ハヌル、帰還
「ハヌル・コ博士、無事帰還しました」
アンサの号令で後ろの男達が一斉に敬礼する。ハヌルは恥ずかしげにしながら、レイに挨拶する。
「約束通り、帰ってきました」
「ハヌルちゃん」
レイが挨拶を返そうと口を開きかけた時、先にクルドが現れてハヌルの手を握る。
「どこも怪我してないかな。疲れただろうしお茶でもしよう」
疲れて抵抗できないハヌルをカフェテリアに連れて行こうとするクルドを止めたのはマルティンだった。
「クルド、仕事はこれからが本番だ。ハヌルさんのことはカンさんに任せて、お前は席に戻れ」
「はいはい」
ハヌルにウィンクして席に戻るクルドを後目に、レイはハヌルに先に休憩を取るように言った。
アンサの部隊は引き続き任務にあたるため、部屋に残った。これから軍事作戦が開始されるらしいことはハヌルも感じ取った。早くも軍用船舶都市をオーストラリア近海に差し向けたアリトシの行動力は敵ながら天晴れと言ったところだ。現代、どこを探しても他にはない武器を所持しているこちらに軍配が上がったが、次はどうなるかわからない。
ハヌルが部屋を出て、静まり返った室内で初めに声を出したのはレイだった。
「アリトシとの戦闘に関しては、
アリトシは
それから、スタリ・シビリの治安の悪化を防ぐため、国籍に関わらず観光客を帰国させる算段を進めています」
レイは一呼吸置いて、アンサ達に向かって言った。
「アンサさんの部隊には
アンサが了解と返答すると、クルドがイヤホンを片側だけ外して話に入ってきた。
「それじゃ、アンサちゃんはヴィナが今後どうするつもりなのか聞いといてくれないか。こっちは防衛態勢を整えるので精一杯で、人手不足なんだ」
レイはそれについて何も言わなかった。アンサは自分の識別番号で
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