居待
おはようございます。今日の月の出は一八時四七分。
鴉の鳴き声と帰宅を促す鐘の音が聞こえ、夕闇は段々とその色を濃くしてゆきます。もう一度明るくなったとき、それは今日ではなく明日なのです。今の私には、そんな当たり前のことすら寂寥を感じるには十分すぎるほどでした。そんなことを縁側に座って考えていると、いつの間にか今宵の月が顔を出しています。
お昼の短い間にとても強く降った雨は、道路のあちこちに水溜まりを残していきました。その水面に静かに浮かぶ光は、見上げる月よりとても小さく可愛らしく思えて、今夜の散歩はたくさんの水溜まりに寄り道をすることになりそうです。
水分を含んで吹く風はいつもよりひんやりとして、髪を撫でてみると指にしっとり馴染みました。私はなんだか嬉しくなって、指先をくるくると動かしてその感覚を楽しむのです。路上の小さな水面はそっと波打ち、浮かぶ月が柔らかく揺れました。
今日の月の入りは八時二四分。夕暮れに見た空は燃えるように赤かったので、きっと月が沈む頃には、素敵な秋空が広がっていることでしょう。おやすみなさい。
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