そりゃそうッスよ、地域差があるんスから。米は元を正せば熱帯の植物ッスから、温暖な地方が早いんスよ。あと、寒流と暖流の影響もあるッスね」
「なるほどなぁ」
「つか、なんでそんなことを気にするんスか」
「なんとなくだよ。ありがとう、シノブちゃん。ちょっと解った」
「大したことじゃないッスよ」
これだから、この男は煩わしい。覆面の下で顔をしかめた残忍は、ふと思い出した。鷲尾明良は生まれも育ちも東京だということを。だから、二つ名が“摩天楼の荒鷲”なのだ。都会育ちのお坊っちゃんであることを暗に揶揄しているのだが、字面は格好いい。少なくとも、残忍の二つ名である“ハードコア・ジャンキー”よりは締まりがある。超日本プロレスの場合、レスラーの二つ名は社長が考えて決めるものなので文句は付けられないのだが。
「つか、なんでベビーのアギラさんが俺らのバスに乗ってんスか」
移動の際、ベビーフェイスとヒールは別行動を取るのだが、あまりにも自然に話し掛けられたので、プロレス業界の御約束を失念してしまった。鷲尾は今更ながら気まずくなったのか、照れ笑いする。
「うっかり間違えちゃって」
「なんスかそれ、天然にも程がないッスか」
「次の休憩の時には向こうのバスに戻るから、それまで勘弁してくれないかな」
「うへへツイートしちゃおう、拡散希望って付けて」
「わあそれはやめて、ちょっと!」
鬼無里がスマートフォンを手にしたので、鷲尾は大いに慌てた。口だけで実行はしないだろう、とは思うのだが、万が一という場合もある。鬼無里の隣の席に移動し、鷲尾は後輩を思い止まらせようと必死になっている。先輩の沽券の欠片もない有様に、残忍は心底げんなりした。それでもあんたはプロレスラーなのか、と。
ああ、苛々する。
サービスエリアにて、男達は一時の休息を得た。
残忍もトイレやら何やらの用を足し、バスの揺れが染み付いた体を解すべくストレッチをした。ついでにスクワットもして、一日分のノルマの半分をこなした。
現地に到着したら三時間もしないうちに試合が始まるので、今のうちに体を少しでも温めておかなければ。首の筋を伸ばしていると、革ジャンのポケットに突っ込んであったスマートフォンが鳴った。メールの着信音はメキシコ時代の残忍の入場曲である。
「ん」
メールの送信者は須賀夕子。
【忍さん、移動お疲れ様です。今頃は、サービスエリアで休息を取られているのでしょうね。今夜の試合も頑張って下さい、見に行きます。 夕子】
「……は?」
見に来てもらえるのは結構だが、ここは山陽地方で自宅は東京だ。交通網を駆使すれば追いかけられないこともないだろうが、遠征してまで見に来るほど大きな試合はない。残忍が困惑していると、携帯電話が再度鳴った。
【横断幕も作りました。紙テープも一杯一杯巻きました。色は黒と紫です。私が応援していれば、きっと他のファンの方々にも忍さんの良さが伝わるはずです。だから、頑張ります。 夕子】
「お……」
横断幕。なんという甘美な響き。その写真を撮ってくれ、送ってくれ、と残忍はメールを返信しようとしたが、ぐっと堪えて思い止まった。横断幕を掲げられた感動は、是非とも実物を目にして味わいたい。その瞬間を想像するだけで、力が入る。
「ッシャアアアアオラァアアッ!」
力が入り過ぎて余ってしまい、残忍はあらぬ方向に叫んだ。
「うるっせぇな」
すると、いきなり後頭部を引っぱたかれた。
「……すんません、つい」
残忍は照れ隠しに笑いつつ、振り返った。手の主は武藏原だった。他の客が困っちまうだろ、と武藏原は残忍をもう一発叩いてから、手近なベンチに腰を下ろしたが、動作はぎこちなく、腰を曲げる際には顔をしかめていた。
「腰、どうかしたんスか?」
「芳しくはねぇな」
