第9話 一日目 ~夜~ その六

「で?」

 女はグラスに注いだブランデーの瓶をベッドの脇にある机に置いた。猫が氷を舐めるようにして少しだけ口に含む。

「首尾はどうだったのよ」

「一人は肋が全部砕けてる。もう一人は顎が外れた上に割れて、尾底骨にヒビが入ってる」

 もっとも、いつバラバラになってもおかしくないが。恐らく猫が背中の上を歩いただけで音を立てて砕け散るだろう。戦力以前の問題だった。今はベッドの世話になっているが、平和な時代で良かったなと嫌味の一言でも浴びせてやれば少しは早く傷も癒えるだろうか。

「結論から言いなさいよ」

 平気で上から目線でモノが言える神経は腹立たしいと思うより羨ましさが先に立つ。真似をしたいとは思わないが。

「それで上手く行ったと思うか?」

 さっきとは対照的にグラスに残っていたブランデーを一気に煽った。いつからこういう飲み方をするようになったのか、もう思い出す事も出来ない。

「あなたの部下って、そんな使えない人ばかりなの?」

「蟻だって成果を生み出してるのは全体の二割しかいない。その中に含まれない奴がいたとしても別段不思議はないだろ」

「物知りなのね」

 女、ジュリはグラスに並々とブランデーを注ぐ。掌でグラスを包み込むとゆっくり揺らす。

「組織に属する人間全てがシャカリキに働く訳じゃない。そうなったら戦で負ける軍隊もなくなるだろ」

「ただの屁理屈でしょ」

 それ以前だ。履いて捨てるような一般論を聞かせたとしても素直に吸収出来るような理解力はこの女にはない。酒が入っているなら尚更だ。

「ただ、二人とも腕に全く覚えがない訳じゃない。日向ぼっこしか能がない今日日の兵隊連中に比べれば余程腕が立つ」

「その二人を軽くあしらうだけの力量がある」

 そういう事でしょ。言葉の意味を確かめるようにこちらを見る。否定出来ないし、そもそもその必要もない。ベッドの脇に転がっていた椅子を手元に引き寄せると腰を下ろして足を組む。

「そう考えたらあまり悠長に構えるのは得策とは言えないわよね」

 ロイドは少し顔を背けると伸び始めた親指の爪で耳の裏を掻いた。意見としては至極全うだが聞き入れるにはやや難があった。よく知りもしない輩がに知ったような口を聞くとそれだけで癪に障る。それを表に出すような真似はしないが。

「手は打つさ。流石に、野放しにする程間抜けじゃない」

「違う。そういう事を言ってるんじゃない」

 握っていたグラスを少し乱暴に机に置いた。残っていたブランデーが跳ねて手に付く。

「昨夜も見張りが一人殺されたじゃない。あなた、何も思わないの?」

 言わんとしたい事は判るが、余計な口は挟みたくなかった。 それが何を意味するのか、この女の口から直接聞きたかった。試すように軽く首を傾げる。途端に眉間に皺が寄った。わざとらしく溜め息を吐いてうんざりとするように首を横に振る。

「本ットに頭の悪い男ね。昨夜の一件と今日の男、同一人物だとは思わないの?」

「全くないとは言わない。だが可能性は低いだろうな」

 ジュリの顔が露骨に不機嫌そうに歪んだ。自分の推論を一考の余地もなく否定された事がそんなに気に食わないのだろうか。人の意見は平気で否定する癖に。それを当たり前のように棚に上げられる神経はやはり並ではない。真似をしようなどとは死んでも思わないが。

「仮に同一人物だとして、昨夜一人こちらの兵隊を殺した後に翌日の昼まで何をしていたのかがそもそも疑問だな。この街に侵入する事が目的なら邪魔者を排除出来た時点ですぐに中に入ればいい。バレないように工作した上でな」

「つまり、どういう事?」

「兵隊を殺した輩の意図も目的も不明だからハッキリした事は言えない。ただ昼間の輩とそれが同一人物だとしたらやってる事に一貫性が感じられない。それにいくつか付け加えれば、殺すにしてもやろうと思えばそれ自体を隠す事も出来たはずだ」

 少しずつ酔いが回り始めて来ているのか、さっきより明らかに思考に要する時間が長くなって来ている。と言うより、酔いで頭が回らないのだろう。眉間の辺りを指先で頻りに擦るばかりで黙っている。

「確か、殺された見張りは家屋と家屋の間の路地に転がってたって話だよな」

「そうだったわね」

「殺された瞬間を見た、或いは悲鳴を聞いた者もいない。間違いないか?」

 応えるのが面倒臭くなったのか、こちらを睨んだまま頷いた。ロイドも頷き返した。その方が話しやすい。

「左胸を鋭利な刃物で貫かれてほぼ即死、って聞いたわよ」

「鎧の上からな」

 鎧と言っても革をなめした程度のものだが、それでも生身の相手を刺すのとは勝手が違う。胸だけでなく、鎧に空いた穴からも血が噴き出ていた。最初に発見した同僚の兵士は口を押さえながらそう報告した。

