繊月
おはようございます。今日の月の出は七時三十九分。
太陽の少し後ろをついてゆく姿はどこか儚く、そして細くて可憐です。けれど眩しく大きな太陽が地平に沈んでから僅かの時間しか、私はその姿をはっきりと見ることができません。それは少し寂しくもあり、それでも足元の星から反射した陽光が、月の暗い部分を薄く照らし出しているのを見て、私は少しだけ優しい気持ちになれました。今なら遠く離れていても、細やかに繋がっていると分かる気がします。
やがて日が沈み、薄明の空に溶け込んだ不思議な時間に迷い込み、今日の散歩はどこへ向かいましょう。空いた小腹が、私を賑やかな商店街へ誘います。
夕暮れを過ぎた商店街は活気に満ち、呼び込む声は一日を終えるのが勿体無いと思えるほどでした。人の良さそうな店主からいただいた、小さな焼き芋を食べながら、私も活気溢れる街の風景に溶け込むのです。ちょっとお行儀が悪いけれど、なんだかそれすらも楽しくて、やみつきになってしまいそう。
今日の月の入りは十八時三十九分。まだまだ夜は始まったばかりです。
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