第19話
「無理すんなよ…ヒデに聞いたんだな…結婚のこと……」
け、結婚?なに、それ?
「まぁね……」
混乱しすぎてわけがわからない。
だけど、私は適当にそんなことを言って……
「ヒデの彼女…すっごく良い人なんだ。
あいつ、春から海外に行くことが決まって、それで結婚に踏み切ったみたいだぜ。」
ヒデくんの彼女…?
海外?
結婚……?
え?え?……どういうこと?
「……美里、大丈夫か?」
「え……あ、あぁ……うん……」
大丈夫な筈がない……酷いよ。
ヒデくん…どうしてそんな大切な事、話してくれなかったの?
「ヒデくん、なんでチョコ受け取ってくれたんだろう……?あ……」
私は、自分でも気付かないうちに心の中の想いを言葉にしてた。
「そりゃあ、おまえのことが大切だからじゃないか。
……あれ?結婚のこと聞いたのは、チョコを渡した後なのか?」
私は曖昧に頷いてみせた。
「……そっか……」
やけにしみじみした声で短くそう言った佑樹の瞳はうるうるしてて……
もう…そんな顔見たらこっちまで泣きそうになるじゃないの。
元々、泣きたいのはこっちなんだから。
「美里…俺はヒデみたいに格好良くないし、優秀でもないけど…
でも、全力で頑張るから……」
『全力で頑張る』
……佑樹の昔からの口癖。
ううん、口癖なんかじゃないね。
実際にいつもどんな時も手抜きしないで全力で頑張る人だもん。
そうだ…良く考えてみたら、こんな人に全力で愛されたら、きっと、私は幸せになれるだろうな。
今すぐに、恋愛感情を抱くのは無理かもしれないけど、きっとじわじわ好きになれると思う。
でも、本当にそれで良いのかな?
責任感だけで付き合うなんて…そんなの却って佑樹に対して失礼なことなんじゃないのかな?
とはいえ、それ以外に、責任を取る方法も思いつかず…
いろいろ考えてたら、どうしたら良いのか全然わからなくなって来て……
ヒデくんのこともショックだったし、えらいことしたっていう罪悪感やら、もう心の中はごちゃごちゃになって……私はとうとう泣き出してしまった。
「ど、どうしたんだよ!?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます