第4話 美少女二人とデート! 



 というわけで、話を戻して言うと俺は今、水奈と理沙の二人とデートの待ち合わせをしてるわけだった。あ、理沙もいたな。


 しかし、やはりなぜこんなことになったのかは解せぬままだ。


「うーん……」


 足りない脳みそを絞っていると横合いから声がかかる。


「待たせた?」


 水菜だ。


「いや、全然。つーか時間ぴったりだな。こういう時はちょっと遅れてくるのがセオリーなんだけど」


 待ち合わせ場所に現れた相手にそう言いながら、相手を観察する。


 胸元にブルーのリボンがささやかなアクセントになっている、薄い水色のワンピース。その上にはおるのは薄手の白いカーディガンだ。

 普段の淡泊さからくる、無機的な雰囲気が和らいでむしろ儚げな印象を与えるコーディネート。


 文句なし。良く似合っていた


「遅れてきた方が良かったの?」

「あ、いや。水奈はそのままでいいや。なんか無理して普通の事させるととんでもない事になりそうな気がするし」


 そういうのお約束って言うんだよな。

 俺、知ってる。


 なんか水菜見てると、妙に世間から浮世離れしてるっていうか、世間ずれしてる様に見えるんだよな。

 そんな風に思ってると水菜がいる方とは別の方から、声。


「ちょっと! こっちへの感想はないの」


 そういえばオマケがいたな。


「理沙、いたのか」

「いたのよ! さっきから! 水奈の隣にずっとね! 何か言う事ないの!?」

「あー、へー。可愛い可愛い」


 気付かなかった事への謝罪は横において、トゲトゲ怒りだす理沙を適当に褒めて、会話を終了。

 さっさと場所を移動する事にする。


「ちょっとぉぉぉっ!!」


 本当の所を言えばよく似合っていたのだが、何だか素直に褒めるのは癪なので軽く流してやったのだ。


 こいつもなかなか洒落て来た。


 まず黒髪ツインテールに良く映える白のワンピースに、桃色のカーディガンが目に入る。そんでもって細部に目を凝らすと意外な可愛いらしさを発見する。ワンピースのボタンは控えめだが十分に可愛らしい花の意匠だし、服の袖やスカートの端にはハート柄を基調にした手の込んだ模様が刺繍されている。


 うん、可愛いな。

 ただちょっとそれを素直に声に出して言ってやるだけの人徳がなかっただけで。

 普段もうちょっと素直なら、ここで褒めてやっても良かったのになぁ。残念だなぁ。


 真っ赤な顔で睨みつけてくる理沙を見つめていると、水菜が一言。


「理沙、嫌い?」


 そういうわけじゃねぇよ。ただ、何て言うか……。


「俺の中の内なる魂がこうしろって言ってるっていうか……」


 この良くない子猫ちゃんは、妙に人のよくない心をあおって来るんだよな。

 それに、言い負かした時の反応が面白いし。


 とりあえず、背後の理沙の抗議を危機ながら、俺達は向かうべき場所へと足を進めていった。


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