2 尻尾があるはずだ

「鈴ちゃーん、一緒に下山しない?」

 よく響くちょっとハスキーな声に誘われて、鈴香は手にしていた漫画を床に落とすとベッドに起き上がった。指先で軽く髪を梳いて、カットソーの裾を引っ張り、それから裸足のまま部屋を出る。

 歩くと足元で小さな音をたてる暗い廊下を抜け、中庭に面した座敷に出ると、裏から入ってきた祐泉ゆうせんさんがちょうど縁側に腰をおろしたところだった。彼女はまだ若くて、すらっと背が高く、はっきりとした目鼻立ちをしているから、もし普通のヘアスタイルで少しでもメイクしていれば、ファッション雑誌のモデルみたいな感じだろう。なのに頭は剃ってるし、お化粧もしないで、いつも煮詰まった番茶のような色の作務衣を着て、裸足に草履という格好だ。

「今日は土曜だから、下山しようかな」

 鈴香は縁側に出ていって、祐泉さんのそばに立った。

「土曜でも火曜でも、気にしなくていいじゃない」

 そう言って悪戯っぽく笑うと、祐泉さんは長い脚を組んだ。しかし鈴香にとってそれは大問題。何故ならここしばらく、学校を休んでしまっているから。


 せっかく学年の変わり目に転校したというのに、鈴香が入った中学は学年に二クラスしかなくて、大半が小学校からの仲間だった。気心の知れた友達どうしですっかりうちとけた雰囲気の中、鈴香は途方に暮れてしまった。

 友達って、どうやって作るんだっけ?

 知っていたような、知らないような。たまに何か話しかけられても、どう答えていいか判らなくて、思わず小さな声になってしまったら、相手はそれが聞こえなくて、会話はそれっきりだったり。何もかもがぎくしゃくとして、うまく回っていかなかった。

 毎日学校が終わってお寺に帰ると、ぐったり疲れて何もする気になれない。前の学校は家から歩いて五分だったのに、バスでの一時間近くかかる通学もすごく面倒だったりする。

 前の学校の友達に手紙を書いても、あっちはあっちで忙しいみたいで、あまり返事が来ない。メールならもっとましだと思うけれど、携帯を持っていないので仕方なかった。それに転校した本当の理由は誰にも話していないし、急だったので、みんな鈴香の事をどんどん忘れている感じだった。

 そして新しい学校に通い始めて半月ほどたった頃、鈴香は風邪をひいた。民代おばさんは「色々と疲れがたまってたのよね」と、優しく看病してくれた。風邪はそう大した事もなく、何日か休むと熱も下がったけれど、ちょうどそこでゴールデンウィークになった。そして連休が明けても、まだ本調子でないような感じだったので一日だけ休もうと思い、あともう一日休むことにして、それから後はもう、どんな顔をして登校すればいいか判らなくなって、なし崩し的に休み続けているのだ。

 お母さんなら、怒鳴りつけてでも鈴香を学校に行かせるところだけれど、南斗おじさんも民代おばさんも、厳しい事は言わなかった。ただ、時々何か手伝ってほしいことがあると声をかけて、あとは鈴香の好きにさせてくれていた。だから、近所の尼寺にいる祐泉さんから「下山」と呼んでいる買出しに誘われても、自由に出かけてもかまわない。ただ鈴香自身が、学校を休んでるのに平日うろうろするのはおかしいかな?などと気にしているだけなのだ。


「ねえねえ、あいついる?例の狸」

 鈴香の「下山」問題はとっくに解決済みという感じで、祐泉さんは座敷に向かって身を乗り出した。

「うーん、昼間はたいがい寝てるけど」

「じゃあ押入れかな。仁類ちゃーん、おやつ食べない?」

 彼女は座敷に上がり、少しだけ開いている押入を覗き込んだ。すると中でごそごそ音がして、オレンジ色の髪が現れる。祐泉さんは嬉しそうに「いたいた」と言いながら、肩にかけていたキャンバス地のバッグからおさかなソーセージを取り出し、「はい、ちゃんとここで坐って食べて」と、眠そうな顔の仁類をおびき出した。彼は今日もまた、寸足らずのジャージ姿だ。