 椅子から立ち上がると机に置かれていたブランデーとグラスを取る。

「相手が誰かを探る前にやるべき事があるんだがな」

 鼻に近付けて香りを楽しむ。ジュリは静かにグラスを揺らしながらこちらを睨んでいた。

「何をすべきだって言うの?」

 さっき言ったんだけどなあ。何を聞いてたのかなあ。とは言わなかった。ブランデーを少しだけ口に含む。

「相手の目的が判れば理想か。さっきも言ったと思うが」

 だが、実際には難しいだろう。相手が特定出来たとしてもそれを知っているとは限らない。それを考えれば確かにジュリの指摘する通り形振り構わず相手の捕獲に乗り出せばいい。

 それが出来れば苦労はない。出来ないからこそあれこれ余計な事を考えてしまう。何れにしても、最も必要なのは情報なのだ。相手は誰なのか。目的は何なのか。武器は? どうやって殺した? どんな些細な事でもいい。それがあるのとないのとでは雲泥の差がある。

「あれこれどうでもいい事をいつまでも延々と考え続けるのだとしたらいかにもあなたらしいけど、勿論何かしらの手は打つんでしょ」

「取り敢えず、身を隠せそうな場所を当たらせよう。しらみ潰しに探せば何れ必ず見つかるはずだ」

 人の痕跡を完全に隠すのは考える以上に骨が折れる。だが、人海戦術にものを言わせれば不可能ではない。相手は恐らく少数、いや一人に違いないがこちらは人だけは豊富だ。

「人を割いてそこまでするのも馬鹿らしくない? そいつを見たかどうか聞いて回れば案外すぐに尻尾を掴めるんじゃないの?」

 出そうになった溜め息を辛うじて喉元で抑える。それを指摘したところで事態の好転には一切寄与しない。黙るのが吉だ。

「この街の規模がもう少し大きければその必要もあったかもな。これだけ小さい街で見慣れない顔を見かけたらそれだけで十分目立つ」

 昼間の男がそうだったように。もっともそちらの場合は行動も実に派手だったが。

「何が言いたいの?」

 口調と表情が徐々に険悪になって来た。馬鹿にされた事より、話の趣旨を的確に理解出来ない事に腹を立てているように見えた。

「まず誰かに見られるような間抜けじゃないだろうな」

 こちらの兵隊を誰にも見られずに殺し、姿を隠して侵入したような輩がその後街で誰かに見られるような愚を犯すなど到底考えられない。かなり物騒な目的を持ってここに来た事は間違いない。そして、相当な腕前の持ち主だ。だとしたら、余計に腑に落ちない事がある。完全に自身の存在を隠して侵入する事も出来たはずだ。それだけの技量は間違いなくある。ならば、何故わざわざ殺したのか。目立つ場所に死体を放置していた訳ではないが、それでも時間が経てば人数が足りない事などすぐに気付く。そうなればこちらも身を入れて捜索に当たる事など目に見えている。相手に気付かれればその分動きづらくなるのは火を見るより明らかだ。なのに、どうしてそのような手段を選択したのか。

 それとも、見られた事を隠そうとして慌てて殺した可能性も考えられる。ロイドはすぐさま首を横に振った。相手の存在にこちらが先に気付いていたとしたら、目撃者が誰一人いない事の説明がつかない。人気のない時間帯、夜間に見覚えのない人影を見たけたらまず声を上げる。戦闘になれば物音だけでなく剣がぶつかる音くらいは聞こえるはずだ。だが、誰一人としてそんな音を聞いていないし、不審者や殺された瞬間を目撃した者もいない。だとすると、こちらが先に気付いたがそれを周囲に知らせる間もなく一瞬で殺されたか、気付く前に殺したか、そのどちらかしかない。殺された兵隊の剣は鞘に納まったままだったとも聞いている。抜かれた痕跡はなかった、と。腰に剣を差したまま、胸から血を流して倒れていた。

 昼間の男よりも余程厄介だ。姿が見えないだけに余計始末に悪い。

「決して大きな街じゃない、そんなところに余所者が来ればそれだけで十分目立つんだよ。街の住人が気付いている事はまず考えられない。知っているのは極限られた人間だけだ。だから、目撃証言を拾うなんて馬鹿な考えはすぐに捨ててくれ」

 部下にもそんな間抜けな指示は出せない。ただあまり派手にやるのも考えものだ。兵力や人数、兵士の力量、そういったこちらの手の内を相手に晒す事になる。そしてこちらは得るものが何もなかったとしたら。

