第39話 決着!!
「…さあ、みんなの所へ帰ろう…」
「…うん」
両手でチヒロを抱え空を飛ぶ『
じっと『
実際、身体は女性になってしまってはいるが…。
「…あ…れ?」
急に脱力する『
何と突然変身が解け元の『
「どうしたの?」
「『エンジェルインストール』の効果が切れたみたい…」
『
しばらくすれば自然に回復するのだが、今敵に襲われたらまともに戦うのは難しいだろう。
だが最悪の事態は最悪のタイミングで訪れる…。
後方と側面を警戒させていた『エターナル・ツー』と『エターナル・スリー』が水面から突如飛び出して来た水の槍に貫かれてしまったのだ。
光の粒子になって消えていく二人。
「…!! 一体何っ?!」
空中で急停止して周りを見回す『
しかし敵の姿は見当たらない。
だが彼女には嫌な予感がして仕方が無かった…。
「『エアブロック』!!」
空中に留まる空気のブロックを数個出現させ組み合わせ人ひとりが横たわれる位の透明なベッドが出来上がる。
そこにチヒロを横たえて一人残った『エターナル・ワン』にこう言った。
「あなたはお姫ちゃんを連れて先に行きなさい…頼んだよ?」
『イエスマスター』
「ええっ!? そんな…!! ツバサちゃんはどうするの!?」
動揺するチヒロ…いくら今の自分が無力だとしてもツバサを残して一人だけ逃げるのは耐えられなかった。
「ツバサちゃん…後ろ!!」
何と音も立てずに『
「さあ行って!! 『マックスピード』!!」
『
その直後『
「…う…ぐ…あ…」
苦しそうなうめき声を上げる『
「…アタシの命はもう長く無いわ…でもね…アタシの計画の邪魔をしたあなただけは絶対に許せないの…!! さあ一緒にあの世に行きましょう? 一人じゃ寂しいのよ…アタシ」
彼女は『
ピロロロロロロロ…。
「ん? 何だ?」
『
それを手に取って見ると、先程『エターナル』達に持って行かれていた魔法が戻って来ているではないか…
「どう言う事…? 何で今戻って来るの?」
訝しがる『
「…!! まさかツバサの身に何かあったんじゃ…!!
おい『
「…ええ…分かりましたわ!!」
『
そこには『
「…!! ツバサさん!?」
「どうなってんだ!! アイツは倒したはずだろう…?」
驚きを隠せない『
「…何て執念なんだ…『
神妙な表情で『
「…距離はここから2kmはあるか…吾輩の『レールキャノン』で狙えない距離ではないがツバサも巻き込んでしまうな…」
伸縮式の望遠鏡で様子を窺っていた『
「…自分なら狙えるっス!!」
不意に後ろから声が掛かる。
一同が振り返るとそこには一人の魔法少女が立っていた。
栗色のショートカットのくせっ毛に真っ赤なサンバイザーを被り、
ストライプの野球ユニホーム風コスチュームにショートパンツ、
右手には真っ赤なバット型マジックデバイスを持った魔法少女…。
『
傍らには彼女のマスコットのソバットも居た。
「…あなた…!! 無事だったのですか?!」
『
『
「羽根が六枚ある女神さまみたいな出で立ちの人が助けてくれたっス!!
街の人も全員では無いんスが無事っス!!」
体育会系特有の言い回しで力強く答える『
「それよりツバサ先輩がピンチなんスよね!? 自分に任せて欲しいっス!!」
どう見ても彼女の方がツバサより年上なのだが…今は誰も突っ込まなかった。
『
「おいおい!! 狙う方向が逆だよ!!」
目の前の彼女のおかしな行動に流石に突っ込みを入れざるを得ない『
「いえ!! これで合ってるっス!! …『ワンマンベースボール』!!」
右手のバットがグローブに変化し装着される…どうやらサウスポーの様だ。
思いっきり振りかぶり、上げた右足が真っすぐ天に向かう…。
そして渾身の力を込めて投げる!!
豪速球が炎を纏い飛んでいく!! …すると今度は『
グローブは既にバットに戻っており、右手のバットを正面に突き出し、左手で右肩を掴む…まるで予告ホームランのサイン。
そしてバッティングフォームに移行。
迫る火の玉魔球!!
「…行っけ~~~~っ!!!」
フルスイングしたバットはど真ん中に飛んで来た火の玉を芯で捉た…!!
カキーーーーーーーン!!!
爽快な打撃音を発しながら球は飛んでいく…。
一同はポカンと口を開けたまま只々打球を目で追うしかなかったが、その球も一瞬にして見えなくなっていった。
「…あぐっ…ふあっ…!!」
首を絞められ苦しそうにうめき声を上げる『
「ああ~ん…いいわ~ん…あなたのその表情…ゾクゾクしちゃう…」
恍惚とした表情を浮かべ舌なめずりする『
わざわざ後ろから掴んでいた彼女をその苦悶の表情を見るためだけに自分の方へ顔を向けさせていた。
直ぐにでも
「もうちょっとその顔を見たいたいのだけど…アタシも時間が無いの…そろそろ…死んで?」
自分も後が無いのを悟ったのか遂にとどめの態勢に入った…。
のだが、『
「…ギィ…ギニャアアアアアア!!!!?」
何が起きたか分からず激痛に悲鳴を上げる。
そのせいで一瞬彼女の腕の力が緩んだ…喉を解放された『
「『ブリザード』!!」
「…ヒャアアアア!! 身体が…!! 身体が凍る…!!」
冷気を纏った風が吹き付ける。
身体の殆どが魔力を含んだ水分で出来ている『
以前、『
完全に凍結した事によって背中の翼も動かせず飛んでいられなくなった『
「ギャアアアアア…!! とっ…解けてしまう…!! 身体が…!! …嫌アアアアアア!!!!
超回復を担っていたチヒロを奪われ、凍結させられたせいで体表の細胞を破壊された事によって『
「…コンダクター…?」
彼女の断末魔に叫んでいた名前…一体誰の事であろうか…。
しかし『
ただの人間の女の子に飛行能力があるはずが無い…。
ツバサは気を失いそのまま湖面に真っ逆さまに落ちて行った。
しかし水面に浸かる寸前で空中に停止…。
フワッと再び空に向かって上昇を始める。
そしてとある女性が差し出した両腕の上に横たわる様に乗ったのだ。
「…全く…この子は…無茶し過ぎだよ…でも…良くやったね…」
ツバサに優しく声を掛ける女性…美しい黄金の髪、海の様に蒼い瞳、
純白の布に身を包み、背中には三対六枚の天使の羽、
頭の上には光り輝くリングが浮かんでいる。
そう、この人物こそ伝説の魔法少女…『
「それじゃあ帰りましょうか…お友達が首を長くして待ってるよ…」
『
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