第二部-第六章〈上〉 『ジ・エンド・オブ・オールド・エネミー』
『カダス』についての説明があった三時間後、三人は『コス―GⅡ』のパイロットたちと一緒に、ブリーフィングルームに集められていた。
そこでは異様な熱気に包まれており、パイロットたちの話し声が騒がしかったので、流輝達三人は後ろの方で小さくなっていた。
やがて、ダーレスがやって来ると、ざわざわしていた場は一瞬で静まり、ダーレスの話が始まるのを待った。
そして、場が完全に静まり返るのを待って、ダーレスが話を始めた。
「これから、我々が初めて自分から動く作戦となる、これからそれの説明を始める」
「「「はい!!」」」
「うわー、暑苦しー」
「ですね」
アリサと流輝はこっそり話をしていた。
ミリアが呆れた顔をしていたが、気にしないことにした。
ダーレスは一つの映像を浮かべる、そこには『カダス』の本拠地が映されていた。
「いいか、我々は明日の午前十時、ここを全勢力を持って襲撃する。目的は『ミゴ』の殲滅、『カダス』を完全に潰すことだ」
「「「はい!!」」」
「ここを襲撃しても、我々は罪に問われない、ここは独立しているからな」
「「「??」」」
「あ、駄目ですね、こいつら脳筋ばかりです」
「流輝!?」
ミリアが狼狽した顔で流輝の方を見る。
声が小さかったため、周りには聞こえなかったらしい、周りに男たちに殴られることは無かった。
その間もダーレスの話は続いていたらしい、気が付くと詳しい作戦が伝えられていた。
「―――で、流輝君、ミリア、アリサ君は先鋒を務めてもらうことになる、一足早く出撃し先に本拠地に打撃を与えてくれたまえ」
「あ、はーい」
「やる気ないな?」
「いえ、ありますよ」
「ならいい」
「はーい」
それから十五分、さらに細かい説明がなされた後、各自解散となった。
三人は一番最後にブリーフィングルームから出ると、のんびりと話しながら部屋に戻って行った。
「なんか、大変だねー」
「本当に、ねー」
「あ、ボク達なら何とかなるでしょ」
「油断大敵です」
「ん、そうだな、流輝」
「そうだよアリサ」
「ま、気張って行きますか」
「「おー」」
そして作戦開始時刻になった。
流輝は『クトゥルフ』に乗り、既に精神同調を完了させ、壱番艦でハッチが開くのを待っていた。
つながったままにしておいた通信から、オペレーターの比との声が聞こえてくる。
『ハッチ開きます』
「…………」
宣言から数秒後、ゆっくりとハッチが開き、眼下に雲が広がっているのが確認できた。
流輝はゆっくり、一歩ずつ前に出ると言った。
「『クトゥルフ』行きます」
そして、ハッチから飛び降りると、反重力発生装置を起動させず、重力に引かれるがまま遠くに見える『カダス』の本拠地へと降りていく。
その後を追って弐番艦から『ナイア』と『アトラク―ナクア』が飛び出すと、『クトゥルフ』と同じように降下していく。
その途中、流輝は『クトゥルフ』の姿勢を変えて起こすと、『ク・リトル』と『リトル』を『ハイドラ』に接続すると、砲口を本拠地に向ける。
ミリアは四つのビームカノンを召喚し、アリサはバックパックにある六本の腕を突き出すと、そこにあるビーム砲を構えた。
すると、合図も何もしていないのに三人はほぼ同時にビームを放った。
その数十二筋、全て『カダス』の基地に向かい吸い込まれていった。
そして数秒後に着弾が確認され、いくつもの爆発が見えた。
「よし、これで結構損害を与えられましたね」
『だね』
『じゃ、これからは殴り合いだ』
アリサはそう呟いた後、通信を切り、反重力発生装置を起動させ、急加速すると一気に下降していった。
流輝はそれを見て苦笑いを浮かべると、自分も反重力発生装置を展開、起動するとアリサの後を追って行った。
ミリアは遠距離支援をするつもりらしく、ビームカノンをそのままに、ミサイルポットやらを召喚、装着すると減速し、ゆっくりと下降して行った。
「じゃ、行きますか」
流輝はビームを乱射しつつ、降下していく。
すると近くの戦艦や基地に搭載されている兵器、それらからミサイルや砲