 大山鳴動して鼠一匹と言われそうだが、それが鼠ではなく獰猛な獣の恐れは十分にある。その上、全く姿が見えない。そいつが喉笛に食らいつく前に、何としても始末する。ようやく手にした安住の地をこんな事で手放す訳にはいかない。グラスに残っていたブランデーを一気に飲み干した。喉から胃が熱さで焼かれたが、頭は冴えたままだった。噎せ返る事もなく、二杯目をグラスに継ぎ足す。

「なかなかいいペースね」

 ジュリがからかうように笑った。

「あまり無理しない方がいいんじゃない?」

「いつもとそう大して変わらないだろ。煽ったから速く見えるだけだよ」

 揺らして香りを楽しむ事もせず、薬でも飲むようにグラスを傾ける。

「案外臆病なのね」

 鼻で笑うでもなく、意外そうにジュリは言った。

「常に最悪の事態を想定して、それを確実に回避する手立てを講じる。戦略を練る上での基本中の基本だ」

 同時に原則でもある。どうなるのか判らない以上、考えられる可能性全てを挙げ一つひとつを確実に潰して行く。最初から思い描いた理想に向かうのはそれこそ愚の骨頂だ。そんな簡単に事が運べば誰も、何の苦労もしない。何が起こるか判らないからこそ慎重になるのだ。逆にそれで身動きが取れなくなっては本末転倒だが。

「そっちもいいけど、こっちの事も少しは考えてよ」

「こっち?」

「昼間の大男の方よ!」

 グラスを少し乱暴にテーブルに置いた。殆ど空だったお陰で零れはしなかった。もっと有り難く呑めよ、高い酒なんだから。

「勿論警戒に当たる。あれはあれで十分に危険だ」

 氏も素性も全く以て不明で尚且つ化け物染みた怪力の持ち主だが、居場所が割れているだけまだマシだった。帯刀はしていたようだが抜いていないので力量は判らない。どの程度使えるのか判れば作戦の立てようもあったろうが現段階ではそれも不可能だった。ならば、力量を測るなどと言った回りくどい事はせず一気に仕留めればいい。

「やるとしたらどっちから?」

「並行して同時にやる。厄介事はさっさと片付けた方がいい」

「こんな事になるんだったら、こっちもさっさと動いておくべきだったわ」

 忌々しそうに呟くと空いたグラスに酒を注ぐ。さっき空けたばかりの瓶がもう空になりそうだった。

「呑むのはいいが程々にしておけよ」

「うるさいわね、ほっときなさいよ」

 まるで聞く耳を持っていない。今に始まった話ではないが。それをいつまで経っても学習しない自分に呆れる事にすら疲れた。

「何がそんなに気に食わないんだ?」

「あの男の幸せボケした顔見てるとムカムカして来るのよ」

 見た事など一度もない癖に。話に聞いているだけだ。誰に何度誘われようと、ジュリは決してそこに近付こうとはしなかった。それはロイドに関しても変わらないのだが。評判は悪くない。店はいつも清潔に保たれ、料理の味も良く、値段も手頃だ。酒も豊富に取り揃えているし、何より看板娘の四人はこの街でも指折りの美人と来ている。それを目当てに店に通う者も相当いた。誰一人としてまともに相手にされていないが。そして、今日に至っては訳の判らない侵入者の登場だ。夜間は脱走を警戒して街中だけでなく出入口近辺は特に厳しく監視しているが、真っ昼間から堂々と抜け出そうとする輩などまずいない。気が弛んでいたと言われればそれまでだが、真っ正面から堂々と侵入したと聞かされた時には流石に脱力した。腕の一本でもへし折ろうかとも思ったが、その時の見張りを今からどうこうしても始まらない。それに兵力にも限りがある。無駄に痛めつけるのは得策とは言い難い。一昔前なら確実に縛り首だ。本当に、いい時代になったものだ。

 一度侵入を許した以上、ここから出す訳には行かない。周辺に大きな都市もなく、立地も悪いため付近の村落(と言っても軽く二十里以上は離れているが)との交易も殆どない。大人数が居住出来るスペースもあり、その街の自治的な管理となれば身を隠すには打ってつけだった。むしろこれ以上の好条件が揃う事などまず有り得ない。こちらに害を為すならば、こいつも問答無用で排除する。

「しばらくバタバタするだろうが、まあ少し辛抱してくれ」

 酒瓶とグラスを持って椅子から立ち上がる。残りをジュリのグラスに注ぐと完全に空になった。

「そっちがある程度目処が立ったら、いい加減私も動くわ」

 だったら何故これまで何もしなかったのか。この街を根城にしてから三ヶ月と少し経った。その間、この女は人を使ってあれこれ街の様子を調べつつ、夜はこうして呑んだくれていただけだった。そして、調べが進むに連れ、元々悪かった酒癖が更に酷くなった。怒鳴り散らし、人に当たり、ものを投げつけた。今日は何も壊れていないだけまだマシだった。何かを忘れるように、何かから逃げるように酒を煽った。確実に体を壊す飲み方だった。本人にもその自覚はないだろうが。それを指摘するつもりもない。好きにすればいい。

