第24章 Z・ULTIM・ENDE(ザルティメンデ)

 ガルダの背に素早く乗り、ギルド本部から数km離れた上空に脱出した。ギルド本部のあった場所は完全に崩壊し変わりに巨大な怪物が全体の形を変形させながら、出現した。


ジン「ガ、ガルダ、なんだありゃ?」


ガルダ「各メビウスリング周期の9999年、つまり終焉の年に復活する『浄化の光』。名前は決まっています。ザルティメンデ」


クレス「なにが目的なの? 全て浄化するって言っていたけど」

ガルダ「その通りです。奴の『役割』は世界の『浄化』。つまり全て『物質的に0』にする事です」


ドクター「物質的に0?」


ガルダ「はい。アークの言っていた、この世界を構成する『メビウスリング』を管理している『メビウスシステム』の補助装置『ノヴァ』が新しい物質を作るために必要な『エネルギー』を、メビウスリングの各周期の終焉年である9999年に『集める』ための単なる『回収装置』なのです、ザルティメンデは・・・」


ジン「どーも、そのメビウスなんたら、ってのが引っかかるんだが、そもそも『メビウス』ってのは何だ?」

ガルダ「私からは先ほど述べた程度しかお答えできません。また、皆さんは知らない方が良いと思いますが・・・・」


ジン「さっき? ああ、今の年“9999年”が終焉の年で・・・! え!? もしかして俺達、この年でいなくなっちまうのかよ!」


ガルダ「・・・お話をすることにします。正確にはこの世界の『管理』に関わっている存在以外は、光や熱などの“エネルギー”に“戻される”という事です。戻す装置がザルティメンデということです」


アイル「おい! もしかしてあのタカビーなアークってのもそうか!?」

ガルダ「はい。彼はメビウスシステムの開発、管理を任されている存在の一人ですから。それと、うれしい事と悲しい事が一緒になっているのですが、あなた方もその『関係者』の中に入っているはずなのです。少なくとも私が存在できる創世年になるのであれば」


ジン「? 少なくともいいことじゃん」

アイル「そうだ! 俺ら生き残るって事だ」

クレス、ウィル「なんで悲しいことなの?」


ガルダ「・・・この地上で生活している“あなた方だけ”が生き残るのです。それと本当はアイルさん、貴方はいないはずなのです。お二人のうち、ウィル様だけが次の『天体士』の任のために生き残ります。それにあのゾディ様も例外なく、9999年間の“期限付き管理者”の任を解かれて、エネルギー化されます。勿論、あなた方の友人も知人も両親も同じです。次の周期創造のために変換されます」


 全員黙ってしまった。そして驚愕の事実はまだ続くのであった。


ガルダ「・・・そして私はジン様とクレス様の間に生まれる事になる男の子のお子様『ミューズ=リュクス』様が、ちょうど30歳の時、次のメビウス周期61の30年に作られる事になる“ナノマシン”です。その後、リュクス様の指示であなた達の護衛のために、メビウスシステムに逆らって、『時間』を司っている『メビウスリング』を逆に辿り、この時代に来ました。しかし、私と同時に何故、管理者『アーク』まで、この時代に派遣されたのかは全くの謎です。“イレギュラー”や“バグ”というのが関係しているとは思いますが・・・」


ジン「お、俺とクレスの間に男の子が生まれる?」

クレス「それってジンと結婚するって・・ちょ、ちょっと恥ずかしいんだけど・・」

ガルダ「私が誕生する事になるのであれば、そうなるはずです」


 ジンもクレスもこんな事態なのに頬を赤らめてもじもじしていた。しかし1組だけ憤っていた。


ウィル「待って! 私とアイルの関係はどうなるの!」

アイル「そうだ! 俺は絶対にウィルと結婚して子供も持って・・・。それにウィルは天体士なんて次がせねーぞ! なにが“期限付き管理者”だ! ふざけるな!」


ガルダ「確かにアイルさんとウィル様の事は私にも全くわかりません。・・・それよりザルティメンデの事ですがどうも誕生時から行動がおかしいのです。何故生き残ることになるはずの皆さんも浄化のターゲットにしているのか・・・」


ジン「関係ねー! ヤるってんなら、かかってきやがれ!」


ガルダ「失礼ですが奴の力は世界を浄化出来るのですよ? 剣や拳等、何の役にも立ちません。クレス様のヴォイス能力の振動波も相手が大きすぎて効果がありません。また私の波動エネルギーですが、そのエネルギーは奴の餌ですから。それに・・・・!」


 ウィルとアイルはいつの間にか、ガルダの背の上で並んでトランス状態になっていた。しかもジンやクレスの場合と違って予兆は地鳴りではなかった。空、そのものが振動していた。


ガルダ「!!?? こ、これが“天体士”・・・と“魔人剣士”の・・覚醒能力! ジン様、クレス様、レイスさん、1つ場所に固まって下さい! いいですか、絶対に私が作る“バリアー”から出ないで下さい!」


 ジン、クレス、ドクターは1つにまとまり、ガルダの作った球状に光るバリアーに包まれた、ガルダも自分の周りに輝くバリアーを張った。


ジン「頼むぜ! ウィル、アイル!」

クレス「お願い!!」

ドクター「君たちに託すぞ!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る