冷たい君は

第11話 ブレーメンのさんぽ

私には三匹の猫がいた

プリン、ハナコ、シャミ

二匹のメス猫と一匹のオス猫だ

三匹はいつも一緒だった 餌をもらう時も 扉をくぐる時も 雨の日に軒下で寒さをしのぐ時も そびえ立つ楠の枝で夕涼みをする時も いつも一緒だった…


私はオスのわりにお腹が出張ったプリンのモフモフが好きで 三匹を見つけたらプリンの肉球を狙ってこの 両腕を伸ばしていた…

しかも決まって この豊満な猫は他の二匹と比べて逃げ足が遅く…私が見たところ逃げているのだがもしかしたら驚いて振り向いてるだけかもしれない… 直ぐに私に捕まってしまう

すると ハナコとシャミはプリンに釣られて私の周りでニャーニャーと鳴きながらクルクルクルクル 彷徨い続け 私の周りに猫の移動音楽隊が出来る…

これが私はたまらなく好きだった…


三匹と一人の行進は特に夕方に開始される…

これは私の持論だが 猫に最も似合う時間帯は夕方 橙色の夕日が地平線の彼方に沈みかけ 七色の内もっとも波長の短い青紫色の雲が辺り一面を占めるその瞬間 (これが実に一瞬の出来事であるため 一度見逃したら翌日、ましてや次の晴れの日まで機会を逃してしまう)これも良いものだ…

むしろ この彼岸でも眺めているような、胡瓜きゅうり茄子なすまたればおそらく故人のもとへ一足飛びで向かえるだろう…

至福の時だ…


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