第12章 他の仲間を探して ~アイル編~
???「アイルよ! ノーザン=アイルよ! 目を開けよ!」
アイル「う・・・・・・・・・こ、ここは?」
???「やっとお目覚めかな? ここは、グラン=パリス城」
アイル「グラン城?? 聞いたことがないな」
???「失礼な奴だな! この・・・いや、何でもない。とにかくお前にはこれから我々の同士、いや、下部となって、ある目的を達成しなければならないのだよ」
アイル「同士? 下部? 目的? お前! なに言ってるんだ?」
???「こい! キング、ダイヤ!」
アイル「!! あのときのマスターと、それにウィル!」
マスター(キングマンティス)「ようこそ我が領域へ」
ウィル(ダイヤマンティス)「おにいちゃん! どう? ここの居心地? 最高でしょ!」
アイル「ウィル・・・おまえ・・・・・どういうことだ!」
???「キング、ダイヤ! わかりにくいようだから、わからせてあげなさい!」
マスター、ウィル「了解!」
その後、瞬く間にアイルの目の前に、異形の巨大なカマキリが2匹、いや、話し手を会わせると3匹となる。
クイーン、キング、ダイヤ「我らこそ! マンティスファミリー! グラン城のゲートキーパー!」
アイル「!!!! はめられたか! ならば、蹴散らすだけだ! レイピア! 俺のレイピアはどこだ!」
クイーン「これかい?」
クイーンの鎌の手の上にあったのは、まぎれもなく、アイル愛用のレイピアだった。
アイル「貴様! それは俺の!」
クイーン「ほれ! ダイヤ!」
ダイヤ「は!」
クイーンが放り投げたレイピアは横になってダイヤの口に入り、めきめき言いながら、折れ曲がり、そして口の中へと消えていった。いくらアイルが冷静だとしても、自分の相棒にこんなことをされたら、誰だって怒るに決まっている。当然、アイルも激怒した。
アイル「!!! き、貴様ら! 俺のレイピアをよくも!!」
クイーン「安心しな! お前には新しくこの素晴らしい剣を与えよう! 魔剣グングニルを! 同じタイプの細身の剣、お前なら使いこなせよう!」
そうして、クイーンはアイルの方に剣らしきモノを放り投げた。一見すると普通の剣の形に似ているのだが、市販のモノと明らかに違う点があった。全てが「真っ黒」だったことだ。異様極まりない、禍々しいものであった。
アイル「ふざける・・・う・・なんだ・・このけだるさ・・・また、ね、眠くな・・」
クイーン、キング、ダイヤの3匹のマンティスの両目が不気味に光ると、アイルはまたひどい眠気に襲われてしまった。
クイーン「次に起きたら、我々の命令通りに行動しなさい。いいかい? ジン達を全滅させなさい!」
アイルは膝をついていた。しゃべることもできないほど、ふらふらだった。意識が遠のいていく!
アイル「冗談・・・を・・・言う・・な・・・・だめだ、魔剣が勝手に俺の右手に・・体も・・頭も・・・思い通りに動かせ・・・・・・ない・・・・」
アイルは完全に倒れてしまった。右手には魔剣が収まっていた。
クイーン「その剣の力と、我々の両目の力を甘く見てもらっては困る」
そして、数分後、アイルは再び、ぬっと起きあがった。但し、数分前とは明らかに違う様相だった。
アイル「・・・・この魔剣にかけて・・・・・ジン・・達を・・・・・滅ぼす!!!」
アイルの周りには、黒いオーラが漂っており、姿も黒っぽくなっていた。目はぎらぎらと赤く光っていた。マンティスの連中と同じ色である。そして、利き腕の右手には、魔剣「グングニル」がしっかと握られていた。
クイーン「魔剣士アイルよ! ジンどもはここから20km離れた地点にいる。そして命令を達成し、また再びここへ戻ってくるのだ! そのときはグラン様から、さらなる強大な武器が授けられようぞ!」
アイル「御意!」
そう言って夕暮れの中を人間離れした速度で疾走していった。
クイーン「これで、やっとこ全員片が付く」
ダイヤ「しかし、クイーン様、奴はどうなるのですか?」
クイーン「あやつは我々の忠実な下部として永遠にこき使ってやるわ! それに美形だしねえ」
ダイヤ、キング(は~、またクイーン様の面食いが始まったよ....)
クイーン「お前達、なんか、今、へんなこと考えなかったかい?」
クイーンにはお見通しだった。
ダイヤ、キング「いえいえ、滅相もない」
クイーン「あんまり変な考えは起こさないことだ! お前らも、私の忠実な下部なんだからね!」
ダイヤ、キング「御意」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます