月光散歩帳
かなで
朔
おはようございます。今日の月の出は五時十九分。
夜が朝と混ざり合って溶け出すような深い色が、空を緩やかに染めてゆきます。
太陽がとても眩しくて、今日の月はどこにいるのでしょう。夏の盛りを過ぎて苛烈さが和らいだ日差しは、それでも直視することのできない眩さです。きっとすぐ隣に浮かぶ月を、私は見ることができません。そこに確かに在るはずのものを見ることができない。それは曖昧な気持ちを見ることができないのと同じですね。けれど見えなくても確かに存在して、私と世界を繋ぎながら渦巻いているのでしょう。
やがてお昼を過ぎて、明るい街を一人で散歩しながらそんなことを考えるのです。北に位置するこの地域に訪れる秋は早く、澄んだ秋の空はどこまでも高くて、もこもこと触り心地の良さそうな雲がのんびりと浮かび流れています。蜻蛉が自由に飛び交い、たまに枝の先でひと息ついて、そんな昼下がり。のどかでふわりと進む時間のおかげで、いつもより寄り道もたくさんできました。
今日の月の入りは十七時二八分。素敵な今日を思い出しながら、おやすみなさい。
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