色々と手は施しちゃいるんだが、と武藏原はぼやきながら、しきりに腰をさすった。
「アギラさんとのタッグを組まなかったのも、腰がアレだからだったんスか?」
「そいつはまあ、ファルコと組ませた方が売れるだろう、って社長が判断したからだが、それもないわけじゃねぇ。これでも気を付けちゃいたんだがなぁ……」
武藏原は心底悔しげに舌打ちし、赤木の野郎、と吐き捨てた。対戦相手が痛めている部位を敢えて痛め付ける、というのはプロレスの御約束であり、試合中に同じ部位を何度も何度も攻めるのもまた御約束だが、もちろん痛い。痛くないわけがない。残忍もうんざりするほどやられたが、あれをやられ続けると心が折れそうになる。いくら体を鍛えても、関節だけは筋肉でカバー出来ないからだ。
タッグトーナメントが始まる前に、武藏原は赤木と試合を行い、熱戦を繰り広げた。思い返してみれば、あの試合では赤木は執拗に武藏原の腰を狙い、バックブリーカーを仕掛けていた。そればかりか、武藏原の代名詞である巌流島を繰り出していた。掟破りというやつだ。
「それが今になって出てきやがった。畜生」
武藏原はため息交じりに漏らし、短く刈り込んだ髪を掻き乱した。
「武藏原さん、昔っから腰悪かったッスもんね」
超日本プロレスに入門したばかりの頃、残忍は武藏原の付き人をしていた。だから、彼の腰が爆弾を抱えていることも、騙し騙しでリングに上がっていることも、腰の負担を少しでも軽減して選手生命を一日でも伸ばそうと苦労していることもよく知っている。その腰を集中攻撃するのだから、赤木は相当ダーティな男だ。
「だからって、余計な気を遣うなよ」
武藏原にどつかれ、残忍はつんのめる。
「ユニット対抗戦には俺は出ないッスよ、大上のセコンドッスから」
「お前が大人しくしているわけがないだろうが」
「そりゃまあそうッスけど」
「そろそろバスに戻っておけ。あと、アギラは追い出せ」
「あの人ってなんなんスかねぇ、ホントに」
「締まりがねぇのはケツの穴だけにしておいてほしいもんだ」
「そうッスよねぇ」
などと話しながら残忍は武藏原と共に駐車場に向かうと、若い女性の黄色い歓声が上がり、人だかりが出来ていた。その中心にいるのは、考えるまでもなく大上と野々村だった。長旅の疲れなど一切見せず、どちらもファンサービスに徹していた。リングの上のキャラの通りに振舞い、握手にも写真撮影にもサインにも応じていた。これだからトップレスラーは、と残忍はやっかみつつ目を逸らすと、もう一つ人だかりが出来ていた。そちらの中心にいるのは、マスクを被ったアギラとファルコだった。彼らは子供達に絡まれていて、空中殺法を見せろと無茶振りをされている。アギラは戸惑うばかりだったが、ファルコは子供達を上手にあしらっていた。
「なんなんスかねー、ホンット」
マスクの下で残忍が渋い顔をすると、武藏原は肩を揺する。
「悔しかったら、リングでやりかえすことだ」
「そりゃそうッスけど」
それが出来ないから、苦しんでいるのではないか。残忍はそう言い返したかったが、先輩であり師匠である武藏原には到底言えないので、ヒール組のバスに乗り込んだ。それから、しばらく寝た。
横断幕を楽しみにしすぎたからか、夢に見てしまった。
本日の試合会場は、市民体育館である。
学校の体育館に毛が生えたような建物で、観客の動員数も大したことはないし、タイトルマッチもない。だが、その分、ファンとの距離が近い。先日の超次元夏祭りのような大規模な大会とはまた違った意味で気合が入る。残忍が生まれて初めてプロレスを見たのも、地元の体育館での地方巡業だったからだ。小学四年生の頃、父親に連れられて超日本プロレスを観戦したのが全ての始まりだった。