「どうするかは任せる。ただ、動く前には必ず声をかけろよ」

 露骨に不快な表情を浮かべてこちらを睨んだ。全うな連中の集団とは言い難いが、それでも一つの組織だ。勝手な真似をされるのは困る。

 酔いが回って焦点が定まっていない。虚ろな目でこちらを飽きもせず睨んでいた。ロイドもそれに応じた。別にいつ目を背けても構わないのだが、あまりこの女に好き勝手にされるのも考え物だった。互いに利害が一致しただけ、それだけの関係に過ぎない。それ以上のものを求める気など端からない。それはこの女も変わらないはずだ。互いの利害が綺麗に重なっただけで、そこから先には一切踏み込まない。その前提すら忘れていたとしたら本物の大馬鹿者だ。実際、ここという場を得られればこの女に用はない。始末しても構わないのだが、たまに抱きたくなる事もある。歳は四十を超えていくらか経っているはずだが、軽く十は若く見える。道を踏み外しさえしなければもっとまともな生き方も出来ただろう。そのきっかけを作ったあの男を骨の髄から憎んでいる。まあ、気持ちは判らんでもないが。

「ようやく落ち着いて腰を下ろせる場所を見つけたんだ、少しは大事にしようぜ」

「どういう意味よ?」

「誰に指図される謂われもない、俺らは俺らのために動く。偉そうに仕切るような真似は慎みな」

 脅すつもりはないが、普段よりいくらか声を低くした。今度はこちらが刺すような目で睨む。目を逸らすどころか逆に睨み返す度胸はなかなかのものだ。男に囲まれていれば多少は身に付くものなのかも知れない。こいつ自身ももっと上手く立ち回れば少しはやりやすくなるだろうに、悪い意味で人の扱いが下手だった。そこを逆に利用されている事にすら気付いていない。慕う人間もいるにはいるが、無論人柄に惚れているのではなく飽くまで体が目当てだった。体を許しているかどうかまでは判らないが。

「お前の目的は俺も把握してる。必要とあらばいくらでも協力はする。だから勝手な真似は絶対にするな。判ったな」

 誰に従うのか、それを判らせておいた方が無難だった。調子づかせたら何をしでかすか判らない。犬のように尻尾でも振る愛嬌があればもう少し可愛がる奴もいたろうに。

 馬鹿な女だ。

「早く寝ろよ」

 ジュリに背を向けるとまるで小馬鹿にするように頭の上でヒラヒラと手を振る。背後で派手にグラスが割れる音がしたが振り向かなかった。

 部屋を出て右に曲がる。階段のすぐ脇に誰かが壁に背中を預けていた。

「随分長々と話してましたね」

 腕を組んでいた男は少しだけ首を曲げてこちらを見るとからかうように笑った。伸び始めて来た髭を掌でザラリと撫でる。

「好きで話してた訳じゃないさ」

 ロイドは投げ遣りに言った。目の前に酒瓶が差し出された。グラスを出すと並々と酒が注がれる。

「随分気が利くんだな」

「偶々ですよ」

 自分が握っていたグラスにも酒を入れる。ダイスはグラスに唇をつけたかと思うとそのまま静かに傾けた。

「いい酒ですね」

「だったらもっと味わって呑めよ」

 グラスを揺らしながら時折鼻に近付ける。あの女といいこの男といい、酒を味わって呑むと言う事をしない。酔いたいだけなら安くて強いだけの酒でも買えばいい。どうして狙ったように高い酒から片付けて行くのか。理由は一つしかない。

「晩酌で呑むには勿体ないですね」

「だからこうして独りで呑むのか?」

 ダイスは応えなかった。目を閉じたまま静かにグラスを傾ける。グラスの半分が胃に消えた。一気に飲み干さないだけマシなのか。

「見張りもロクに出来ない奴に呑ませるには勿体ないですよ」

 呑めない本人ではなく、呑まれる酒が気の毒だ。それは全く同感だった。

 だからと言って、水のように呑むのも考えものだ。そしてそれを可能にする内臓がこの男にはある。

 ダイスから酒瓶を引った繰ると中身を自分のグラスに注ぐ。

「また姐さんが駄々こねてたんですか?」

「ま、そんなところだ」

 腕を組んだ姿勢で宙を睨みながらグラスを傾ける。ダイスは唇をグラスの縁につけた状態で必死に笑いを堪えていた。時折歯がグラスに当たってカツカツと固い音を立てる。

「何がそんなにおかしいんだ?」

「随分人がいいんですね」

 目元が引きつったら反応としては露骨と言えたかも知れない。そうでなくて良かった。わざと間を置くようにして酒で舌先を湿らせる。

「姐さんの我が儘にこれだけ付き合うのはボスくらいのもんですよ」

「ここの情報を提供してくれたのはあいつだからな」

 身を隠すなら丁度いい場所がある。半信半疑でグラスを傾けていたロイドに、ジュリは囁くように言った。その代わりに、協力して欲しい事があるの。何の代わりなのか。何を要求しようと言うのか。唐突過ぎて聞くべき言葉を探すのに苦労したのを覚えている。取り敢えず、次の酒とツマミを二人分頼む事から始めた。話はゆっくり聞けばいい。

「人里からかなり離れた田舎街。外部の人間が行き来する事も稀で、砦の管理もとうの昔に領主が放棄してこの街に委任、いや丸投げか、されている。街から脱走する人間さえ出なければ、街の状態が外に漏れる事もない」

 今日一日教わった事を最後におさらいする新米教師のように言った。馬鹿にしているようにも聞こえる。

「身を隠すには持ってこいだよなぁ」

「特に俺ら罪人連中には」

 井戸端会議に花を咲かせるおばさんのようにあっけらかんとしてダイスは言った。今なら誰の耳に入る事もない。しかし、ちょっと堂々とし過ぎだ。憚るものが何もない。

「羽が伸ばせるから気分も晴れるか?」

「ま、最初は。最近は流石にちょっと飽きてきたかな」

「贅沢言うなよ。人質がいる限り、いくらでも好き勝手出来るんだからな」

 扱いが若干面倒だが。最初は主に女を拐うつもりでいたが、ダイスは眠そうに半分目を閉じたまま首を横に振った。

「別に、その気にならなくてもそんなもの後からいくらでも買えますよ」

 実際その通りだった。いつでも手元に置いておけるというメリットもあるが、そこまで必要なものでもない。それに、長期間の監禁に耐え得る体力もない。後々面倒な事が増えるだけだ。一時の快感と手間や面倒を両天秤にかけた場合、ロイドには大きく後者に傾く。

「一週間もすれば感覚も麻痺しますよ。美人も三日経てば飽きるって言うし」

 これまで美人と言える女と何度か関係をもった事があるが、それでも三日で飽きた事はなかった。精々四日だ。

「それにしても、何で姐さんはここを知ってたんですか?」

「さあな。何かしら目的はあるんだろうが、そこまでは聞いてない」

 だがある程度想像はつく。だがそれも推測に過ぎない。そこから先に踏み込もうとは思わなかった。それが二人の間に引かれた見えない一線だからだ。

「情報を提供してくれた恩に報いたいから、あれだけ聞き役に回れるんですか?」

「馬鹿言うな。そこまで滅私奉公するような趣味はない。ただ、間接的にここを俺らに与えたのはあいつの情報があってこそだからな。報いるとまでは言わないが、義理は果たすさ」

「それ、十分報いてますよ」

 ロイドは顔を歪めて舌打ちした。何とでも言え。

「俺だったら、用が済んだらすぐに始末しますね、邪魔だし、それにうるさいし」

「傍迷惑なところもあるがある種の利用価値もある。飽きたら捨てればいい」

「ボロ雑巾みたいにですか?」

 唇の端を上げて笑う。酷薄な笑い方だった。実際これまでこうやって斬り捨てて来たのだろう。

「お前だったら小間切れにしてるだろ」

「ご想像にお任せしますよ」

 取り立てて急ぐ必要がないなら、殊更相手を痛めつけてから止めを刺す。この男はそれを実に楽しそうにやる。その様は、捕まえた虫をなぶり殺すのに似ていた。足を引き抜き、胴を針で突き刺し、最後に頭を叩き潰す。自分の手の中で息絶えていく様をゆっくりと眺める。手の中にあるのは死ぬ寸前の命というのとは少し趣が違う。生殺与奪の権利を与えられた者だけが持つ極上の優越感だった。こいつ、どう料理してくれよう。

 必要とあらば、いや必要がなくなればあの女も道端の虫ケラを踏み潰すように別段躊躇う事もなく殺す。こいつはそういう男だ。そうなる前に、ジュリをもう少し生かしておくだけの理由が自分の中に出来ればいいのだが。まあまず無理だろう。それがあれば今頃こんな所にはいない。ひっそりと身を隠さなければ生きられない。ここはそんな連中の吹き溜まりだ。

