第25話 枯原の杭の哲学聞いてやる

二〇〇六年の年初に、久々に総合誌からまとまった数の作品依頼を頂いた。私はそれに、かつてない全力を注いで取り組んだ。それまでの三、四年間の鬱憤を晴らすかのように、ひたすらに作句に打ち込んだ。結果、ひと月で一千を超える句が出来た。その時の作品により、二〇〇七年一月号で私に「鷹新人賞」が与えられた。「鷹」入会から八年。気が付けば二十六歳になっていた。もはや感慨はなかった。藤田湘子に認められなかったという無念さが残るばかりであった。ライバル不在の賞を取るのに八年もかかったという事実は、つまり私が平凡なる作者であることを裏付ける以外の何物でもないように思われた。授賞式は出席を辞退した。おめでとう、と人から言われた時に、どう反応すればよいのか分からなかった。

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