試合が始まっても携帯ゲーム機をいじってばかりいた子供が次第に顔を上げ、リングを食い入るように見つめ、いつしか拳を振り上げて応援するようになる様を何度も目にしてきた。それは幼き日の須賀忍であり、いずれは残忍と同じ道を歩むことになるのかもしれない、と思うと胸に迫るものがある。
もっとも、そういった子供達が憧れるのは自分ではないだろうが。体育館のステージ裏にある搬入口の奥で、ケンドースティックを手にした残忍は大上剣児の背を見上げていた。デビュー当時は短髪だったが、今は長髪にしているので、オオカミの尻尾のように一括りにしてある。大上はガウンではなく黒い革のロングコートを着ていて、旧ドイツ軍を思わせるデザインの軍帽を被っている。ヒールユニット・悪の秘密結社のリーダーの座に就いてからは、ずっとこの衣装だ。コートの背中には、牙を剥いたオオカミの刺繍が施されている。その腰に巻かれているのは、SJPWヘビー級王座ベルトである。
花道を囲むように設置されているスピーカーから、大上の入場曲が流れ出す。ジャーマンメタルをアレンジした曲で、激しい重低音による振動がリングシューズの底から伝わってくる。イントロが終わってオオカミの遠吠えが聞こえたところで、大上は肩で風を切って歩き出し、照明で白んだ搬入口ならぬ入場口を抜け、そして。
「さあ、狩りの時間だぁっ!」
左右から注がれたスポットライトを一身に浴び、大上はお決まりのセリフを叫んでからポーズを取る。両手の指をオオカミの牙に見立て、会場全体に睨みを効かせる。途端に、それまでは控えめだった歓声が大爆発した。ヴェアヴォルフ、ヴェアヴォルフ、ヴェアヴォルフ、とのチャントも上がる。若い女性の声が多い。大上に続いて、セコンドである残忍と牛島も入場したが、今度は牛島に対するチャントが上がった。こちらは男性の声が大多数である。
リングに上がってポールに昇り、アピールしている大上を横目に、残忍はそれとなく二階席を見回してみた。他のレスラー達の名が躍る横断幕の合間に、それはあった。すぐには信じられなくて二度見して、やっと頭に入ってきた。《残酷上等 残忍》との横断幕が掲げられていた。他の横断幕の半分程度だが、それでも横断幕は横断幕だ。夢に見たものよりも小さかったが、猛烈に嬉しかった。
残忍はマスクの下で大いににやけてから、セコンドの位置に付いた。牛島は残忍の異変を察知して二階席を見回し、理由を察すると、はしゃぐんじゃねぇ、と小声で咎めてきた。この分では、後でいじられるだろう。
照明が転調し、大上の赤から武藏原の青に切り替わる。和太鼓と法螺貝、そして刀の効果音が入った入場曲が響き渡った。巌流島の決闘を思わせる荒々しい波音が轟くと、スポットライトが入場口を輝かせ、“拳豪”武藏原厳生が重々しく現れる。その肩には、SJPW世界王座ベルトが掛けられている。彼の背後を固めるセコンドは、外人レスラーにして超日本プロレス随一の巨漢、“重戦車”パンツァーと、ずんぐりとした体形のベテランレスラー、“突貫砲弾”団五郎だった。もう一つのヒールユニットであるブレン・テンの売りは、なんといってもその迫力だ。残忍は武藏原に目を掛けられていながらもブレン・テンに参入させてもらえなかった理由は、残忍の体格の小ささが原因である。一人だけやけに小さい奴がいると、ユニット全体が見劣りしてしまうからだ。
陣羽織に似た作りのガウンを脱ぎ捨て、武藏原はリングに上がった。武藏原がリングをぐるりと一周してアピールしている間に、大上はロングコートと軍帽を脱いだ。残忍はすかさず衣装を受け取り、リングの下に引っ込めた。レフェリーが先にマイクを渡したのは、大上だった。
「いつになったら、俺達の時代だってことを解ってくれるんですかねぇ? 往生際が悪いにも程がありますよ」
大上がふてぶてしく大口を叩くと、武藏原はすぐさまマイクを奪い取って言い返す。
「仔犬にキャンキャン喚かれたところで、小うるさいだけだ。いいか、若造。時代なんてものは、作るんじゃない。出来るんだよ」
悪の秘密結社とブレン・テンの抗争が始まって以来、二人は似たようなやり取りを何度も繰り返している。その都度、違う言葉を捻り出しているのだから、どちらもプロだ。
高らかにゴングが鳴り、両者、身構える。身長は大上の方が高いが、体の厚みは武藏原の方がある。どちらも一定の距離を保っていたが、両手を突き出して指をがしっと組み合わせ、手4つの態勢になる。両足の踏ん張りを効かせ、力比べをする。どちらも額を突き合わせて睨み合っていたが、武藏原の頭突きで均衡が崩れた。
武藏原が手4つを解くと同時に大上を突き飛ばし、大上がやや仰け反ったところで逆水平チョップを喰らわせる。鎖骨と肋骨の中間辺りに強烈な一撃を喰らうが、大上はリングシューズの底を鳴らして踏み止まった。更にエルボー、エルボー、エルボー・スマッシュ、ローリング・エルボー、とひたすら肘を打ち込んでいく。
だが、この程度でやられるような大上ではない。エルボーの連打が途切れた一瞬の隙を見逃さず、大上はその場で一回転して加速を付けて強烈なラリアットを加えた。ローリング・ラリアットであるが、大上が使った場合はベーゼフォイアという名前になる。
暗黒の炎という意味合いのベーゼフォイアをまともに受けた武藏原は、大上の腕を軸にして半回転し、背中からマットに倒れ込んだ。すかさず大上はピンフォールを取りに行くが、1カウントも取れずに返される。両者立ち上がり、武藏原が次の技を繰り出す前に、大上はロープの反動を利用して勢いを付けてからスピアーを喰らわせるが、武藏原は倒れない。それどころか、大上を抱えて頭上に担ぎ上げ――――背中からマットに叩き付けた。武藏原の代名詞である魅せ技、巌流島だ。
アレを喰らうとしばらくは起き上がれない。残忍はリング外でのセコンド同士の小競り合いをこなしつつ、試合の行方を見守った。大上が大技を立て続けに繰り出しているように見えるが、その実は武藏原が誘いを掛けていて、カウンターや自爆を狙っている。ヘッドロックや4の字固めといった絞め技で、武藏原はじわじわと大上の体力を削っていくが、大上はしぶとく切り返してくる。
子供達は大上の特撮ヒーロー顔負けの身体能力に歓喜し、年季の入ったプロレスファンは武藏原の技術の高さに唸る、好試合だ。
試合も佳境に入り、場外乱闘が始まった。武藏原が大上の頭を掴んでポールに叩き付けると、客席からは悲鳴が上がった。大上は額は割りはしなかったものの、さすがにこれは堪えたのか、少しだけふらついた。武藏原はこの好機を見逃さず、客席とリングを隔てるフェンスに大上を突っ込ませて最前列の席に転がした。大上が立ち上がるまでの間に、武藏原はエルボー・ドロップを放つ。腹筋で体重の乗った肘打ちを受け止めるも、ダメージは軽くない。それでも、大上は立ち上がり、パイプ椅子を蹴散らして足場を作ってから駆け出した。そして、二発目のスピアーが武藏原を貫き、ロープの外側にマットがはみ出した部分――エプロンに突き刺した。その瞬間、武藏原の凶相が歪んだ。大上は武藏原を転がしてから、残忍に目配せをする。リングに戻す前にもう一押ししろ、とのお達しだ。
「ッシャアオラアアアアアアアッ!」
やっと出番が来た。雄叫びを挙げた残忍は手近なパイプ椅子を掴み、折り畳んでから、エプロンに俯せになっている武藏原の背中へと狙いを定めた。腰には当てないように、されども威力は充分に、と細心の注意を払いつつも振り下ろした。
はず、だったのだが。
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