第29章 ファイナルアタック
アークが付いていたメビウスの部分には、今は大きな醜い目と耳と口が付いていた。どうやら分離しても見聞きし、喋る事も出来る様だ。
メビウス「・・・トキノナガレニアラガイシモノ・・・メビウスシステムノハンギャクシャ・・サイアクノウィルス・・・キサマラスベテ・・・・メッシテヤル!!!!」
ジン「てめーなんぞ、単なる粗大ゴミ、いやそれ以下だ! 一昨日きやがれ!」
クレス「私たちは貴方の支配なんていらないわ! 消えなさい!」
ドクター「わしらの運命はわしらで切り開いていく! お前なぞにいじられたくないわ! 失せろ!」
ウィル「時を、生けるものを、命を、運命を、お前が操ってこれたのはここまでです! 決められた道を歩む運命など必要ありません! ここで破壊します!」
アイル「俺はお前が作った道ではウィルに会えなかったそうだな。ジョーダンじゃねー! 俺はここにいる! 貴様はもういらねーんだよ! とっとと往生しやがれ!」
ガルダもアークも実は未だに心中複雑だったのだ。だが・・・、
ガルダ「私は・・・もう・・メビウスリングの『刻の呪縛』を信じない! 貴様が消えて私も消滅してしまっても、それでかまわん! 全身全霊を持って貴様を消滅させる!」
アーク「・・・・・・・メビウスよ。私を単なる『修正サブルーチン』としか扱わず、あまつさえ『欠陥品』と判断し切り捨てた・・・・貴様! 私は、もうお前の一部でもなければ奴らの部下でもないわ! ジンの生みの親、そしてこの世界の住人として、《生きる》事を選ぶ!」
どうやらガルダもアークも考えがまとまったようだ。ここにいる全員がメビウスを破壊する事で一致した。
メビウス「・・・全攻撃ユニットに次ぐ。目の前に存在するウィルスをロックオンせよ。これより消去プログラムにシステムを移行し、自らのユニット存続ルーチンを解除し、『強行モード』から最終形態『突撃型メビウス』に変更する」
メビウスがアナウンスの様にそう語ると、自身の体がぐにゃぐにゃに変形し始めた。数秒後に落ち着いた形は、頭部がアスポルト、腕部は触手、心臓を含めた腹部には先ほどの強行モードの時の顔が現れ、腰部、腹部、心臓は厚い半透明の皮膚で覆われていた。脚部は無かった。
ジン「そいつがオメーの本来の姿ってわけか! 屑にはお似合いだな!」
メビウス「・・ショウキョプログラム・・スタート!」
そう言うと触手が急速に全員に近づいてきた。同時にアスポルトから大型の火球が何発も発射された! ついでに心臓の顔の部分から極太の光線も飛んできた。
ジン「全員散開!」
そう言うと全員バラバラに離れていった。こういう場合、一塊りになっているのは危険だからだ。触手は散開した全員に1本ずつ突撃していった。光線と火球は大はずれに終わった。
クレス「もう二度と『触手』はいやなの! 『マスターブレス』!!」
クレスに突撃していった触手やその根本の部分も完全消滅してしまった。まだ未完成状態だったせいか、光輪は途中で止まってしまった。
アイル「うざってーんだよ! 『ブラッディカーニバル』!」
アイルの魔剣が高速回転して、触手を切り刻んでしまった!
ドクター「失せろ! 『龍雷 連続攻撃』!」
触手の根本から先にかけて、竜頭の雷が何本も落ち、触手は黒こげになり活動を停止した。
ウィル「忌まわしきモノよ、消えよ! 『スターダストレイン』!!」
降り注いだ隕石のカケラは、今度は確実に触手にヒットし、触手はぐちゃぐちゃにつぶれてしまった。
ガルダ「貴様はあってはならない存在なのだ! 『風神剣』!!」
風の断層が発生し触手を細切れにしてしまった。
アーク「・・・私の力を甘く見てもらっては困る! 『アザゼル』!」
『風』の大天使『アザゼル』を呼び出し、風の剣で空間を切り裂いた! 触手は肉片すら残らずバラバラにされた。
ジン「最後は俺か! それでは派手に暴れるか! 『オーラソード』!!」
剣が青白く光ったと同時に、超高速で触手を切り刻んでいった。これで各自を攻撃していった触手は全部消失した。
メビウス「ぐぅぅぅぅ・・ノヴァユニットさえあればこんなモノ、すぐ再生できたモノを・・・・。やむをえん、《レベル2のセキュリティ》を解除するか」
その直後、腹部に大きな口が現れ、開いたかと思ったら、口の中が光り出した!
メビウス「時間させ稼げればかまわぬ! 貴様ら全員、タイムザップしてくれるわ!!」
そう言うと口から大きな光球が高速発射された。急速にジン達に接近する!
ガルダ「危ない!」
そう叫んだガルダは急速に巨大化し、ジン達を羽で包むようにかばった!
ジン「!!! ガルダ!!」
光球はガルダだけに直撃した。ガルダの全身が薄くなっていく。
ガルダ「・・ジン様・・・また会いましょう、私のデータとは違う未来で・・・」
そう囁いた直後にガルダは消えていった。
ジン「ガルダァァァァ! ・・・・メビウス・・・テ、テメエ、カクゴハデキタカ!!」
メビウス「それは私のセリフだ! 最後の《レベルファイナルのセキュリティ》を解除する。私も多少負担を負うことになるが、やむを得まい」
ジン「テ、テメェダケハ・・・テメェダケハ・・・オレノコブシデ・・ジゴクヘ・・・オトシテ・・ヤ・・ル・・・!!!!!」
その場の空間だけではなかった。少なくとも見える範囲の気流やエネルギーが全てジンに集まってきた。魔剣士アイル戦の時の覚醒とは全く違った雰囲気であった。地鳴り、空間の共鳴やゆがみ、天地全てが吼えていた!
アーク「!!! ジン以外の者達よ。サポート魔法を持っている者は全てジンに集めろ! 防御魔法所持者は、最高レベルのバリアーを私たちに張れ! いいか、これが本当の【ファイナル】だ! ジンに全てを賭ける!」
クレス「ジ、ジンはどうなるの?」
アーク「私にもこの行く末はわからない・・だが、私はジンを信じる!」
クレス「・・わかったわ。ジン! あなたに全てを捧げるわ! エナジー オールトランスミッション!!!」
クレスの気力が全てジンに集まり、ジンの周りに漂うオーラがまぶしく青色に輝く。
ドクター「頼むぞ、ジン! 無限力!」
ドクターの気力全ての『力』がジンの中に入っていった。ジンの利き腕が激しく輝く。
アイル「ジン! てめーに賭けるぞ! ダークパワー全転送!」
アイルの暗黒の気力が全てジンに集まる。ジンの体全体が大幅にビルドアップされた。
アーク「私の全てをお前に託す、ルキフェル!!」
アークの声と共に、どこからか6枚羽の大天使が現れ、ジンの中に入っていった。ジンの影がその大天使の姿に変わった。空間の咆吼が極限まで激しくなった。
ウィル「全員終わりましたね、では最大バリアーを張ります。ラクシュミ!!」
光り輝く精白色の分厚いバリアーがジン以外の仲間を包み込む。女神の加護である。
全員(頼むぞ! ジン!)
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