 狸にも猫なで声って通用するんだ、と思いながら、鈴香は二人の様子を見ていた。祐泉さんは白くて細い指先で器用におさかなソーセージのフィルムを半分ほどはがすと、仁類に差し出した。彼はそれを両手で受け取り、あっという間に食べてしまう。

「だいぶ人間らしくなってきたね」と、彼女は感心したように言った。

「祐泉さん、この人のこと狸だって本当に信じてるの?」

「だって湛石さんが言ってるんだから、きっとそうなのよ」

 南斗おじさんによると、仁類を「発見」したのは湛石さんらしかった。離れに住んでいる彼の楽しみの一つは、山に住んでいる狸の餌付けで、夕食の残りを庭に出しておくと夜中に食べにくるらしい。そしてある日、いつものように狸の様子を見に障子を開けてみると、そこにオレンジの髪をした男の人がうずくまって、卵焼きと海老の天ぷらを食べていたらしい。そして彼はお寺に住み着いて、南斗おじさんに「田貫仁類」という名前をつけてもらった。

「人類になりたい狸だから、タヌキジンルイ。いい名前だろ?」

 そう説明してくれたけれど、たぶん酔っ払ってつけたんだろう。南斗おじさんはお坊さんなのに、お酒が大好きで、親父バンドでベースも弾いて、何でもありなのだ。


「まあ、私も最初はかなり疑ったわよね。記憶喪失の家出人かなんかじゃないかって」

 祐泉さんは、おさかなソーセージの名残を惜しむように、ぺろぺろと口の周りをなめ回している仁類を見ながらそう言った。鈴香もその説に賛成で、「だよね」と頷く。

「だからさ、もし狸だったら尻尾があるはずだと思って」と、祐泉さんはいきなり、しゃがんでいる仁類の背中に手を伸ばし、ジャージのパンツをひっつかんで脱がそうとした。思わず鈴は悲鳴をあげていて、気がつくともう仁類の姿は押入れの中に消えていた。

「んもう、毎回失敗すんのよねえ」

 落ち着いた様子で坐り直す祐泉さんの傍で、鈴香はただ呆気にとられるだけだった。彼女は尼さんになっている割に、いつもこういう掟破りな事ばかり考えているみたいだ。そこへ、「ギャーギャーうるさいと思ったら、祐泉放送が来てたのか」と言いながら、南斗おじさんが現れた。

「どうもお邪魔してます。鈴ちゃんと下山するんだけど、お買い物、何かしてきましょうか?」と、祐泉さんは軽い調子でにっこり挨拶する。

「それは嫁さんにきいてみて。台所にいるから。しかしお前さん、いい加減に動物虐待とセクハラは止めんとな」

「やーだ、人聞きの悪い。ちょっとした探究心の表れよねえ、鈴ちゃん」

 そう言われたって、鈴香も祐泉さんの暴れっぷりにはちょっとついていけない。

「全く、叡李院えいりいんの評判を一人で落としてるよなあ。鈴ちゃん、こいつが街で馬鹿なことしないように、ちゃんと見張ってないと駄目だぞ」

「そんな事しません。私が昔は外資系の役員秘書だったって、南斗さんまだ信じてないでしょ」

「当たり前だ。仁類が狸なのは信じるけどな」と、おじさんは大げさに目をむいてみせた。


 新緑のトンネルの隙間から、日差しがきらきらと降り注ぐ中を、祐泉さんの運転する白い軽バンは走ってゆく。お寺から街に向かう二車線しかない道路には、行き交う車も少なく、信号もない。

