第2話 言わない自分が悪いのか?退職!
病院を出て駅に向かって歩いていたら携帯電話が鳴った。
主任の名前が書いてあり、まだうつ病だと受け入れてない頭なのに説明するのか、とため息が出た。
けど、医師はこれを想定していたのか私に甲状腺の病気が悪化した、というように助言をくれた。
現に甲状腺の方は手術したにも関わらずホルモン値がどんどん上がって甲状腺治療で有名な病院からは放射線治療しかない、とまでいわれており、それも苦痛だったのを話していた。
現状に対し、私の体がついていけないオーバーヒートな現状の中、電話を受ける。
「もしもし………」
「どうだった?何て言われたか説明して欲しいけど時間は大丈夫?」
「あ、大丈夫です。実は仕事をしばらく休むように言われて、その……」
急に電話の声が大きくなりビックリする。
「え、そんなに悪いの?明日、説明してくれるかな?」
ふと医師と話した内容を思い出す。
勤務先には診断書だけ出して仕事にかかわる事はしない方がいい、と言われた事を。
だけどケアマネージャーという仕事は一人でやる業務が多く自分の受け持ち利用者以外は知らない事が多い。ましてや難しい症例ばかりを抱えていた私が急に長期休暇なんて許される状況ではない。
「わかりました。では、明日朝でも……」
言いかけた所で電車の発車ベルが鳴りだした。
「すみません。今から電車に乗りますから、失礼します」
「了解しました」
事務的な電話が終わり、急いで階段を上がり電車に乗った。
家に帰ってから電気をつけようともせず、じっと居間に座り込んでしまった。
「う、う、う………」
明日の事を考えただけで涙があふれて止まらなくなった。
「なんで、私が…うつ病なんて……そんなのいやや!」
メンタルが弱っていたのか?それとも甲状腺ホルモンが上がった作用に精神面の不安定があるが、そのせいか?
答えを探したくても私の中では探せなくて、ただ泣くしかなかった。
「ただいま」
相方が帰ってきて泣いている私を見て目を丸くして聞く。
「どうした?何かあった……」
「うち、鬱病って言われたわ。仕事をしばらく休みなさいって。どうしたらいい?」
小さな声しか出なかった私に相方がため息を吐く。
「何か、そんなの仕方ない。ずっと働いてきたからしばらく休んでも俺の稼ぎで何とかするわ」
「え!」
急に頼りがいのある相方の一面を見て、驚きで顔をあげる。
彼は怒るのではないか、と勝手に思っていた私に療養しろ、と信じられない言葉をくれた。
彼の会社は場所こそ移れど、事務員を雇い、何とか会社として成り立っていた。
今まで人を優先にしてきた私に自分を優先していきなさいなんて言われる思考は当時の私にはなかった。
「ありがとう。でも会社は長期の休みなんてくれない、と思っている」
「その時は退職して、落ち着いてからまた仕事をしたらいい、と思う。今はどうするか?が先………」
「うん、うん………」
相方に話して気持ちは軽くなったが、明日は自分が行かないと解決しない部分ばかりが残っている。
その憂鬱を胸に薬を飲んで床に入った。
朝の陽ざしが眩しい中、布団から起き上がるのすら億劫に感じた。
鬱病の場合、考える事は悪い事ばかりでいい事は浮かばない。
私もその頃は、悪い事のループにはまったまま出られず職場に向かった。
「おはようございます」
二月の後半、この日から一週間、私にとって地獄の日々が始まったのだ。
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