「昨夜の一件だが、どう思う?」

「昼間じゃなくて?」

「あいつはある程度把握出来てる。ただ馬鹿力ってだけならば差して問題はない」

 ダイスは困ったような顔をして首筋を掻いている。思わず口元が歪んだ。

「それだけじゃ材料が少なすぎますよ。ハッキリしてるのは相当な馬鹿力の持ち主だって事と、それなりの修羅場を潜ってるって事くらいのものでしょ」

 未知数ですよ。グラスをゆっくりと回すと琥珀色の液体が窓から降り注ぐ月明かりを受けて淡く光っている。

「だから、切り返す隙を与えずに一気に叩き潰す。十人いればまず問題ないとは思うが、念のためにもう少し用立てるか」

「数で押し切れればいいですけど」

「多勢に無勢さ。百人の精鋭部隊がいても、一万の軍勢が襲ってきたら相手にもならない」

 数に勝る力はない。多数が占めれば少数は必然的に姿を消す。ルールでも摂理でもなく、歴史がそれを証明している。

「一騎当千なんて言葉もありますけど」

「そんな奴がいたらお目にかかってみたいものだな。うちに引き抜きたいくらいだよ」

 見た事はない。だが話には何度か聞いた事がある。たった数人、片手で足りる人数の兵士が数千の軍勢を壊滅に追い込んだ。勿論素直に信じられる類いのものではない。ただ指揮を任されていた男とは旧知の仲だった。彼の口から聞かされたのがその話だった。部下が次々に殺されていく様を青息吐息で震えながら話すのを聞いているうちに肌が粟立って来た事は今でも覚えている。見ていれば、少なくとももう少し共感は出来ていたかも知れない。嘘を吐いているとは思えないが、それでも全てを信じる事は出来なかった。その逆の光景ならば勝者の立場で何度となく見てきたからだ。切り裂かれ、全身の至るところから血を滴らせ、或いは焼け焦げたかつて人と呼ばれたものが瓦礫と一緒くたになって当たり前のように転がっている。ロイドにはそちらの方が遥かに見慣れていた。信じ難いと感じてしまった理由の一端はそこにもあった。それは確かだった。生んだ親に感謝すべきか、それとも生まれた国を恨むべきか時折判らなくなる。もう帰る事も出来ない。戻る気もない。全てに於いて、遠く離れてしまっている。

 その話を聞いていなければ、今こうしてここにいる事もなかったのかも知れない。それを思うとあまり積極的に考えたくなかった。そう、いる訳がないのだ。隙を突ければそれに越した事はないが、それが不可能ならそれはそれで別に構わない。要は一気に止めを刺せばいいだけの事だ。何も難しい事はない。油断さえしなければ確実に仕留められる。脅威である事に変わりはないが、そこまで構える程ではない。もう一人とは違って。

「ある程度使える奴らを適当に見繕っておきますよ。十五人もいれば十分でしょ」

「ああ。だが油断はするなよ」

 見張りや警護しかしない、否出来ない今日日の兵隊連中とは違い、人を殴る蹴るは言うに及ばず殺す事にも躊躇いを持たない。ここにいる連中にはそれだけの覚悟と危機感を持って事に臨んでいるとでも言えば随分御大層に聞こえるが、元々ここに来る前からそういう行為を日常的に行っていた。人を殺すのに今更二の足を踏む理由など何処にもない。

 ここでの出来事が公になれば、外部に広まって捕まりでもすれば、少なくとも数年間はブタ箱にぶち込まれる。最悪の場合まとめて吊るされてもおかしくない。元々何かしらの形で後ろめたさを抱えた輩の行き着いた先がここなのだ。ここにいれば自分の自由は保証されるし、何より心行くまで好き勝手出来る。それを奪われるのは何より耐え難いはずだ。危険因子と見なせば、後は全力でそれを排除しにかかる。昨日知り合ったばかりの連中がある程度まとまりを持った行動を取れる理由の一つはここにある。ここしか居場所がないと言われればそれまでだが。

「あと、もう一人か」

 一人か、それ以上の場合もある。だが可能性は低いだろうな、と冷静に分析する。数が増えればやれる事の幅も広がるが、その一方で見つかる危険性も高まる。手練れの兵士を誰に見られる事もなく殺せるような奴がそんな愚を犯すとは到底思えない。だとすると、最低限の人数と考えるのが妥当だろう。

「殺された奴だが、仲間内で恨みを買うような事はなかったか?」

 組んでいた腕が軽く揺れた。 グラスの中の酒が大きく波打っている。残っていま酒を一気に飲み干したダイスは声を上げて笑った。

「内部犯の可能性ですか」

「飽くまで可能性の問題だ」

 露骨に顔をしかめたが、ダイスはグラスに継ぎ足した酒で喉を潤すだけだった。

「殺したいと思っている奴らがいたとしても別段珍しくないと思いますよ」

 だが、それに関してはここにいる誰に対しても言える事だった。それを行動に移すかどうかだ。明らかに愚問と言える聞き方だった。笑うのも致し方ないだろう。殺される理由の一つや二つ、誰しも必ず抱えている。本人がそれに気付いていないだけだ。

 壁に凭れかかるとダイスが酒瓶を差し出した。グラスに注がれた琥珀色の液体に舌先を湿らす。

「殺したい程ムカついてるならもっと早い段階で一思いにやってますよ。誰かに罪を着せようなんて発想もないし、そもそもそんな頭が回るような輩なんていやしませんって」

 まるで漫才でもするように手をヒラヒラさせながら喉を鳴らしている。酔いが回り始めたのではなく、純粋に笑っている。別に腹も立たない。確かに、そんな風に考えるような奴はこの中にはいない。考えられる可能性の全てを挙げ、一つずつ潰していく。多少手間はかかっても根気よく続けていけばある程度絞られる。それをずっと繰り返して来たせいか、まず起こり得ないような事であってもほんの僅かでも可能性があればそれも考慮の対象に含める。そんな考え方がいつの間にか頭の中に構築されていた。だから内部犯の可能性も考える。そしてそれを一蹴される。ただの取り越し苦労だ。そんな事くらいとうの昔に承知している。だが物事に絶対は存在しない以上、上手くない方向に話が傾く事がある程度予見出来ているならそれを回避する手立てを講じるのが考え方としては自然だ。

ダイスはまだ可笑しそうに笑っていた。笑いたいなら好きなだけ笑えばいい。これが俺の処世術だ。

「いつになっても気苦労が絶えないですね」

「だったらお前が少しは楽させろよ」

 思い切り舌打ちしたが、ダイスは相変わらず笑っていた。思わず殴ってやろうかと思うが、この男の言わんとしたい事も非常によく判る。ここに来てまだ数ヶ月しか経っていないが、血の気の多い荒くれ共を力で捩じ伏せ、完全に掌握している。売られた喧嘩は喜んで買い、殊更に痛めつけた。気に入らない奴は別段躊躇う事もなくアッサリ殺した。誰が強いのか、誰に従うべきなのか。それを最も判りやすい形で見せつけていた。犬の躾と変わらない。こっちが主、お前は従。判らないとは言わせない。これまで何をして来たのか、仕官していたのか、浪人だったのか、詳しい事はロイドもよくは知らない。少なくとも、この男を見かけた時は根無し草のようにフラフラしていた。誰かに飼われているようには見えなかった。ここに来た理由はロイド達と変わらない。身を隠す場所が欲しかっただけだ。大手を振って表を歩けない事情があったのだろう。だから何も聞かなかった。本人も話さなかった。まともな生き方が出来ないのはお互い様だ。無用な詮索は厳に慎むべきだろう。 それがここでの暗黙のルールだった。

「そこまでビビる程の事ですかね。鼠が一匹紛れ込んだだけでしょ?」

「確かに、ただの鼠ならばそれほど騒ぎ立てる事もないだろうな。だが、出来るか?」

「一撃で仕留められるか、って事ですか?」

 勿体をつけたいだけなのか、それとも酔いが回って来ただけなのか、ダイスは盛大に欠伸をしながら言った。緊張感の欠片もない。

「そんな事くらい俺にも出来る。その気にならなくてもな」

「そんなムキにならないで下さいよ。軽い冗談ですから」

 自分の息子ほど歳の離れた(と言ってもロイドに子供はいないが)男にからかわれるというのも何だか複雑な気分だった。相手を完全に馬鹿にするほどこの男も礼儀知らずでない事くらいは流石に把握している。相手の力量を見極めた上で使うべき言葉や態度を慎重に選んでいる。態度や雰囲気からは少し想像し難いものがあるが、三十を少し過ぎた程度で荒くれ者共を束ねるには最低限これくらいの才覚は必要なのかも知れない。

「一撃で仕留める事はそれほど重要じゃない。問題は、」

「いかに周囲に気付かれずにそれを実行するか」

 さっきよりも幾らか声のトーンを落とすと、ダイスは長くゆっくりと息を吐いた。酒の匂いが鼻を突いた。

 だが、少し安心した。問題の核は見えている。それすら判っていない連中が大半を占めている事を嘆くべきかかなり迷うところだった。やはり、所詮は烏合の衆という事なのだろうか。一段落ついたら少し改革に乗り出した方が良さそうだった。

「出来るか?」

「その時の状況にも依りますよ」

 余計な事は何も言わない。回答としてはまずまず無難だろう。周囲に人がいればまずそんな事は出来ないし、いなくても目立つ場所で実行に移す事はあまり現実的ではない。そう言った事情や状況を冷静に見極められなければまず実践出来ない。それも力量の内だろう。

「心臓を一突き、でしたっけ?」

 ロイドは黙って頷いた。冷静に考えると、殆ど唯一と言える手掛かりと言えばそれくらいしかない。と言っても心臓を貫かれた事くらいしかハッキリとしたものはないが。傷の長さは一寸前後、胸から背中にかけて綺麗に貫通していた。心臓だけを確実に破壊していた。革をなめした鎧を着ていたがそれが全く防具としての役割を果たしていなかった。相手からしてみれば裸も同然だろう。それ以外に目立った外傷はない。それが胸から血を流した状態で転がっていた。

