第 肆 話 フラグはあったんです。
まさかの卑弥呼さんと同クラになったのが判明したところで、自己紹介が終わるわけじゃない。一瞬超大物人物の”生まれ変わり”にどよめいたが、そんな事は日常茶飯事だ!と言わんばかりにすぐに次の人に順番が回った。
まー、そうだろーな。
三年生にはあの織田信長とかエリザベス一世がいるらしいし、二年には朝の猿野郎だろ、しかも確か…ハプスブルクの誰かがいるっつー噂だし。
ここにいればドッキリ仕掛けられても動揺しなくなりそうだな。つかいろんなことに対して耐性つきそう。
「えーと、じゃあ、次はー、虎宮だな、いいか?」
「ええ、よろしいですわ。今更ですが、自己紹介させていただきます。
「はーいそんな満面の笑みでモノホンの弓出すなー、弓違いも甚だしいぞー」
「ちなみに私の事を悪女と言った方、後で私のところに来てください。炭火焼きにしてさしあげますわ」
「はーいそれ犯罪だから、殺人だから、わかったからとっとと座ってくれ」
さすがの仲原も青い顔して厄介払いをするように手を振る。まさか入学式当日の自己紹介で殺人予告されるとは誰も思うまい。
つかこのクラスめっちゃ濃いなー。濃すぎだろ。とりあえず歴史好きなら誰でも知ってる有名人物ばっか。すでに二人もそうなんだけど、二人の時点でお腹いっぱいよ俺。
虎宮はちょっと納得いかないような顔して座って弓をしまった。で次の奴の自己紹介が始まったんだけど、そいつ、三条煌ははなんとまぁ宇喜多秀家の嫁さんの豪姫で。
てことは?
二年に豊臣秀吉がいんだろ?確か豪姫は前田利家の娘で秀吉とねねの養子だよな…うーわ、同じ世代に親子で存在するとか。マジカオス。
しかもさー、
「なんと!お主お豪か!わらわを覚えておるか?秀吉様の正室の寧々じゃ!何百年もたっておるからの、わからんでも仕方ない」
「覚えているに決まっているでしょう、母様。父様と母様から受けた愛、今もしかと胸に刻んでいます」
とまさかの同じクラスにその寧々さんがいたわけで。寧々さん、今は豊臣寧子っていう名前らしいけど(ほぼまんまじゃねぇか)、ほんとに、ほんとに、ほんとに、まさかの
「こうして時を経巡り会えた事、御仏に感謝せねばいけませんね、しかし…まさか母様が”男”で転生しているとは…思いもよりませんでした」
はい、はい、はい、みなさんお分りいただけただろうか。
そう、寧々さん実は男に転生しちゃいましたぁぁぁぁぁ!!!!
だのに口調超女のまんまだから超オカマにしか見えないというね!
だが実際こういう事はしょっちゅうだ。ほんとに前世が女だったからといって今生が女である可能性は100パーセントじゃない。
だから…あの有名な武将や皇帝が女に、あの美女が男に…なんてことは十二分にあり得るわけだ。残念ながら夢は夢のままでいてくれない…。
教室の真ん中で繰り広げられた奇跡の親子再開ドラマは、またもや仲原の一言であっけなく終わり、自己紹介はまだまだ続いていく。
「次は我じゃな」
「おー、えっと、名前は…」
「うむ、我の名前は
…趙雲ってこんなキャラだったんだ。
まぁ、うん。確かに、はい、そんな感じはします。身体もがっしりしてていかにも武人だしな。いいんじゃね(何の評価)。
つかイケメンだなおい。そこの期待は裏切らないってか。だからヤなんだよ。【歴史科】ってこんなんばっか。しかも超俺様じゃん、どんだけ前が抜けきってないの。
と俺の気持ちを無視して、次の奴が立ち上がった。そいつは少し長めの黒髪を一つに括っていて、鋭い目を更に鋭くさせて口を開いた。
「次は俺か…俺の名前は
…このクラス怨念持った奴しかいないのかね。何なの。キャラ濃すぎでしょ。いくらなんでも。しかも口悪いなー、天皇クソ呼ばわりって…だからあんた暗殺されるんだよ。わかってんのかそこらへん。
で、例の如く仲原が窘めて次の奴に番が回った。
…うわ、これまたおっとりした奴が来たなー。仏みてぇ。ひょろっこいし、色素薄いし。まじで悟り開いてそう。
「はい。じゃあ、しましょうか…僕は
はい残念。孔子様でしたーーーーー……
……………
儒教の人に仏様とか言っちゃいけないね!(精一杯の同様隠し)
「じゃあ孔子が来た所で次は”先祖返り”の高杉晋作だが…今日は欠席だ。明日は来るそうだからその時にしてもらうか…残念だったな、お前ら。皆大好き幕末志士の代表格『高杉晋作』に会えなくて」
いや、どっちかっていうと腐ってるお姉さま方が残念がるんじゃないんでしょーか。
でも俺も興味あるなー、新撰組とかいる時代面白いし。
その後、有名どころが続出するのは変わらず、高杉晋作の次は、鬼畜兄さん源頼朝の”生まれ変わり”
そういやなんの”生まれ変わり”なのか聞いてなかったな。俺は少しドキドキしながら二井八の自己紹介に耳を傾けた。
「二井八葉月です。ここの中学に通ってました。好きなことは布教で…嫌いなものは道理が通っていないことです。 私はあんまり前の記憶が無いので少しでも多く知れたらなぁと思ってます」
へぇ、前の記憶薄いこともあんだー。
と俺はほうと思い、はやく誰なのか言わないかなーとドキドキしていた。
やっぱり姫さんかな、それとも巴御前とか、静とかかなー。あ、逆に妲己とかでもいいかも。ギャップが、ね。
「で、その前は、皆さんご存知のフランシスコ・ザビエルです、将来あんなハゲ方しないといいなぁと最近思いました」
最後のは冗談と受け取っていいのだろうか。
はい、だいたい予想はしてたよ。
フラグ立ってたもんね!?そう!俺が朝倉から聞いたの二井八のことだった!そう!ザビエルがいるって聞いてたんだ俺は!
そう、もはやいじられるために生まれてきたとしか考えられない伝説的ハゲ宣教師フランシスコ・ザビエル。
ザビっぱげ〜とか言われちゃうあのザビエル…
日本に来て中国行ったはいいものの、そのまま死んだ哀れザビエル…
一応かなり偉いザビエル…
日本人じゃ誰でも知ってる外国人ザビエル。
それが清純派・大和撫子を体現している二井八だって
「嘘だろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!?!?!?!?」
二井八はこの日一番の悲鳴をかっさらっていきました。
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