第3話 枯原を黒眼おほきくして歩む
藤田湘子の指導方針は常に一貫していて具体的だった。神社仏閣を詠むな、比喩を用いるな、二物衝撃を意識せよ。「鷹」入会後間もなく藤田湘子の指導句会に出席するようになった私は、藤田湘子のそれらの教えを一言一句余さず吸収したいという気持ちで、毎月新橋の句会場に足を運んでいた。藤田湘子は句会ではいつも怒っていた。門弟の不甲斐ない作品には、怒りに任せて声を荒げることも稀ではなかった。私はいつ自分の作品が標的にされて激しく罵倒されるかと、いつも冷や汗を流していた。藤田湘子は私にとって、とても親しみを感じられる師ではなかった。いつでも恐ろしい、近寄り難い厳父であった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます