第17話

「一つだけ、君と話していて不思議に思ったことがある。どうして君は裏サイトに入ることができたんだ?


「人に聞いた? それはあり得ない。だって君は友達がいないだろう。誰に聞くって言うんだ。そして誰が教えると言うんだよ。携帯アドレスも知らない、ましてや普段話すこともない奴に、こんな楽しい情報を教えるとは思えないね。


「いや、話す人間がいたところで、可能性は低い。裏サイトは最初、まったく広まっていなかった。君と話す人間が偶然知っていたとは思えないね。そして裏サイトが広まった後だとすると、更に可能性は低い。先程も言ったように、裏サイトが広まるとほぼ同時に、このメールが広まり出したんだ。君のような攻撃しやすい人間にわざわざ教えるわけがない。


「よって、君にはどうやったって裏サイトの情報を知ることができない。ならば、どこから裏サイトの情報を得たのか。


「君にネット上で探し出せるわけがない。だって君は、検索エンジンの違いさえ知らないんだから。そんな君に見つけられるほど簡単に探せるようなら、既にこの裏サイトだって消されているよ。


「考えれば分かることだ。情報を探さなくても聞かなくてもいい人間がいる。そうさ、君が裏サイトを作った張本人だったなら、話は別だ。


「サイトを作るのは多少知恵があれば可能だ。今どきサイトの作り方なんて、ネットで探せば腐るほど見つかるよ。それこそどんな検索エンジンでも探せる。多少知識がないくらいでは、できない理由にはならない。付け加えるなら、裏サイトはバグだらけだと私は言ったね。初心者の君が作ったからだろう?


「では何故、君が裏サイトを作ったのか。それはこのチェーンメールを広めるためだった。最初のスレッドのテーマがこのチェーンメールだということからも明白だ。


「裏サイトを見に来た人間が最初からわざわざこんなわけの分からないスレッドを建てるわけがない。どう考えても不自然だ。それに最初のスレッドがサイトを作った人間以外が建てるというのも不自然なんだよ。


「よって、裏サイトを作った君が、このチェーンメールをつくったと結論が導かれるんだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る