鬼の花

作者 やいろ由季

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★★★ Excellent!!!

古い逸話の中に、とある戦乱無情を憂う詩があります。曰く『戦場の徒と咲く花は美しい。けれど、その花が美しいから、人の心が惑うのではなく、まさに戦場の花の有り様こそ、人間の有り様そのもので、その様が、身に迫る人生の極致であるから』だと。

この作品は、そういった古い命題を拾い、洗い直した恋情逸話。丁度、この物語におけるハナと善治の境遇に似ていますね。

日常の平穏が、無制限から無秩序になるのとは逆に、打ち捨てられた平穏の中にこそ、新たな日常の芽吹きがある……この作品もまた、その事実を思い返させる、一輪の花であったのでしょう。

★★★ Excellent!!!

この小説は、戦が終わった後の寂しい風景から始まる珍しい書き出しだ。上手く虚無感を演出すると共に、日本らしさも作り出せている。
『鬼』と呼ばれるほどの凶暴な容姿をした男に惹かれるハナ。
最初は近寄らせなかった『鬼』だが、好意を持つハナとで、二人の関係がだんだん縮まっていくのが見ていてハラハラする。
まだまだ物語は始まったばかり。これからの二人に目が離せない。