キャンプと作戦会議と

「おはようございます。皆さまわかりますかこの状況が?」

 僕は一人だけテントの外に出ていた。

「皆さまお分かりのように、このチームに男子は僕しかいません」

 誰に話しかけるわけでもなく独り言のように呟く。

「そして、テントの中は女性が二人です。そんな状況で寝れるわけがありません」

「サリナの胸が押し付けられるし、ユキは僕の手を股に挟むしで、ほぼ寝れておりません」

 昨日の夜に、僕が外で寝ると言ったら、

「マスターを外で寝かせるわけにはいきません。それなら私が外で寝ます」

とか、

「マスターは、外でキャンプかニャ?ユキも外で寝たいニャ」

 とか、そこそこ恐ろしい事になりまして、結局みんなテントで寝ることになったのですが、さっき言ったように僕だけ眠れない事態になってしまいました。

 こうなると思ったから外で寝るって言ったのに。

 中を見てみると、二人ともまだぐっすり寝ていた。

「顔を洗いに泉の方まで行ってみようかな」

 先に顔を洗いに行くことにした。


「やっぱり綺麗だな」

 泉を前にして改めてその美しさに惹かれていた。

 これからどうしようか、記憶は戻らない。

 しかし、ここで焦っては行けないな。

「難しく考えなくてもいいや、僕は僕のペースで良いよね」

 焦りはミスに繋がるから、ここはゆっくりと進もうと決心した。

「マスター、おはようございます。お早いのですね」

 テントから泉まで来たのか、サリナが後ろから声をかけてきた。

「おはようサリナ。それにしても、どうして僕がここだってわかったの?」

 僕は位置を知らせてないし、テントから近いとはいえ、すぐに来られるとは思ってなかった。

「それは、マスターの心を...なんでもありません」

「まさか、また僕の心を?」

「いえいえ、そんなことは決して、マスターが泉の美しさに惹かれているところを読んでなんて」

 これは彼女なりのボケなのかな?

 ツッコミたいけど、いろいろと負けな気がするから会えてスルーしようか。

「つっこんでくださいよマスター」

「サリナ、あれ程心を読むなと言ってるのに」

 彼女なりにボケていたようだ。

「サリナがここに来たってことは、テントにはユキ一人なんじゃないか?」

「そうですね」

 このくそ広い森でテントに一人はまずいな。

「心配だから早く帰るぞ」

「わかりました」


 全力でテントに戻った。

「怖かったニャー、起きてみると誰もいなくて、ユキは置いていかれたのかと思ったニャ」

 今にも泣きそうな顔で訴えかけて来た。

 そんな想像をしていた時代が僕にもありました。

 実際には、テントに戻るとユキはまだ幸せそうに寝ていた。

「心配して存した気分だ」

「何事もなくて良かったのでは無いでしょうかマスター?」

 サリナの言う通り何事も無くて安心した。

「そろそろ起こして、次の紅いオーラのモンスターを倒しに行こうか」

「おーい、ユキ起きろー」

「マスター、そんなところ触っちゃダメニャーむにゃむにゃ」

 まだ寝ているようだ。

「マスター、何をしているのですか?こんな所でエッチな事は控えて欲しいのですが」

「まってくれ、誤解だから。そんな気は無いから」

 そこから数十分ユキは寝続けた。


 やっとアルシアの街に戻ってこられた。

「やっと戻れた」

「さすがに疲れたニャー」

 長い徒歩の旅、それに敵モンスターも出てきて凄く消耗してしまった。

「今日はどこか宿で休もうか」

 疲れてしまって、今日はモンスターと闘うどころではない。

「賛成だニャー」

 どうやらユキもそうとう疲れたらしく、僕の意見にすぐに同意してくれた。

「サリナ、宿まで案内してくれないかな?」

「わかりましたマスター。一番近くの宿はあそこですね」

 サリナが指をさしたその先に、どう見てラ〇ホテルのような明るいキラキラしたホテルがあった。

「なあサリナ、あれラブ〇テルじゃないよな?」

「違いますよ。さすがにラ〇ホテルに案内はしないですよ」

 そうだよな、三人でそんなホテルに行くのはある意味まずいよな。

 サリナもそこら辺はわきまえているよな。

「だってマスター、パーティで行ってしまうとこの状態なら【自主規制】になってしまいます」

 そこじゃないんだよな。

「サリナ、僕はまことに遺憾です」

「なぜですかマスター?間違った事は言っていないですよ?」

「なんだろうな、間違った事しか言ってない気がする」

 まず僕はそこまでエロい事を考えているわけじゃないし、そんなプレイに興味があるわけではない。

「とりあえず宿に行かないかニャ?」

「そうだね。疲れたし早く休みに行こうか」

 みんなで今日の宿に向かう事にした。


「明日の作戦会議をいたします」

 泊まりに来た宿で、紅いオーラのモンスターをどうやって倒すかを会議していた。

「サリナ、モンスターの情報ある?」

「すいませんマスター、今回は何もわからないです」

 サリナの情報が無いとなると、けっこう厳しいな。

「ユキは何かないかな?」

 あれ、反応が無い。

「ユキ?」

 僕の隣で気持ち良さそうにぐっすりと眠ったいた。

「今日はよく頑張ったからな、たまにはゆっくり休ませてあげようか」

「そうですねマスター」

「サリナも、そろそろ休んでいいよ」

「ありがとうございますマスター」

 僕達のモンスターに対する作戦会議は終わりにすることにした。

 明日もまた忙しい一日になりそうだけど、絶対に記憶を取り戻さないと。

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