「絶好のドライブ日和よね。もうちょっとマシな車なら遠出しちゃうのに」

 祐泉さんが窓を少しだけ開くと、ひんやりとした風が、中にこもっていたお寺独特の線香みたいな匂いを運び去ってゆく。この車は彼女がいるお寺、叡李院に檀家さんから寄進されたもので、ボディに黒々と「崑崙山 叡李院」と入り、電話番号まで書かれているのだ。

「全く、民宿か和菓子屋みたいよねえ」と祐泉さんはいつも文句を言っているけれど、買出し役を押し付けられているのも気に入らないらしい。

「みんなペーパードライバーだからとか何とか、うまい事言っちゃって。でもまあおかげさまで、ちょっとした自由はあるわよね」

 鈴香と二人で出かけると、買い物だけで終わることはまずなくて、いつも寄り道して帰るのだった。

「鈴ちゃん、民代さんからリスト預かってきた?」

 祐泉さんに聞かれて、鈴香はリュックのポケットに入れた買い物リストを確かめた。野菜なんかは近所の農家から直接買ったりしているので、街で買うのは調味料やこまごまとした台所用品類だ。お醤油、お茶、アルミホイル、シャンプー、と並んだリストの最後に「仁類の服」というのがある。

 仁類がいつも着ている寸足らずのジャージは、南斗おじさんの息子の天地くんが中学時代に着ていたものらしい。「天地にも小さくなったけど、勿体ないから私が着てたの」と民代おばさんは言っていたけれど、まあとにかくそれは、仁類には小さすぎた。

「もうそろそろ暑くなるから、半袖のシャツとか買ってきてあげてってさ」

「だったら連れてくれば、かっこよく全身コーディネイトしてあげたのに」

「来るわけないよ。祐泉さん、さっきもいじめたところじゃない」

「でもさ、上はいいとして、下はサイズ判ってるの?無用に長い足してるけど」

「おばさんがちゃんとメモしてくれた。仁類ってさ、ジャージばっかり着てるけど自分の服持っててね、それを測ったの」

「あらそうなんだ。どんな服?」

「ジーンズとパーカー。湛石さんが見つけた時にね、それだけ着てたんだって。まだ寒いのに裸足で、パーカーは後ろ前だったらしいよ。そんな人が夜中に庭で狸の餌を食べてたら、普通は警察呼ぶよね。それを狸だって言って、居候させちゃうんだから」

「まあねえ」

 祐泉さんは何か考えるように、そう呟く。鈴香はまだ納得がいかず、話を続けた。

「ね、これって裸の王様みたいなもんじゃないの?湛石さんがボケちゃって変なこと言ってるのを、偉いお坊さんだから、みんな反対できないんでしょ?」

「確かにあの年だ。少しはボケててもおかしくないけど」と、笑いを含んだ声で祐泉さんは答え、ゆっくりとハンドルを切った。

「でしょ?仁類ってやっぱり人間だよね」

「そうとも言い切れない」山道のカーブに沿って、こんどは逆にハンドルを切りながら、祐泉さんは急に低い声になった。

「鈴ちゃん、仁類のあの髪、どう思う?」

「髪?オレンジなのは染めてるんだよ?狸だからじゃないよ」

「いや、それは私にも判るけどさ」と祐泉さんは笑い、そして「彼が現れて三ヶ月近くなるけど、ずっと髪全体がきれいなオレンジのままって不思議じゃない?」と訊ねた。

 言われて初めてはっとした。鈴香のお父さんは長い家出から帰ると、髪を茶色や金色に染めている事があったけれど、半月もすると徐々に黒い髪が伸びてきた。だから仁類の髪もそうなって当然のはずなのに。

