第17話

『美里、ごめん!

昨日、おふくろがパン教室でチョコのパン作って来たからそれ食わされたんだ。

だから、美里がくれたのは今日食べるつもりだったんだけど、夜遅くに佑樹が来て、あれ、持ってっちゃったんだ。

美里がどんなの作ったか見てみたいとか言って。

せっかくくれたのに本当にごめん。

でも、佑樹、すごくうまかったって言ってた。

ホワイトデーには何か良いもの送るから、本当にごめんな!』




な、な、なんだって…!?

あれを佑樹が食べた…ですと??




それはそれで、ますます困る!

だって、私達はお互い本当に友達っていうか、兄弟…あいつは、ヒデくんみたいに頼れるところがないから、年は上でも兄さんっていうより弟みたいな感じなんだけど。

つまり、お互いに恋愛感情ナッシングな関係なのに、ややこしい事になったらどうすんの!?


焦った私は、今度は佑樹に今日会えるか連絡してみたら、あっさりOK。

残念ながらヒデくんは式が終わったらそのまま帰るらしいけど、今回の場合はヒデくんがいない方が良い。


私は駅前のファミレスで佑樹と待ち合わせることにした。







「おう、美里、久しぶり!」


「おうっ!」




佑樹とはいつもこんな調子だ。




「なになに?今日、わざわざ会いたいなんて言うって事は、もしかして愛の告白?」


注文を済ましウェイトレスさんがあっちに行くと、佑樹は途端にそんなことを言い出す。




「馬鹿言ってんじゃないよ。

あのさ…あんた、私がヒデくんにあげたチョコ、食べたんだって?」


「えっ!?ヒデ、そんなこと言った?」


佑樹は、一人でぶつくさと愚痴ってる。




「ちょっと、黙って!

今から聞くことに、真剣に答えなさいよ。

茶化したり誤魔化したりは、なし!

……良いわね?」


「お、おう…わかったけど何なんだよ。」


「あんた…もしかして私のこと好きなんじゃない?

友達とかそういうんじゃなくて、恋愛感情ってことだよ。」


「えっっ!?」




佑樹の様子がおかしい。

俯いたまま変にもじもじして……




(ま、ま、ま、まさか…!)


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る