弾が放たれ、弾幕が張られていく。
流輝は躱すものは躱しつつ、躱さなくても大して問題の無いものは躱さずにまっすぐ基地へ向かって行く。
途中、弾幕にエネルギー弾が混じったことに気が付き、索敵してみると『ミゴ』の反応が確認された。
「さて、こっからですね」
流輝は躱すものは躱しつつ、当たりそうなものは弾いたりしつつ帰途に近づき、開いているスペースを見つけるとそこに着地するようにして降り立つ。
すると、数機の『ミゴ』が砲口をこちらに向け、攻撃を仕掛けてくる。
流輝はエネルギー弾をしゃがみつつ躱し、一番近くにいる『ミゴ』に切りかかり、胴体部分と頭を切り離す。
そして、ポットが射出したのをかくにんしてから、空になった『ミゴ』の機体を楯にして、他の敵の攻撃を凌ぐ。
数秒間防御していたが、さっきまでいなかったはずの背後に敵が現れ、エネルギー弾を放って来た。
なので、流輝は『ミゴ』の機体を捨てると、『ハイドラ』の引き金を引き、触手を射出すると攻撃を仕掛ける。
すると触手は『ミゴ』の胴体部分を貫き、バックパックすらも破壊すると、そのまま隣にいた『ミゴ』に向かって行った。
こうして一度に三機の『ミゴ』を破壊すると、戦闘不能になるまで追い込んだ。
そして、他の機体から攻撃を仕掛ける前に、近くにあっった砲台に『ダゴン』を叩きつけると、破壊して砲撃できなくした。
その後、こちらに接近してきた一機の『ミゴ』に『ク・リトル』と『リトル』の砲口を向け、ビームを放つと左腕を吹き飛ばした。
すると『ミゴ』は残った右腕でエネルギー弾を乱射すると、『クトゥルフ』」に攻撃を仕掛けてくる。
流輝はそれを躱し、少し上昇すると、反対方向にいた『ミゴ』の方を向くと『ダゴン』を投擲、胴体と下半身を切り離すと戦闘不能へと陥らせる。
そして、そのまま空中で一回転、左腕を失った『ミゴ』に向かってビームを放つと、胴体と足を破壊し、夫を射出させる。
流輝は索敵を行い、他の砲台の位置を探ると、『ダゴン』を右手に召喚、それを掴み加速、少し離れたところにあった砲台に向かって行く。
すると、一機の『ミゴ』が立ちはだかり、エネルギー砲をパージすると、ナイフを引き抜き接近戦を仕掛けてきた。
「……よし」
流輝はそれを確認すると、そのまま少しもスピードを落とさずに接近する。
『ミゴ』は『クトゥルフ』に向かいない不意を突きだすも、流輝はそれを弾き、一気に懐に入ると左腕を大きく振るい、『ハイドラ』で『ミゴ』の顔面を殴り飛ばした。
アッパーのような攻撃を喰らい、顔を大きく上げた『ミゴ』の首を狙い、流輝は『ダゴン』を振るう。
頭が落ちた『ミゴ』を一切確認せず、流輝は頭を失った機体本体を押しのけると、そのまま二つの砲口を砲台に向け、ビームを放つ。
すると、砲身のみが焼かれ、弾が撃てなくなる。
そして、他の『ミゴ』に攻撃されないように大きく基地の甲板を蹴り、反重力発生装置を起動し、後ろに下がって行くと、一旦海の上に出て戦艦を見下ろすような位置に来る。
「……おとしますか」
流輝は急降下、一旦潜水すると戦艦の側面に向かう。
そして生体反応を確認すると、反応が無かったので、おそらく倉庫か何かに当たる部分だろうと分かったので、遠慮なく攻撃をできるようになった。
『ダゴン』を船の側面に叩きつけると、大きな傷をつけ浸水させる。
あまり大きな傷をつけすぎると浸水が早くなり、脱出に間に合わない人が出るかもしれないと思ったが故の配慮だった。
流輝は戦艦がゆっくりと沈んで行くのを確認すると、少し離れたところにある戦艦に向かって移動する。
すると、戦艦が艦首を『クトゥルフ』に向け、魚雷を発射してくる。
流輝はそれを見ると、より深くに潜って回避しようと試みるが、自動追尾式のミサイルらしく、『クトゥルフ』の後を追ってくる。
「チッ面倒ですね」
流輝は悪態をつくと、奥に見える戦艦を索敵、直線上に人がいないことを確認すると『ク・リトル』から一筋のビームを放つ。
圧倒的熱量を持ったそれは、真っ直ぐ魚雷とその奥にある戦艦に向かい、海水を蒸発させていく。
そして、魚雷を焼き尽くすと、戦艦を貫き、沈める。