「じゃあやっぱり、狸だからオレンジ色なの?」

「そうじゃないだろうけど、私はさ、仁類って誰かのコピーじゃないかと考えてるの」

「コピー?」

「つまり、誰かモデルがいて、その人を真似て化けてるのよ。だからコピーしたその瞬間で時が止まってて、髪も伸びないわけ」

「誰かって、誰?」

「さあね。あくまで仮定よ。もしかしたら単にヅラなだけかもしんないし。でもさ、仁類は少しずつ人間ぽくなってるでしょ?まあ、鈴ちゃんや南斗さんたちを見て学習してるのかもしれないけど、もしかしたらその誰かさんの頭の中身も、少しずつ読み込んでるんじゃないかしら」

「マジで?」

「それも仮定だけどね。でも面白いと思わない?」

「面白いっていうか、怖いよ」鈴香は急に仁類のことが、何か得体の知れないものに感じられてきた。いつもちょっと不思議そうな顔で、黙ってみんなのやりとりを見ていて、不器用でお箸が使えなくて、熱いものが苦手で、昼間はたいがい寝ていて、夕方になると変な風に箒を握って庭を掃いている。彼は本当に、人間に化けた狸なんだろうか。


「ちょっと小腹がすいたわね。アイスと言わず、ガツンとくるもの食べようかな」

 ショッピングセンターで一通りの買い物を終えて、荷物を入れたカートを押しながら、祐泉さんはフードコートに向かっていた。普通のお客さんの中で、スキンヘッドに作務衣姿、おまけに美人の彼女はとにかく目立っていたけれど、周囲の視線なんかまるで気にならない様子だ。一緒に仁類なんか連れてきたら、本当にシャレにならないと思いながら、鈴香は何を食べようかとフードコートを見回した。

 クレープ、パスタ、アイスクリーム、どれも気になる一方で、どうしてもこれがいい、という決め手もない。それでも強いて言えば今の気分はチョコレートとバナナのクレープかな、と決めかけたその瞬間、思いがけない相手と目が合った。

 同じクラスの水沢さんと井上さんだ。二人はクラブでもしていたのか、制服姿でクレープ屋さんの前に立っていた。鈴香はとっさにどうしていいか判らなかった。そう近くではないけれど、顔ははっきりと見える。そして向こうも同じように感じているのは明らかで、互いの間に一瞬で回線がつながったのが判った。

 どうしよう?笑いかける?手を振る?でも私、ちょっと口きいた事があるだけだし、ていうか、ずっと休んでるのになんでこんなところにいるのか、やっぱり変だよね?

 頭の中を色々な気持ちが飛び回り、跳ね返り、そして鈴香はいきなり回線を遮断すると水沢さんたちに背を向けた。

「祐泉さん、今日、外の喫茶店に行かない?」

「ん?いいけど?鈴ちゃんはどこの店がいい?」

「どこでもいい。外ならどこでも」とにかく一瞬でも早くこの場から立ち去りたくて、鈴香は早口でそう言うと自分のカートを押して出口に向かった。祐泉さんはちらりとクレープ屋さんの方を見たようにも思えたけれど、カートに手をかけると「そしたらジャスミン行こうか」と歩き出した。


 そうして行った「ジャスミン」という名の喫茶店で、鈴香はバナナシフォンケーキを食べ、祐泉さんはチーズとトマトのホットサンドを食べた。ここでは祐泉さんは常連扱いで、いつも他のお客さんも巻き込んでの馬鹿話で盛り上がるのだった。

「そいで私が戻ってきたらさ、逃げちゃってんの。駅員室に監禁しとけっつうのよね」

 OL時代に通勤電車で、女子高生を狙った痴漢をつかまえた話をしながら、祐泉さんはアハハと笑った。彼女は目も口も、更に声も大きいので、普通の人三人分ぐらいのインパクトがある。鈴香はその傍で紅茶を飲みながら、お父さんが喫茶店で働いていた頃をぼんやりと思い出していた。


