第2話 悪霊

7月18日月曜日 PM1:15

県立 琴浦高校


密室のトリックを暴いたところで事件が解決するわけではないので、俺と空五倍子は当初の予定通り、月曜になってから学校内で生徒達に聞き込みをすることになった。

学校、PTA、教育委員会その他諸々の協力もあって、学業の邪魔にならない程度でならと、校内での活動を許可された。

松坂警部補のお父上がK県の県議会議員であらせられるらしいので、こんなにすんなり事が運ぶのはひょっとしたら、なんて事も考えないでもなかったが、操作には関係もないし興味もない事なので考えない事にした。


子供嫌いの空五倍子は先生方を、俺は被害者の受け持っていたクラス、2年B組の生徒達をはじめとした400人近い琴浦高校の全校生徒を対象に事件の聞き込みをする事になっていた。


ふざけんな。


やっていられないので、とりあえず2年B組の生徒達を当たる事にした。掃除が行き届いていないのか、埃っぽい階段を通って二階へと上り、2-Bの室名札を探し、真下にある引き戸に手をかけた。

ガラガラと大きな音を立てて引き戸を開けると、中では2年B組の生徒と思われる高校生達が、思い思いの昼休みを過ごしていた。

昼休みといっても、20分は経過していたので昼食を食べている生徒もまばらで、ほとんどは仲の良い面々と談笑をしたり、中には一人静かに本を読んでいるものもいた。

そしていきなりの闖入者に一瞬、教室の空気が、明らかに昼休みのそれとは全く違うものに変わったのを、肌で感じた。


「失礼します、警察関係の者です。皆さんの貴重なお昼休み時間を使ってしまって非常に申し訳ないのですが、皆さんに2.3聞きたいことがあって伺わせてもらいました。よろしいですか?」


自分でも可笑しいと思うぐらいの慇懃無礼な喋り方をし、警察関係の者という曖昧な自己紹介で(警察に関係していたら誰でも警察関係の者である。琴浦署の食堂のおばちゃんだって警察関係の者だ。)、無理やり『警察』というワードを発した。もちろん全てわざとである。

クラス全員の反応を見るためである。今しがた感じたあの空気が、さらに居心地の悪いものになるのを感じる。

談笑を続けるものは誰もおらず、読書家は本をしまった。

皆、怯えている。第一印象はそれだった。

俺は空五倍子のように読心術に長けていたりするわけではないので、これで反応を見て、表情を読んでどうのこうのというのは全くなかった。ただ俺の直感に何か感じるものがあればそれでよかった。


「ケーサツ関係の方ぁ?刑事さんじゃないんですかぁ?」


沈黙を破り、まず最初に俺の前に躍り出てきたのは、いかにもお調子者といった感じの頭の悪そうなチャラい男子生徒だった。茶色い長い髪の毛をヘアワックスでセットしている。

こういう場で一番最初に口が開ける奴は、その集団の中心人物的な、人あるいは社会を引っ張ることのできる器の人間であるか、

(ファーストペンギンという奴だ、だがしかしファーストペンギンが必ずしも成功するというわけではないというのも事実である。普通はNo.2が美味しい思いをするものなのだ。)

