第7話 その2

英国王女迷子に!? あわや外交問題 お粗末外務省の大チョンボ

先月十七日から二十一日にかけ、過密な訪日スケジュールをこなした英国王一家。日本の威信をかけたこの大イベントは一見滞りなく終わったに見えたが、実はその裏に大トラブルがあったらしいことを弊紙は独自に突き止めた。なんと英国王の娘、つまり王女様が一時行方不明になっていたらしいのだ。とんだ「東京の休日」の顛末とは――。

外務省関係者はこう語る。「半日ほど王女が迷子になっていたんです。一時は政府関係者も騒然、外交問題になるところでした」――(中略)――そして極めつけに、事件を解決したのが一人の名も知れぬ男の子だったというから驚きだ。「王女が小さな男の子に連れられてひょっこり現れた時は皆心底ほっとしましたよ」(同関係者)。どうやら男の子が迷子の王女を案内したらしいのだが、男の子に話を聞こうと関係者が近づいた途端、彼はその場を逃げ去ってしまったとの事。「王女は男の子の事を随分気にしているらしいと後々に聞かされましたが、探し出そうにも名前すらわからず……今となっては真相も闇の中です」。

東京スポーツ 二〇〇九年三月三日


「今回の訪日においてそういったトラブルがあったとは一切把握しておりません」

官房長官 定例記者会見


「おい、なんであの話が漏れてる!? ようやく英国と手打ちしたってのに、ここで蒸し返されたら全部おじゃんだ!!」

「総理、落ち着いてください。大丈夫ですよ、どうせ東スポです」

首相官邸内における非公式打ち合わせ

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る