第2話 枯原を行く口中に明るき歯

一九九九年一月号が、私の「鷹」入会号であった。高校卒業を三ヶ月後に控えた、十八歳の年だった。最初の師を選ぶのにはそれほど迷いはなかった。当時は俳句雑誌や指導書、あるいはテレビ番組などで、藤田湘子の選評に触れる機会が数多くあった。藤田湘子の書く選評は、他の選者のものとは全く異質だった。他の選者があまり触れようとしない出来の悪い作品に関して、藤田湘子は無遠慮に踏みこみ、俳句作者たちの進むべき方向、取るべき方法を具体的に論断していた。強引な力で後進を引っ張っていくその強い指導方針に、若い私は急速に惹かれて行った。

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