それかよっぽど何も考えていないかのどちらかだろう。おそらく彼は両方だ。


「痛いところをつくねぇ君。そうだね。僕は刑事ではない。警察に捜査協力をしている探偵事務所のものでね。」


『探偵』という、これまた異質なワードにクラスの何人かが

「探偵?本物?」などとコソコソ話すのが聞こえた。


「探偵?そんなの本当にいるんだなぁ。で、探偵さんが何の用で?」

チャラ男君が再び口を開いた。


「何の用?というのはナンセンスな質問だね。今このタイミングでこの2年B組の教室に探偵がやってきて、まさかティッシュ配りでもしに来たとでも思ったかい?」


小馬鹿にしたような言い方をする、すると案の定チャラ男君は、「なんだよこいつ」というような目でこちらを睨むようになった、口元だけはニヤついている。

やはり目立ちたいがために前に出てきただけだったらしい。

と、少し険悪になった空気を察したのか、チャラ男の隣で座っていたギャル風の女子高生がしゃしゃり出てきた。


「ユウジやめときなよー、えっと、たんていさんはスズキのこと聞きにきたんでしょ?」


ユウジ君の彼女らしきギャル女子高生はさらっと亡くなった担任教師の名前を呼び捨てにしながら彼氏の元に歩いてきた。

彼氏あってのこの彼女、といった感じだ。

崩した制服着て教室で仲良く弁当食べるより、お揃いのジャージを着て夜中のドン・キホーテで車の芳香剤(高校生だから免許は持っていないだろうが)でも選んでいる方が似合っている。


「そうですよ。それで、えーとユウジ君の・・彼女さんかな?」


「彼女の田上 メグミでぇす。あ、ついでに言っとくとアタシとユウジは事件あった日?は一緒にユウジの家いたから、犯人じゃないよ?」


どこまでも軽く、浅はかな発言。聞いていない質問に答えてくれたが、高校生が二人して夜中に何をしていたのか。


「ああ、そうなんだ。でも、夜中に、ねぇ。」


「オイ、メグミぃ・・・」


彼氏の呆れたような言い方に、メグミは「いっけね」といったような表情を作り、とぼけてみせた。緊張しきっていたクラスの雰囲気がこの二人によってかなり和らいだ。クラス公認のバカップルといったところだろう。

こちらを向いていたクラスの面々は一応俺の存在を気にはしつつもそれぞれの昼休みを再開した。

ファーストコンタクトを成功裏に収めたところで、折角なのでユウジ君に今度はまともな話ができそうな人物が誰かを尋ねてみた。


「ユウジ君。この中に、クラス委員長さん、いるかな?」


「ん、ああ。んーと、男子の方は今部活の方で飯食ってていないから、あ、、ほらあそこのメガネかけた子。田中サァーン!」


大きな声でチャラ男がにこやかに田中サァーンに手を振った。

メガネの子、田中サァーンは教室の隅っこで男女3人、男子一人女子二人の少数で座っていた。何か話をしていたのだろう、向かいに座ってこちらに背を向けている男子生徒は彼氏だろうか。それよりも俺の目を引いたのは、その隣に座っている友人とみられる女子生徒の、まばゆいばかりの金色の髪の毛だった。

とりあえず田中サァーンに話を聞いてみることにする。


「ええと、君がクラス委員長さんの田中さん?」


俺の問いかけに、眼鏡をかけた少女は少し間をおいて答えた。


「…はい。委員長の田中 アキ といいます。お話しできることは警察にもすべて話したのですが。」

喉元まで来ている嗚咽を押し殺すような、弱々しいで少女は言った。


いかにも真面目そうな印象を与える、整った前髪にお下げ髪(高校三年でお下げは希少である。)なんの飾り気もない黒いフレームの丸眼鏡から覗く澄んだ鳶色の瞳、白い肌に丸くスベスベしていそうな頬、薄い唇は不安や恐怖をたたえていたが、かなりの美少女であることは確かだった。

アキの隣に座っているド金髪(この学校の風紀はどうなっているのか)

の少女と見比べてみたところ、いやこれがなかなかこちらの金髪少女も目鼻立ちの整った、小綺麗な顔をしている。同じ部類であろう先ほどのコギャル系女子とは違う可憐さを感じた。

そんな美少女二人に囲まれている羨まけしからん少年は、これもまた茶色く焼けた肌に白いカッターシャツの似合う、爽やかイケメンだったのだから俺の心は少し傷ついた。


「オッさん、アキに何か用?話す事はもうないんだけど。」

金髪少女が口を開いた。こっちをじっと睨んでいる。


俺は、小生意気な金髪と、黙ってこちらを見つめる彼氏の間でどぎまぎしているアキに視線を合わせてこう言った。


「まだ、時間あるよね?場所を変えて詳しい話を聞きたいんだけど、いいかな?」


「はぁ。」

ちらとアキは俺の後ろに目をやる、おそらく黒板の上の壁に貼り付けられている時計を確認したのだろう、教室に入ってからまだ10分ほどしか経っていない、5限目開始時間の1時40分までは教室移動の時間を考慮してもまだ、10分はある。

と、、


「アキ、嫌だったらついていかなくてもいいんだぞ。この人は警察じゃないんだから」

ここで初めて彼氏と思しき好青年が口を開いた。

ハキハキとした喋り方だ、かなり教育のしっかりした家庭で育ったか、部活の顧問がよほど恐ろしいのか。どちらにしろ社会に与える印象は概ね良いのだろう、だがその態度ではこちらへの敵意、警戒心がむき出しで全く隠しきれていないということに気づくべきである。


「…それは困るなぁ。」

俺はあえて、少し大きな声を出した。

「一応僕は警察に捜査協力を依頼され、まぁそれ相応の権限は持ってるからこの場にいるわけで、僕の聞き込みを拒否するのは警察の調べを拒否するのと同じ事だ、といっても過言ではないんだよ?」


あたりにいたクラスメイトたちが再び俺の方を向いている、警察というワードにとても敏感な良い子たちは、この程度の脅しでだいたい言う事を聞く。


「はん!脅してるんですか?別に警察が調べたって、あなたがいくら疑ってかかったって、僕らは犯人じゃないんだ。もうこれ以上」


「君に話をしてるんじゃないんだよ。少年。僕は君のガールフレンドに用があるんだ。」


アキがこちらを見た。否定しないところから、やはりこのイケメンは彼氏なのだろう。

彼氏くんは何も言わずにただこちらを睨み、金髪少女も何か悪態をついていたが、その全てを無視して俺は入ってきた時とは逆側の戸口に立った。


「ほら、案内してよ。近場に空いてるとこあるでしょ。」

ガラガラと音を立てて引き戸を開ける。ビクビクしながらアキが立ち上がり、二人に助けを求めるような視線を送りながら俺の元まで歩いてきた。

アキと廊下に出てから俺は勢いよく引き戸を閉めた、ピシャリという音が廊下にも、おそらく教室内にも響き渡った。


田中 秋の案内してくれたのは昼間は誰もいない、数学や英語の少人数教室などで使う多目的教室だった。

先ほど登ってきた階段を挟んだ向こう側、すぐのところにあった。

その先の突き当たりは音楽室になっていた。隣で音楽なんかやられていたら授業がはかどらないのではないだろうか、とも思ったが案外集中していると雑音は気にならないものなのか。(おそらく授業中、一番集中しているのは教師であろう)


教室後ろ側の入口からすぐの座席に秋を着席させ、俺はその前の席の椅子に、秋に向かい合うように後ろ向きに座った。気分はあの彼氏である。いい気味だ、いろんな意味で。


「それで…君が担任の鈴木先生について知っていること、洗いざらい全て話して欲しいんだけどね。」


メモを取り出し、ボールペンをカチカチと鳴らした。コレは一種の癖のようなもので、俺自身にスイッチを入れるという一種の自己暗示のような意味合いも兼ねていた。

秋は目を伏せ、こちらにその丸い瞳を見せようとしない、淡いピンクの唇が小さく震えている。

俺は胸を躍らせながら、秋に顔を近づけ互いの額がくっつくぐらいの距離で、唾を飛ばさないように気をつけながら(直前にフリスクは噛んでいる。)、もう一回ゆっくりと聞き直した。


「教えて欲しいんだよ……。君は、いや君達か、まあいいや。君らはあの男について何を知っている?」


秋の鼓動が高まっているのが聞こえる。この距離だと一丁前に育っている胸元がシャツの襟元から伺えそうではあったが俺は紳士なのでそんなことはしない。今の俺はこの美少女にプレッシャーと恐怖心を与えるだけで充分満足していた。

俺は立ち上がり、今度は秋の後ろに立ち、座って硬直している彼女の耳元に囁きかけた。


「あんな殺され方をしたあの教師の、何を知っていてそんなに怯えている?一体、なにに怯えているんだい?」


「ひいっ」という小さな悲鳴に近い何かが聞こえた。


「そんなに怖がらなくていいじゃないか。僕はね、この恐ろしい犯人を捕まえるため、ひいては君たちの恐怖や不安を取り除くためにここにいるんだよ?」


秋の反応は実に面白い、絶対に何か知っているのに、それを絶対に話そうとしない。


仕方がない、はぐれ刑事的アプローチをかけてみるか。などと考えあぐねていた時だった。不意に後ろでガラガラと大きな音がした。


「ちょっとあんた!さっきから見てたけど何なんだよ今の!尋問かよ!」

少し上ずった高い声、金髪少女だ。


振り返るとイケメン彼氏君もそこにいた。


「何ですか!それが探偵さんのやり方なんですか!?子供相手に大人気ないとは思いませんか!?」

怒りを露わにしながらも、語調は少しも崩れていない。先ほどのユウジ君ではこうはいかなかっただろう。


「勘違いしないでよ、僕はね、相手によって聞き方を変えてるだけだよ。これが僕の手法なんだ。」


立ち上がり、金髪少女の元へ駆け寄った秋の目には涙が浮かんでいた。


「最低だな、女の子泣かせるまで問い詰めるなんてよ、変態みたいにじろじろ見つめやがって。」

金髪少女は秋の背中を優しく撫でながらこちらを睨みつけた。


「このことは先生に相談させていただきます!こんなやり方間違ってる!」


「間違っている?間違っているのは君たちだ。赤の他人とはいえ世話になっていた、人によっては一年の頃からずっと担任をしてくれていた先生が酷い殺され方をしたってのに、君らはショックを受けた様子も大喜びする様子も見せず、呑気にのこのこ学校にやってきて、何か得体の知れないものに怯えながら今まで通りの学校生活を送ろうとしている。最初、教室に入った時に思ったよ。なんでこいつら平気な顔してやがるんだろう。ってね、犯人がまだ捕まってもいやしないのに。」


少々声を荒げながら一気に俺はまくし立てた。二人はさすがに気圧されて黙っている。

俺は一息おいてからこう続けた。


「この学校という場所で、君たちに一番縁のある先生が惨殺されたんだ。普通親が来なくたって学校に来なくなるやつの一人や二人は出てもおかしくない、だが君ら2年B組は、事件があった日から、臨時休校が解かれてからというものほぼ全員が今のところ欠席もせずに普通に授業を受けているというじゃないか。これはね、君たち。」


「君達が犯人を知っているか、君達全員がグルになって犯行を行ったと思われてもおかしくないんだよ?そんでもって君らは、この彼女もだが。なにをそんなに怯えているんだ?君らは真犯人を知っていて、その影に怯えながらも自身に被害が及ばないように当たり障りのない行動をとるよう心がけているだけなんじゃないのか?」


先ほどまであんなに血の気が登っていた二人も、かなり大人しくなっている。


と、ここで、沈黙を守ってきた田中 秋が口を開いた。


「プールの、悪霊です。」


「おい、秋!」


今の一言に彼氏も金髪も明らかに狼狽えた。

俺はというと、秋がなにを口走ったのか、理解するのに少し時間を要した。


「はぁ?」

思わず気の抜けた声を漏らしてしまった。


「この学校の七不思議にあるんです。といっても、これぐらいなんですけど。」

秋が続けた。何かに吹っ切れたような顔をしている。


「でも、こんなバカみたいな話、誰も信じないですよね。でも、誰かが。誰かが先生の、お葬式の時に、」

急に秋の言葉の内容が要領を得なくなってきた。とにかく怯えているのだけは伝わってきた。


「先生が、殺されたのは。悪霊の仕業だって。先生、悪い噂が多かったから、それで、でも警察に言ったって絶対に信じてもらえないし、変なこと言うと疑われるだけだからこの七不思議のことはみんなで黙っておこうって。それで、」

秋の両目から大粒の涙が溢れている。まるで心の奥で押し殺してきた感情を全て解き放ったかのように、涙とともに恐怖も洗い流そうとせんばかりに、ぼろぼろと涙が紅潮した頬を伝っていく。


「おいおい、マジかよ。」

俺も“ぼろ”が出てしまっていた。


学校の七不思議?悪霊?呪いの類かなんかは知らんが、そんなバカみたいなことをクラスの大半が信じ込んで、それでビクビクしていたというのか?おろおろと涙を流すほどに。

それとも、そんなに恐ろしい話なのか、それは。

それに秋が口走った『先生の悪い噂』というのが非常に気になった。


「秋、もういいよ。もう。」


「いや、よくない。」


「探偵さんもこんなバカな話しんじられないでしょう?だからもう放っておいてくださいよ。」

何か投げやりになっている彼氏君の態度が気にかかったが、俺は気にせず七不思議について聞くことにした。


「その、七不思議の、プールの悪霊って何なのさ?」


「聞いてどうするって言うんです?警察に行って笑い話にでもしますか?」


「いや違う、僕はね。僕は君たち2年B組の生徒達を、犯人から守るために、犯人を捕まえるためにここに来てるんだ。そしてその生徒達が言う事はどんな内容だろうと笑い飛ばしたりしないよ。それがたとえ悪霊の仕業でも、絶対に真相を暴いてその悪霊を白日のもとに晒してやるさ。だから教えてくれ、君たちがそこまで怯えるほどの、プールの悪霊の話を。」


「そんなに聞きたいなら教えてやるよ。もう時間あんまないからところどころ端折るけどな。」


ムスッと可愛らしく顔を膨らませながら金髪少女が語り始めた。



二十数年前、現在琴浦高校のプールがある所には木造建ての旧校舎が立っていた。

ある日、宿直以外誰もいなくなった夜中の校舎は出火原因不明の謎の火事の発生によって全焼した。

宿直だった男性職員曰く、火元は二階の、三年生のあるクラスの教室の方向だったという。何か煙たいと思って二階に上がってみると、その教室からの窓からは炎が轟々と燃え盛っていたらしい。

問題は火元となったそのクラスだった。そのクラスでは丁度その時、周囲を震撼させるような出来事があったばかりだった。


そのクラスの担任だった男性職員は、ある、成績の悪い女子生徒に、成績を上げてやるから、と肉体関係を迫ったのだという。

そして、その事をダシに半ば脅迫のような形で、バラされたくなければと、この関係が数ヶ月続き。精神を病んだ女子生徒はある日、その担任教師を殺害した後自身は首を吊って自殺した。

その自殺場所がそのクラスの教室だったのだ。

恐ろしいのがここからで、それ以降というもの琴浦高校の生徒達に不審な死に方をする者が次々に現れたのだという。そしてその全てに共通する事項といえばただひとつ、同じ高校に恋人がいる事だった。

ただの偶然だというのが大人達の意見だったが、真相は謎のまま計十数名もの生徒が、事件があってからの二、三週間の間に謎の死を遂げた。

そしてある時を境この怪現象はぱったりと止んだ。

それがその教室を火元とした謎の大火事による旧校舎の全焼事故だったのだ。

この前日、最後に死亡したのは、最初に自殺した女子生徒の友人で、死因は首吊り自殺だったのだという。



焼け落ちた校舎の残骸からは、殆ど骨になった小動物の焼死体のようなものが見つかった。


警察の調べによると、不可解極まりない事なのだが、それは人間の胎児のものだったのだという。










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