最終章 全ての終わりと始まり

(クレーター中心部)


クレス「ジン・・・・」


 クレスはジンのそばに来た。しかし、ジンに反応はない。


クレス「いつか貴方はこう言っていたよね、『クレス、お前を死なせはしない! 絶対! 絶対にだ!』って」


 それでもジンはぴくりとも動かない。


クレス「そして私は夢の中で泣きながらこうつぶやいたの、『私も! 私も、絶対、あなたを死なせない! 絶対に!』って」


 ジンに反応はない。


クレス「だから今度は私が貴方を起こす番なの。いいね」


 そう言って、クレスはしゃがみ込むと、ジンを抱きかかえて、そしてゆっくりと熱い口づけをした。二人には永遠とも思える時間・・・そして、お互いの唇が離れた、その瞬間、


ジン「・・・い・・・・いっつぅー、あ、あれ、クレス?」

クレス「・・! ジン・・よかった!!!!!!!!」


 クレスは堪えていた涙が一気にあふれ出してきた。大粒の涙が止まらない。子供の様にわんわん泣き叫んでいた。


ジン「ク、クレス・・・・そうか・・お前が起こしてくれたのか・・・・。じゃあ」


 そう言ってぐしゃぐしゃの泣き顔のクレスに向かうと、今度はジンが口づけをした。


ジン「・・・・お・か・え・し・だ」


 二人は目を閉じたまま、その場で抱き合っていた。そう、永遠に時が止まって欲しい、そう思っていたはずだ。


ドクター「・・・あの~アークよ、俺達はいつまで・・・」

アーク「このままで! 皆さん各自が持っている日付カウンターをご覧下さい」

ウィル「日付・・・・、あ、あれ? 【0】ってなっている! じゃぁ、やっぱり創世年になっちゃったの?」


アーク「違います。日付カウンターは【9999年の4桁】までしかカウントできないようになってます。その補正措置で、カンスト(カウンターストップ)した場合、【0】になるようになってます。つまり・・・」

ウィル「・・・今は・・・9999年の次の年・・・10000年!!!!」


アーク「ご名答です。メビウスリングはメビウスの消滅と同時に崩壊しました。あなた方だけでなく、この地上に存在している全てのモノは、新しき時代10000年を迎える事ができました。そして未来永劫、0年に戻る事はないです」


ウィル「では、私の天体士を次ぐというのは・・・」

アーク「この地には、もうあなた方を縛るような『職業制度』等ありません。特にメビウスシステムの生け贄とされてきた『天体士』の考え方は消滅しました。あなたはもう自由です」

ウィル「それじゃあ、ゾディ様は?」

アーク「あの方は今も元気で生きてますよ。今年があの方の新しい誕生年で年齢も便宜上0歳となります。そして、普通の女の子と同じように生活できます」


アイル「あのよ~、そろそろ集まって移動しねーか? 他の場所も確認しないといけねーしな。特にゾディさんがどうなったかこの目で見てみてーもんだ!」


 アークはちらっとジン達の方を見た。頃合いも良さそうらしかった。


アーク「そうですね、そろそろ良いでしょうか。では、皆さん私の背に乗って下さい」


 そういうと皆が背に乗れるくらいに大きくなった。


ウィル「ア、アークさん? あなたも・・・」

アーク「はい、私もガルダと同じ『ナノマシン』を埋め込まれています。時々ガルダと考えが似ていたのはおそらくそのためでしょう。それより皆さん」


ウィル「はい。行きましょう! 新しい時代へ!」

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