ある整備兵の独白
1RTにつき100文字書くというツイッターの遊びから。お題は整備兵
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ん、インタビュー? 俺にかい?
まあ、今なら少し時間があるから、付き合ってやるよ。
何について聞きたいんだ? いっとくが、俺はしがない整備兵だからな、そんな突っ込んだことは知らんぜ。
え、戦争のこと? 今やってるやつか?
ま、そりゃ思うところはあるわな。
いやはや、有機生命体ってのはどうしてここまで進化しないものか。ま、それを飯の種にしている俺が、そういう事に批判的になるのはよろしくないかもしれんな。せっかくあり付けた真っ当な職だ。
だからこのことについては、これ以上の言及を避ける。ここは書かないでくれよ?
ん、俺の事を聞きたい? 物好きな記者さんだねえ。まあ、良いよ、順を追って行こうか。
さて、今現在の俺の立ち位置だが、肩書をつらつら並べれば「地球解放軍 機動突撃軍第2053艦隊付き整備兵」だな。
地球解放軍ってのはご存じのとおり、中央政府……いわゆる地球本星のやり方に異を唱えた精強な戦士たちの集まりだ。
なんて。上役のプロパガンダじゃそういってるが、ま、実際は人類が宇宙にばら撒いたタネの成れの果ての寄り合い所帯みたいなもんだが……。あ、ここはオフレコな。
そんなもんに与してる俺が果たして真っ当かと聞かれたら困るところだが、少なくともこの職に就く前にやってたことに比べたら十分真っ当さ。なんせここは働きに応じた給料がちゃんと出るからな。家族も食わせていける。
俺の所属する「艦隊」は高速巡洋艦「N-10583697」を旗艦に駆逐艦が4隻の比較的一般的な編成で、人員は俺含めで4人しかいない。オートメーション化の結果って奴で、艦が5隻に対して艦長一人、航海士一人、艦載機の戦闘指揮者一人、整備兵一人で事足りる。そもそも実際に乗艦してるのはロボットだけで、俺たちはステーションで諸々の作業をこなすだけってのが最近の戦争だ。
その中でも比較的能力を要求されるのが整備兵、つまり俺の役目だ。
整備兵って言っても、別にレンチを振り回してネジを締めるのが仕事じゃない。そんなのはロボットにやらせた方が全然効率がいいし、ミスも少ない。整備兵の仕事は艦長たちが前線でドンパチやってるのをリアルタイムで確認しながら、整備の予定を組んでステーションの管理部門に投げる事だ。ドックの確保なんかもしなきゃならないから、近傍で行われてる他の艦隊の戦闘状況も逐一確認しなけりゃならない。よその艦隊整備兵との折衝なんかも全部俺の仕事だ。
部品の供給がおっつかなくなりそうなら、艦長たちに無茶を控えるように注進したりもする。おかげで疎まれることの多い職業だが、それなりにやりがいを感じてるんだぜ?
知ってるとは思うが、いま解放軍は冥王星軌道の突破に全力を挙げてる。地球軍も黙っちゃいねえから、戦争は激化の一方だ。1日で何百万の艦艇が沈めたり沈んだりを繰り返してる。俺たち整備兵も、毎日がてんてこ舞いの忙しさだよ。
でもそれがさ、なんだか"生きてる"って実感になるんだよな。昔みたいにサーバの隅っこで生きてるのか死んでるのかもわからんような日々を過ごしてたころに比べれば、それこそ雲泥の差だ。
お、そうこう言ってるうちに戦闘が終わったみたいだな。うちの「D-8809632587」駆逐艦が敵の戦艦を沈める大金星を上げたみたいだ。今日は祝杯だが、その前に船をねぎらってやらんとな……。
悪いが、俺はこの辺でお暇させてもらうぜ。まだ話を聞きたいんだったら、42時より後に第5サーバの「カンタ」って店に来な。一杯奢ってくれるなら、好きなだけ話してやるぜ。
それじゃあな。
――西暦が4000年を回ったあたりで面倒くさくなった人類が、新しく宇宙歴なんて言う暦を作ってからもう2000年が経つ。
遠く銀河の彼方までをその版図とした人類だったが、結局知的生命体との接触はかなわず、広い銀河に一人ぼっちとわかってからもなお、今日に至るまで
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