「一旦上がりますか」
流輝は『クトゥルフ』を上昇、海から飛び出すと上空で滞空する。
すると、再び弾幕が襲いかかり、流輝は大急ぎで回避運動をとり、ビームを放ちつつ応戦すると、少し離れたところにある別な基地へと向かって行く。
「引っ掛かりますかね」
流輝は障害となりそうな砲台を破壊しつつ、飛んで行くと、辺りの敵を引きつけていく。
順調だった。
その数秒後、上空の『シュブ・ニグラス』から『コス―GⅡ』が次々と投下されてくる。
そして、腕に装着しているレールガンを『ミゴ』に向かって乱射すると、破壊しつつ基地の制圧を行っていく。
後ろからの奇襲を受けた『カダス』の隊員たちはハトが豆鉄砲をくらったかのように慌てると、何とか迎撃しようとする。
が、少し手遅れだった。
『ミゴ』は次々と落とされていく。
流輝はそれを見て頷くと言った。
「計画通り、ですね」
これが流輝達の作戦だった。
先ずは流輝が『ミゴ』や戦艦の気を引き、注意を逸らす、簡単にうならば陽動を行う。
その間にミリアとアリサは『カダス』の邪神の捜索を行いつつ、『コス―GⅡ』の投下ポイントから離れたところにいる敵を殲滅していく。
これがダーレスの立てた『カダス』制圧作戦である。
今のところは計画通りに進んでいる。
「さて、次は……」
流輝は機体を大きく動かすと、空中で一回転、そのまま海へと向かって行くと、頭から海に入る。
そして、あらかじめインストールしてあった『カダス』基地の設計図を表示すると、海底から基地を支えているいくつかの柱の位置を探り、そこを中心的に表示する。
ここの基地は一つのい五角形につき、四本の柱で支えられているらしく、そのうち二本折ればバランスを崩し、自重で崩れていくらしい。
流輝はほくそ笑むと言った。
「これを、折ればいいんですね」
すると辺りの戦艦や、待機していたらしい潜水艦が『クトゥルフ』目がけて魚雷を大量に撃ちだしてくる。
それを流輝は回避しつつ、一本の柱に近づいて行くと、『ク・リトル』と『リトル』からビームを放つと、柱を一本焼き切る。
しかし、流輝はそれを確認する前に、移動すると、魚雷を避けつつ隣の柱に接近し、次は『ダゴン』で切りつけ、大きな傷を入れる。
が、それでは折れなかったので、一旦離れれて後ろに回ると、加速、柱の傷ついたところから下を蹴りつける。
すると、柱が折れ、吉が大きくバランスを崩す。
「やりました!!」
流輝は基地の下から離れると、下敷きにならないようにする。
潜水艦やらなんやらも離れていき、犠牲にならないようにする。
流輝はそれを見つつ、次の柱に向かって行く。
それを阻止しようと次々に魚雷が放たれるが、流輝にとってそれは、何の障害にもならなかった。
流輝は魚雷を時にかわしながら、時に撃ちおとしたりしながら真っ直ぐ柱に向かい、ビームで柱を焼き切る。
その作業を何度か繰り返していたが、柱を十本折ったところで、異変に気が付いた。
「おかしいですね、攻撃してきません」
そう、突然魚雷の攻撃が止まり、簡単に柱を折れるようになっていたのだ。
いつからかは定かではないが、回避行動を長らくとっていなかったことに、流輝今さらながらも気が付いた。
「何が……」
その時、警告音が鳴り、上にマークが出る。
「『ミゴ』、ですかね」
流輝は自分で言って起きながら、それが間違っていることに気が付いていた。
なぜなら『ミゴ』は水中では戦闘が行えないような作りになっているのだ。
水に入ったら最後、体の各部から浸水が起こり、あっという間に沈没、挙句の果てに水圧で頭がつぶれてコクピットがぺしゃんこになるらしい。
ダーレスが入手した情報によると、そういう事だった。
「じゃあ、何が」
考えられることはたった一つ
流輝は機体を横にし、上を見るようにすると、『ク・リトル』と『リトル』の砲口を向けると、警戒した。
すると、黒い影が現れて――
それよりちょっと前
ミリアは流輝の下りた第一基地から離れた第五基地へ下り立っていた。そこには既にミリアの遠距離射撃や、アリサの攻撃でボロボロになった基地があった。
他に何か壊すものは無いかとミリアは辺りを見渡すが、砲台は殆ど潰れ、戦艦も沈まないようにするのが精いっぱいと言った有様だった。
「見事に、壊れてるね」
『お、遅かったじゃないか、ミリア』
「私さ、戦艦ぐらいしか攻撃していないんだけど」
『あ、私が『ミゴ』とか砲台を潰した』
「見事」
『Thank you』
アリサは見事な英語でそう言うと、残った『ミゴ』の方を向き大鎌の先を向けると、戦闘態勢に入る。
ミリアも遠距離用の武装を解除し、中距離戦闘用の兵装に切り替えると、サブマシンガンを構え、腰のグレネード射出装置の調子を確かめる。
「行きますか」
『よーし、一緒に行くぞ』
「おー」
先ず、ミリアが動いた。
ミリアはサブマシンガンを乱射すると、一機の『ミゴ』を左へ逃げるように弾をばらまき続ける。
『ミゴ』は思惑通りに左に動くと、そこに回り込んでいた『アトラク―ナクア』の大鎌に切り裂かれ、機能停止に陥った。
『うし!!』
「あと三機!!」
残った『ミゴ』のうち二体は、一体がミリアの後ろ、そう一体はアリサの後ろに回りエネルギー砲を構え、攻撃を仕掛けようとして来る。
それを確認したミリアは大きく飛び、一回転すると、アリサの後ろにいる『ミゴ』に向かいプラズマグレネードを射出する。
アリサは機体を反転させると、ミリアの裏にいた『ミゴ』に向かってバックパックの腕から六本のビームを一斉に放った。
プラズマグレネードをくらった『ミゴ』は動けなくなり、『ナイア』のサブマシンガンの乱射を喰らい、駆動系を完全に破壊され、戦闘帆脳に陥った。
ビームに貫かれた『ミゴ』は頭が落ち、下半身と上半身も分かれ、機能停止に陥り、ポットを射出していった。
ミリアは残った最後の一機の『ミゴ』に接近すると、サブマシンガンで殴りつけ、バランスを崩させ、蹴り倒す。
そして、隙だらけになった『ミゴ』の上に『アトラク―ナクア』に馬乗りになると、鎌の柄で首辺りを殴りつけ、破壊した。
辺りに敵対勢力がいないことを確認したミリアは、アリサに話しかける。
「ねぇ、アリサ」
『何?』
「もしかして私たちってとても息が合うの?」
『ボクもそう思った』
「よし、行きますか」
『そうだね』
アリサは『アトラク―ナクア』の索敵機能を最大レベルで起動させる。
そして敵の保持する邪神を探す。
数秒間で五十㎞以内を探しつくす。
しかし、発見できなかった。
『ミリア、駄目だ見つからない』
「どうして?」
『あー、起動していないと見つからないとかあるか?』
「あるかも、だってエネルギーを観測するものだから、エネルギーが無くちゃ見つからないかもね」
『あー、つまり起動状態でもなければエネルギーの充填もしていないと』
「うん、『ミゴ』のエネルギーじゃ邪神は動かないでしょ」
『うーむ』
二人はしばし悩む
が、どうしようもないので、ダーレスに相談しようかと思った時、アリサが思いもよらぬ提案をしてきた。
『なぁ、ミリア』
「何?」
『基地内部で暴れるっていうのは?』
「いいね」
ミリアはビームカノンを召喚すると、基地の甲板に向け、ビームを放とうとする。
その時、ミリアはあることに気がついた。
ダーレスは言っていた『邪神の反応が確認できたと』
つまりは、反応が確認できないということは、ここから半径五十㎞以内にいない、もしくはエネルギーが尽きているかの二択である。
「だとしたら……」
ミリアはカノン砲を下に構えたままの恰好で固まり、思考を巡らす。
アリサは怪訝な顔をしてこちらを見て、話しかけてくるが何を言ってるのか聞き取れなかった。
ミリアは辿り着いた一つの結論に戸惑っていたのだ。
それは、敵邪神を計測できたということは、エネルギー充填が行われたという事。
何度も言うとおりだが、これはつまり『カダス』には邪神のエネルギーを充填する施設があるという事である。
珍しく、ミリアの頭が冴えていた。
「と言うことは」
『え、話聞いて……無いね、うん』
「『カダス』は施設ごと邪神を手に入れた!?」
『何言って……』
ミリアはそのことに気付くと、アリサに怒鳴りつけた。
「アリサ!!」
