寝待
おはようございます。今日の月の出は一九時二七分。
早めの湯を浴びたあと、気持ちの良い夜風に吹かれた私は、少しの間うたた寝をしてしまいました。湯冷めしないよう浴衣の上に羽織を着ると、芯に籠もった熱が巡ったような気がして、なんだかいつもより温かくなりました。
ころん。下駄を履いて庭に出ると、夏の星座が足早に西の空へと逃げてゆくのが見えます。東の空には昇り始めた秋の星座。目立つ星の少ない秋。ちらちらと光る星明りは、月に負けないように懸命に瞬いているようで、とても健気に思えます。
家の裏手の道へ出てみました。見慣れた表通りとは違い、寂れた空気が郷愁を募ります。するとそんな私の寂しさに気付いたのか、どこからともなく艶やかな黒い毛の猫が擦り寄ってきました。寝転がって喉を鳴らす姿に、思わずくすりと笑ってしまいます。屈んで撫でたときに伝わる少し高めの体温が気持ちよくて、いつまでもこうしていたいくらい。けれど黒猫は気紛れに、にゃん、と鳴いて闇の中へ。
今日の月の入りは九時二〇分。気ままな猫のように、私も眠ることにいたします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます