第27章 ラストバトル
ジン達はそれぞれの攻撃目標に突撃していった。とりあえず最強のコンビネーションを持っているアイルとウィルの二人は、回復機能のある“ノヴァ”を、攻撃とサポートや回復のバランスがよい、ドクターとクレスとガルダが、攻撃機能を持った“アスポルト”を、それぞれ担当することにした。
そしてジンは、
ジン「俺は奴とサシで勝負する。そして彼奴の腐った性根を叩き直してやる!」
と叫んで、中央部の制御機能を持った“アーク”に、一人挑んでいった。
(アイルとウィルとノヴァ)
アイル「てめーが彼奴がぬかしていた、俺らを作った装置ってわけだな?」
ノヴァ「・・・貴様が最悪のウィルス・・・アイル・・そして生み出すきっかけとなってしまった・・・ウィルか・・・・どうやら私の相手はお前らだけのようだな・・・」
ノヴァは人間の顔の形を持っているので、見聞きして喋ることができるようだった。
アイル「てめーなんぞ、俺とウィルだけで十分だ! 貴様こそ棺桶用意しとけ!」
ノヴァ「棺桶など無用・・私は永遠に存在し続ける役目がある・・・モノを生み出す事は永久不動の事象・・いかなる事があっても避けては通れぬ事・・。だがお前らはそれを否定している・・破壊しか生まない・・まさしく“ウィルス”の証拠・・・」
ウィル「・・・違います、私たちは“破壊”しか望まぬモノではありません。“生命との出会い”も“永遠の別れ”も知っています。それを私たちは“誕生”と“死別”、そう呼んでいます。貴方の様な一方的な“製造”しか経験したことのないモノには、永遠にわからないことでしょうね」
ノヴァ「・・・そんなもの理解する必要はない・・それよりお前達が行う“誕生”や“死別”は・・全く持って不合理なのだ・・・何故完璧な迄の合理性を持った・・この“ノヴァ”に全てを委ねない! 円滑に進む理想的な円環、メビウスリングの中で何故平和な生活を送ろうとしない!」
アイル「・・・一言言っていいか? おめえ俺達を作ったとか言っていたが、俺達はお前の言う“欠陥品”とか“ウィルス”とか“イレギュラー”とかの“失敗作”だぜ? それでもおめー自分の“製造能力”を『完璧』とか自慢できるのか?」
ノヴァ「私は完璧だ・・だが・・操るモノが不完全だった場合・・私を完璧に操れないモノ、そいつが“欠陥品”を生み出してしまったのなら・・それはそいつの責任だ!」
アイル「責任転嫁しやがった。最低だな」
ウィル「・・私、心の底から・・憎悪を感じました。お兄様、早々に片づけましょう」
アイル「ああ、こんな奴、もう見たくもねえ」
ノヴァ「黙れ!“欠陥品”ども! 私は単なる“製造”のための装置ではない! “強行モード”の場合、回復、サポート以外に、敵対するゴミを排除して、またエネルギーに変換する機能も有しているのだ! 貴様ら二人とも、素材のエネルギーに帰化してやる・・・・・・・ん?」
ノヴァは気づくのが遅すぎたのであった。自分の顔が十字に切られていた。
アイル「ダークブリンガー、直撃!」
アイルの覚醒能力「ダークブリンガー」をもろに喰らっていたのだ。そして・・・
ウィル「グランドクロス!」
ノヴァ「な、な、何故だ! こんな“欠陥品”が、私に傷を・・・・ぐうぉぉぉぉぉ!」
ウィルの覚醒能力『グランドクロス』により、発生した超異常状態の場、“分子間結合エネルギー=0”により、モノとして姿を成すことが出来なくなってしまっていた。ノヴァは粉みじんに吹き飛んでしまっていた。
アイル「てめーは実戦経験がなさすぎんだよ! 二度と俺達の前に現れるな! 屑野郎!」
ウィル「クレスさん達と合流しましょう。向こうはかなり苦戦しているようですから」
(クレスとドクターとガルダとアスポルト)
クレス「はぁはぁはぁ・・・ なんて敵なの! ヴォイス攻撃が全く通用しない!」
ドクター「ぐう! とんでもない装置だ。雷炎系魔法が効かない、相手が悪すぎる!」
ガルダ「く! 私のデータにあるアスポルトとは桁違いだ! 風属性攻撃もだめだ!」
かなりの苦戦状況であった。それもそのはず、ノヴァと違ってアスポルトは非常に単純な機能しか持っていない。『破壊』、それだけである。“シンプル イズ ベスト”とはよく言った物で、言葉を話す、聞く、そんな機能は全くなく、目の前にいる敵対するモノを本能的に排除する様に出来ている。
アイル「おーい! 大丈夫か!?」
ウィル「皆さん大丈夫ですか?」
クレス「アイルさん、ウィルさん! そっちは終わったんですか!?」
アイル「ああ、屑一匹片づけてきた」
ウィル「加勢します!」
クレス「こっちのは、もうめちゃくちゃ! どの攻撃も効かないのよ」
ガルダ「見聞きし喋る能力が両方ない故に、もうお手上げ状態です!」
アイル「おう! 任せておけ! 俺の魔剣で細切れにしてやる! ブラッディカーニバル!!」
そういって、アイルは魔剣を高速回転させながら突貫していった・・・が、見事にはじかれてしまった。
アイル「な、なんだ、こいつ! 魔剣がはじかれたぞ!」
ウィル「今度は私です! スターダストレイン!!」
アスポルトの頭上から隕石のカケラが大量に降り注いだ、が全てはじかれてしまった。
ウィル「なんで! これもだめなの? 物理系聖属性攻撃なのに!」
先ほどからじっと考えていたドクターが口を開いた。
ドクター「みんな、一時こいつから離れて作戦を立てる。ちょっと集まってくれ!」
皆は少し離れた位置でガルダのバリアーの中に入った。
ドクター「これはどう考えてもおかしい。回復役のノヴァがいないのに、全くこちらの攻撃を受け付けない」
クレス「と、言うことは・・・やっぱり制御部のアークに秘密があるのね」
ドクター「そこでだ、こいつの動きを封じておけないだろうか? 後はアークの相手をしているジンの応援に向かおうと思うのだが」
ウィル「私が出来ます。サポート魔法に“タイムフリーズ”があります。アスポルトの時間を止められますが、いっさいの手出しが出せなくなります。時間は今の私の技量で15分が限界です。それと重要なのは私も動けなくなりますので、皆さんと行動を共に出来ません。それでも宜しいですか?」
ドクター「十分だ。残りのメンバーは全員ジンの援助に向かう。15分の間に片を付けてくる」
アイル「俺はウィルの護衛に付く。なにがあるかわからないからな」
ウィル「お兄様もみんなと一緒に行って! 私は大丈夫です。一緒に“サイコバリアー”を張っておきます。安心して」
アイル「わ、わかった。とにかく絶対死ぬなよ!」
ドクター「それではジンの方へ向かう!」
ドクターを先頭にして、ウィル以外は全員ジンの援助に向かった。アスポルトはドクター達の方へ顔を向けた、が、
ウィル「こっちこっち! さぁ、私と一緒に止まりなさい! “サイコバリアー”! “タイムフリーズ”!」
アスポルトとバリアーを張ったウィルは共に動きが止まってしまった。
ウィル(みんな頑張って!)
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