『いきなり何!?』
「ここら辺で邪神じゃなくてもいいから何か『レイク・ハス』の物に近い反応を探してくれない!?」
『よく分かんないけど…………やってみるわ』
アリサはミリアの言うとおりに索敵する。
と、反応があった。
『あった!!』
「よし来た!!」
『あ、これ『クトゥルフ』だわ』
「死ね!!」
ミリアは思いっきり罵倒する。
周囲には被害を免れた戦艦や残った『ミゴ』が集結しているのが見えた。
不審に思い時間を確かめてみると、ちょうど『コス―GⅡ』の投下時間で、海に潜った『クトゥルフ』から離れる目的などからこっちに戦力を割いて来たらしい。
ミリアは少し焦る。
そこで、アリサがもう一度叫んだ。
『あともう一個ある』
「どこ!?」
『ここの下、ジャミングかけられて少し探しづらかったけど』
「よし!!」
ミリアは迷う事無くビームを何度か放つと、基地の甲板に大穴を開け、中に潜入できるようにした。
「行くよ」
『おぅ、そっち!』
中に入ったミリアは、スペースを確保すると、アリサの言うとおりに照準をとり、ミサイルを乱射して、基地の内部を破壊していく。
そこは『ミゴ』の格納庫らしく、無人で広かったので気兼ねなくミサイルを撃ちまくることができた。
しばらくすると、奥の方に周囲とは全く違う質感の格納庫が見えてくる。
「あれか!?」
ミリアは大剣を召喚すると、一気に加速、格納庫の外壁を切り裂くと、内部に潜入できるほど大きな穴を作る。
アリサも隣に来ると、小さく頷き内部に入って行く。
ミリアも後を追うと、中に入って行く。
「これは」
『うん』
「『シュブ・ニグラス』内部みたい」
『何も無いね』
「あぁ、そっち?」
そこは周りとは全く違った格納庫で、エネルギー生成用のポットや、充填用のコードが大量にぶら下がっていた。
が、そこにマウントされるはずの機体は存在せず、空っぽだった。
つまり、出撃した後ということになる。
「ってどうするの?」
『まぁ、壊すか』
「だねー」
ミリアは格納庫をぶち壊すようにミサイルをばらまく、アリサも同じようにビームを放ちまくり破壊していく。
すると、辺りの施設と一緒に格納庫と吉が崩れていく。
まぁ、殆ど作戦通りだったので、問題なかった。
殆ど崩れ落ちたのを確認してからミリアとアリサはその場を離れ、基地が倒壊していく様を眺めることにした。
「で、さアリサ」
『なんですかい、ミリア』
「結局、邪神はどこに?」
『あー、それなんだけど』
「何?」
『こっちに接近してる敵影が一つ』
「それって」
『しかも未確認』
「絶対それだ!!どこから?」
『六時の方向』
「真後ろ!!」
ミリアは急いで後ろを向くと、索敵を行う。
すると、その前にレールガンと思われる弾が飛んできて、『ナイア』の左わき腹に命中、ミリアは一瞬バランスを崩してしまう。
が、何とか持ちこたえ、体勢を立て直すとスナイパーライフルを召喚、弾が来た方向に向かって適当に乱射する。
「チッ、やられたね」
『大丈夫か!?』
「平気、遠い所からの狙撃だったみたいでそこまで深い傷じゃない」
『ならいいけど』
アリサもビームを放ち、遠くの敵を牽制する。
すると敵は急上昇、そのまま一気に加速するとミリアとアリサの攻撃を避けつつ、直進してくる。
「早いね」
『接近戦に持ち込む気か?』
「かもね」
二人は接近戦に備え、上を向き警戒する。
が、敵はそのまま二人の頭上を通過するとそのまま進んで行ってしまう。
チラリと見えた機影は、真っ黒で独特な形状をしているように見えたが、詳細は定かでは無かった。
二人は呆然とそれを見送ると、何となく相談を始める。
「何、あれ?」
『邪神』
「どうして向こうに?」
『向こうに何かあったっけ?』
「『うーん』」
しばらく無言になり、二人は考える。
二人がそれに気が付いくまでにあまり時間はかからなかった。
「『あ、流輝!!』」
二人は反重力発生装置を起動出せると、謎の機体の後を追うように飛んで行った。
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