第1話 その1

ソ軍、西伯突入 全面總攻撃 市街既に失陥

【ベルリン特電廿五日発=UP特約】廿五日午前四時ごろ東西ベルリン境界においてソ軍が米英佛軍に対し突然攻撃を開始、その後西ベルリン全域にわたつて大部隊を突入させた。

【ベルリン廿五日発UP至急報=共同】各地の報道を総合するとソ軍は西ベルリン突入後一日足らずで主要拠点を占領せしめ、米英佛軍は有効な反撃を加えられず市街のほぼ全部をソ軍の自由に任せた模様である。ここに西ベルリンの命運は決した。

『毎日新聞』一九五三年二月二十六日朝刊 一面



そしてついに、アメリカはベルリン全域の帰属がどこにあるかを認めた。ああ、労働者の団結、ソ同盟の団結! 今日という日は、反動主義者の攻勢に屈しない強力な意志と、革命的大衆の圧倒的自覚と、絶え間ない無産階級者による闘争の成果として、その意義を永遠に謳い上げられるだろう。農奴制的地主や資本主義的略奪者達で構成される反革命的徒党が人民の階級的目覚めを支配の鎖で押さえつける時代は、今この時、断末魔の悲鳴を上げて終わりを迎える。そしてベルリン解放は、正に我らが勝利の先触れとなるのだ!

『イズベスチヤ』一九五三年十一月五日号 社説



もはや皆が知っている筈だ。誰がベルリンを失ったのか? その問いの答えを。認めよう。一九四八年から今日まで、米国は進む先を見誤った。そして多くの国民が知っているよう、我が国の美徳は狷介さより寧ろ過ちを素直に認める謙虚さである。必要なのは交渉と妥協の繰り返しでなどなく、ただただ力強さなのだ。それを実現するためなら、私は悪魔に魂だって売る。

『シカゴ・トリビューン』一九五六年八月二四日 朝刊            共和党第二十六回党大会 アイゼンハワー氏 大統領候補指名受諾演説 要旨

 


義務教育期間中の若者を軍の人材として活用すべきというアイゼンハワー大統領の要求は、強い米国の号令一下、三軍二隊に驚くべき積極性で導入された。それから半世紀を経た二〇一六年現在、本制度の最たる成功例とされた空軍青年航空兵制度は現在まで継続しているソ連との冷戦を背景に一貫して能力的需要の増大を見ている。一方、将来の新たな脅威に対する適応には考慮すべき困難も多い。然るに、典型的な若年航空兵が経験する課題を取り上げ、青春を軍務に捧げる若者達が成し遂げている個々の日常的成果を示し、同時に彼ら・彼女らが抱える課題について分析と評価を提供することは、米軍の将来における優位を保つうえで極めて重要であると言えよう。本書の執筆動機は正に右記の如きものである。

アンドリュー・キング (二〇一六)

一九五六年から二〇一六年までにおける若年航空要員制度の進歩と課題

RAND研究所

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