第3話




「ねむ……」




朝4時に寝たことはあっても、起きたことなんていまだかつてなかった。

半分寝たまま準備をして、私は始発電車に飛び乗った。

そこから、何度も乗り換えて…

最終的には一両しかない列車に乗って、ようやくたどり着いたのは、何もない…駅員さんさえいない無人駅。


これほどのひなび度を希望したわけじゃなかったんだけど、これはこれで貴重な体験だと自分に言い聞かせた。

そうでもしないと、余計に後悔しくなりそうだったから。


何時間も乗り物に揺られて、ここに着くまでにどっぷり疲れてしまったけど…

とりあえず、送迎の車が来てるはずだから…それに乗って旅館に着いたらご馳走食べて、温泉入っておいしい地酒飲んで最高の気分でゆっくり眠るんだ!


そんなことを考えながら駅の外に出てみると……




(まさか、ね……)




だって、そこに停まっていたのは一台の軽トラだったんだもん。

これが送迎の車のはずはない。

まだかなぁ?と、私がきょろきょろしていたら、軽トラのおじさんが明るく声をかけて来た。




「富永さんかい?」


「え…は、はい、そうですが……」


「迎えに来たよ。

さ、早く乗って。」


「は、はい。」




(う、嘘ーーーー!)




私は心の中の動揺を悟られないよう、やたらと愛想良く微笑みながら、おじさんのとなりの席に乗り込んだ。



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