運び屋の日記帳。

天宮詩音(虚ろな星屑)

お手紙運送 1

宇宙の果て、辺境と呼ばれる銀河群のなかでも更に寂れたとある星系。


かろうじて宇宙の道路、星間トンネルの分岐した道が一本だけ通るそんな場所。


そこを通る船があるとすれば月一の定期便くらいで、

ここ数年はその船以外の宇宙船を通したことも受け入れたこともなかった。


「つまり、今日ものんびりと宇宙ソラを眺めるだけで仕事が終わるってわけだ」


検問所の職員は今日もだらけていた。


彼のようなめんどくさがりな人間にとってこの仕事は天職ともいえる。


そう、普段は基本的に暇なのだ。


この宇宙ステーションでは、検問所ともう一つの役割、治安維持があるのだが、

まあ、襲ったところで何か得られるものがあるわけでもない、

むしろ失うものが多すぎて割に合わないこの辺境では、

滅多にそんな輩は出現しなかった。


これがアウトサイドと呼ばれる宇宙域では話が違ってくるのだが。


そう、普段は、つまり今日は、いつもとは違うのだ。


「あれ、入域申請?都会の人間が何の用だろう」

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運び屋の日記帳。 天宮詩音(虚ろな星屑) @AmamiyaSionn

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