第20話




「あほか…!」


本当のことを全部ぶちまけた時、佑樹から返って来たのはそんな言葉だった。




「そ、そりゃあそう思うかもしれないけど…で、でも、私、本当に……」


本気で泣きすぎて、苦しくてうまくしゃべれない。




「おまえ、昔から超常現象とか信じないって言ってたけど、本当はめちゃめちゃ信じてるよな。

しかも、すっごい妄想族だ。

それは別に良いけど、今回のことは断じて魔法の木の実のせいなんかじゃない!」


「だ、だから…そう思うのは、あんたが魔法にかかってるからで……」


「そうじゃないって……

だって、俺がおまえのことを好きなのは、ずっとずっと昔…子供の時からだもん。

多分、初めて会った時からずっと……」


そう言うと、佑樹は照れくさそうにそっと視線を逸らした。




「え……嘘……だ、だって、あんた、私に何度も恋愛相談とかして来たじゃない。」


「ばか!本当におまえは鈍いんだから!

あれは、気を引きたくて…だな…

ま、おまえはヒデのことが大好きだったから、俺のそんな気持ちにも気付かなかったんだろうけど……」


「そ、そうなの…!?」




おかしい。佑樹のことは友達や弟としか思ってなかったはずなのに、なんだろう…このときめきは……




「あ、あのな。

俺、今月末にまた実家に戻って来るから。」


「え…?そ、そうなんだ。」


「だから……責任取って、付き合ってくれよ。

俺、魔法の木の実食べちゃったんだから!

おまえ以外、もう誰も好きになれないんだからな!」


「ゆ、佑樹……」




なんだ、なんだ…佑樹にしては、うまいこと言うじゃないの。

かなりキュンと来てるんですけど~…

佑樹は私の顔をじっとみつめて……

お互いの時が止まってるみたいなロマンチックな瞬間……




「……それにしても、おまえ酷い顔してんな…」


ぷっと吹き出して、佑樹は肩を揺らす。




「ば、ばかっ!」




恥ずかしくなって私はトイレに駆け込んだ。




鏡に映る私の顔は本当に酷い顔だったけど……




でも……とても嬉しそうに笑ってた。





~fin

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告白は魔法のチョコで 神在琉葵(カミアリルキ) @rukii

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