「何で刺し殺したんでしょうね」

 何故朝には太陽が上るのか、とでも言うような雰囲気でダイスは言った。一瞬応えに詰まる。何を言いたいのか判らなかったからだ。

「どういう意味だ?」

「どうしてわざわざ刺し殺すような真似をしたのか、って事ですよ」

 さっきの疑問と意味合いがどう違うのか。疑問の真意を図りかねている事に気付いたのか、ダイスは言葉を添えた。

「刃物で刺し殺したって事は、傷口から武器を抜く時に返り血を浴びる危険性もあるし、お互い斬り合えば周りに音も聞こえる。ま、今回に関して言えば目撃者や不審な物音を聞いた人物はいませんが」

「つまり、何が言いたい?」

「目撃者もなく、異変を感じた者もいない。現段階に於いて証拠は何一つない。そうなると、殺害方法に疑問が残る」

 回りくどいとは思わないが、状況をつぶさに観察するとそんな疑問が浮かぶのも道理だろう。ロイドは握っていたグラスを何度か小さく揺らした。

「ダイスなら違う手段を選択している訳だな」

「少なくとも、これだけの技量があればそうしているでしょうね」

 返り血を浴びれば、斬り合う音を聞かれれば、何らかの形でこちらに痕跡を示す事になる。誰にも気付かれず一切の証拠もない。そんな相手が、何故証拠が残りかねない殺害方法を選択したのか。その気になればいくらでも隠す事も出来ただろうに、どうしてわざわざ自身の存在を匂わせる真似をしたのか。ここに来た目的も、何処に潜んでいるかも全く不明だ。それが真っ暗闇の中で刃をちらつかせ、不気味に笑っている。

 背筋を冷たい汗が流れて落ちる。拍動がいつもより若干速い。この分だと血圧もいくらか上がっている事だろう。正体も目的も全く掴めていない。相応の警戒が必要なのは明らかだった。自分に対して喧嘩を売っていると決まった訳ではないが、少なくとも相手はこちらの兵隊を既に一人殺している。危機に際した鼠が尻尾を逆立てるように、危険が具体的な形を成す前に警戒しておいた方が身のためだろう。

「街の中で身を隠せそうな場所を片っ端から当たってくれ。地味で時間もかかるがそれが一番確実だ」

「ま、そうでしょうね」

 他に方法があるなら聞いてみたい、とでも言うような返答だった。それ以外に出せる指示もない。

「しばらく慌ただしくなるが、一つ協力してくれ。誰しも今ここを失うのは本意じゃない」

 そうだろ? 同意を求めるように首を傾げると悪巧みでもするようにニヤリと笑った。

「昼間の男と合わせて、並行して出来るか?」

「やるしかないでしょ」

 ダイスはこちらに背中を向けると廊下の奥へ歩いて行く。

「頼んだぞ」

 足を止めなかった。頭の上で軽く手を振るとそのまま階段を上がって行った。

 顔の皮膚が少し突っ張っている。多少酔ってはいるが、まだ意識はハッキリしている。酒がないと、酔いが回っていないと眠れない。確かに一頃そんな時期もあった。それでも頭の芯は冴えていたのか、ほんの僅かな物音でも目が開いた。いつも懐に忍ばせていた短剣に手が伸びている。そんな日が何年も続いた。ここを手に入れた夜は盛大に晩酌した後、それこそ数年振りに熟睡出来た。翌朝目が開いた時、昨夜の出来事は全て夢だったのではと一瞬危惧したが、隣でジュリが堂々と胸元をはだけて眠っている様子を見てようやく現実だと悟った。

 人里離れたこんな辺境に身を隠す事しか出来ないような人間にも、小匙一杯分くらいの意地はある。こんな小さな街を牛耳ったところで精々御山の大将と言われるのが関の山だ。以前そう呼んだ男には鼻っ柱に拳を見舞ってやったが。御山の大将だろうが軍勢の頭領だろうが、まとめ上げる立場である事に変わりはない。俺がまとめて引き受けるなどと格好つけたところでよろしくお願いしますと律儀に頭を下げるような輩はまずいない。彼らにしても、ただ互いの利害が一致しただけに過ぎないのだ。

 だが、ここにいる目的も共通している。ここから離れる事も、ここを手放す事も誰一人として望んではいない。ここに来た時点で既に一蓮托生なのだ。毒を喰らわば皿まで、地獄の底まで付き合ってもらう。選択肢はそれしか残されていない。

「頼むぜ、相棒」

 グラスにはまだ半分近く酒が残っていたが、ロイドは構わず一気に飲み干した。

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