第9話 枯原に散りぬ無数の同じビラ

「東京新人会」は回を追うごとに規模を拡大させていった。一九九九年には十名程度で始まった会であったが、二〇〇〇年には常に二十名弱が集まる会に成長していた。講師は当初は月替わりであったが、他の会員の希望もあり伊沢惠を正講師として迎えることになった。伊沢惠の指導方法、指導方針は藤田湘子のそれに非常に忠実だった。悪い作品には容赦ない酷評を与えた。しかしそれと同時に、そこから救い出すための光明を作者に与えることを決して忘れなかった。句会の際には徹底的に厳しく、それ以外の時には別人のように優しい伊沢惠。私を含め、「東京新人会」の会員はみな伊沢惠を心から信頼した。一泊二日での合宿も三度行ったが、そのうちの二回に伊沢惠も同行してくれた。高齢だったが、深夜に及ぶ句会でも最後まで熱の籠った指導をして頂いた。

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