 お父さんが去年家を出るまで働いていたのは、「水玉」という店だった。鈴香は土曜の夕方、塾の帰りに遠回りして、よくそこへ遊びに行った。勝手口が裏通りにつながっている細長い店で、いつも誰かお客さんがいて、お父さんと世間話をしていた。鈴香はたいがい、一番奥にある二人がけのテーブルに座って、出されたばかりの宿題をしながら、大人たちの話をラジオか何かのように聞くのだった。

 お客さんは皆、お父さんのことが大好きみたいで、コーヒーよりもお父さんと話をするのが目的で来ているように思えた。どうって事ない話ばかりなのに、お父さんが加わると、何故かすごく面白い事のように聞こえてくる。 

 鈴香は大人たちの弾んだ声を聞きながら、家でもこうだったらいいのに、とよく思った。お父さんは家では無口だし、何か言ったところでお母さんの返事はそっけなく、会話そのものが続かない。そして逆もまた同じ。お父さんはお母さんの顔も見ずに、短い返事をするだけだ。

お客さんと話す時みたいに、もっとちゃんと聞いてあげればいいのに。

一度だけ、鈴香はその考えをお父さんに伝えたことがある。答えは「お客さんと話すのは仕事だもの」だったけれど、正直言ってお母さんとの会話の方が仕事っぽかった。

 そして店にはお父さんの古くからの友達も来た。彼らはお父さんを「マキ」と呼ぶ。バンド時代に全部片仮名で「コカヂマキオ」と名乗っていた名残でもある。お父さんいつもその友達たちと草野球やセッションの約束をして、喫茶店が休みの日はほとんど出かけていた。鈴香にしてみれば、寂しいけれど、家にいて退屈そうなお父さんより、「ただいま~」と、少し鼻にかかった声で、夜遅くに機嫌よく帰ってくるお父さんの方がましだった。そしてお母さんは「自分だけ楽しんじゃって」と、パソコンの画面に向かったまま呟くのだった。

 実はお母さんにも、別の名前があった。ネットの掲示板で使っている「サマンサ」というハンドルネームだ。偶然パソコンの画面を見てしまったせいで、鈴香はその名前を知った。こっそり掲示板をチェックしてみると、「サマンサ」はほぼ毎日のように、あちこちの話題に登場していた。「義理の姉が不要になった衣類を送りつけてきます」、「職場で私だけがトイレ掃除を押し付けられています」、そんな相談に対して「あなたにも何か、落ち度があったのでは?」などと全体に辛口だった。

 ともあれ、「マキ」は友達のところに、「サマンサ」はネットの中に、それぞれ居心地の良さを見つけているようで、3DKの賃貸マンションはそのためのベースキャンプのようなものだった。鈴香はしかし、お父さんが仕事に行って、お母さんが自分に対して辛口にならない限り、別に文句はなかった。


 ジャスミンでずいぶんと長居をしたので、お寺に戻る頃には太陽はもう山の向こうに隠れようとしていた。南斗おじさんも民代おばさんも姿が見えず、本堂のある母屋は静まり返っている。鈴香は頼まれていた買い物を台所に置くと、誰かいないかと縁側に出てみた。

 日課の庭掃除を済ませたらしい仁類が、箒を軒下に転がしたまま、丸くなってまた昼寝している。本当によく寝るなあと思ったその瞬間、祐泉さんの言葉が甦ってきた。

「ずっと髪全体がきれいなオレンジのままって不思議じゃない?」

 確かに、今こうして見ても、仁類の髪はやっぱりオレンジ一色だ。祐泉さんが言うみたいに、本当はカツラだったりするんだろうか。鈴香はそっと足音を忍ばせて彼に近づくと、その髪をひと房つまんで勢いよく引っ張った。

「いたっ!」

 仁類は飛び起きると、転がるように庭に降り、それからそっとこちらの様子をうかがった。鈴香は慌てて「ご、ごめんなさい」と謝ったけれど、そこでようやく気がついた。

「いま、しゃべった?」

 そう言われた仁類の方が鈴香よりもずっと驚いた様子で、ぽかんとしたまま、固まってしまった。

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