第5話
「きりひなたちはどうしてここに?」
「蟻を狩りに」
「アリアさんは?」
僕はソードの耐久力が下がっているのを確認して
「少しレベリング。蟻は一撃だからやり甲斐も無いしそろそろ移動するつもり」
「ならパーティを組みま「嫌だ」
「……え?」
「僕は最強なんだから仲間と馴れ合っている暇は無いんだよ」
どうしてだろう。こんなに冷たい言葉を言ってしまったのは。
「それじゃ、僕は街に帰るよ」
胸糞悪い状態で僕は街に戻った。そのまま鍛冶屋で耐久力を回復させようとして
『diabolos:ここらでギルド参加して久々の顔合わせしね?』
メッセージに気づいた。だから
『Alia:どこに?』
『diabolos:ギルド前』
それを読んで駆け出す。皆がいるんだ。
「お、来たか」
「あ、アリアちゃん?」
「えっと……」
「私よ私、マモンよ」
「え⁉︎ マモンってそんな巨乳なの⁉︎」
負けた。圧倒的に負けた。すると
「マモンはベータテスター特典の外見を弄っているんだよ。リアルだと胸ペタ美少女」
「ベルも来てたんだ」
「おう、全員ベータテスター……って言いたいけどアリアはしてないんだよな?」
「うん、知らなかった」
「あんたっていっつもそうね」
「レヴィもいたんだ」
「最初からいましたー」
レヴィの言葉に笑って
「ルシファーもサタンもデウスもブブもイケメンか美人じゃん⁉︎ しかも巨乳だし!」
「だって全員ベータテスターだし」
心が折られた。泣きそう。しかし
「外見を変えれるのに見た目はあんまり変わっていないね」
「アリアがそれを言う?」
「いつも同じ外見でしょ?」
それを言われると弱い。すると
「それじゃ、全員ソロプレイヤーって事で解散するか?」
「あ、ギルドの仕様を教えて欲しいな」
僕の言葉にやれやれ、といった雰囲気になる。
「僕はテスターじゃないんだから知るわけないじゃん」
「ググれ」
今でも使われている検索エンジンの名前を口にしてルシファーは笑った。すると
「では私が」
「さっすがマモン、頼れる!」
「ありがとね。ギルドの仕様はメンバー制限もあるけど私たち9人には関係ないよね」
「これまで通りならね」
僕とディアボロス、そして七大罪。いつもの、4つくらい同じゲームでギルドを組んだ。
「とりあえずギルド掲示板が使えて、イベントの一つ、大規模征伐でボーナスがかかったりポイントがあったり」
「普通だね」
「普通だもん」
*****
最初の草原を少し走っていた。パッシブスキルで新しくギルド(クエスト受注場)で買った敏捷のスキラゲついでだ。
「アークスラッシュ!」
走りながら近付いて来た防御力高めの蟻、ガードアントを切る。14、16のダメージ表記。体力32のガードアントは削り切れない。
スキル後硬直の間に衝撃が僕を打つ。体当たりとは言え不快だ。だから衝撃で硬直が解けたと同時にソードで切った。
まだソードを使っているのには理由がある。それはろくな物が無かったから。それをマモンに言うと
「なら作っちゃえば?」
と、言われた。その場では冗談だと思ったけど今ならそれも良いと思った。なにせこのゲーム、装備のグラフィックは自作、それも思考汲み取りで出来るから。もっとも外見は同じでもスペックが違う事もあるらしい。
「よし、鍛冶屋のスキルを取ろう」
幸いにも職業スキルのスロットが2つに増えたから。レベル10ごとに増えるのかな?
「槌が必要なうえに槌スキルによって結果が揺れる。さらに鍛冶屋スキルも……」
そこまで読んで僕はスキルを購入して職業スキルに設定した。職業スキルにあれば使おうと思うだけで使えるし動作でも出来る。
「あとは槌を買わないと」
『mammonさんからプレゼントが届きました』
『アイテム名アスタリスクハンマー』
「マモン愛してる⁉︎」
つい叫んでしまった。多分今頃マモンは親指を立てているんだろう。マモンがいそうな方向に手を振って
「……よし」
アスタリスクハンマーを装備した。六角形の先端はずっしりと重いけど要求strは越えている。
これで蟻を殴れば良いんだ。
この日、ハンマーと剣の二刀流の赤い髪の美少女の噂が立ったとかなんとか。
*****
「うーん、やっぱり金属を素材にしないとダメなの?」
「ううん、コアに金属を必要としているんだ」
だから
「どこか良い場所無い?」
「あるけど採取スキル取ってないとろくに採れないって聞いたよ?」
「え……僕もう片手長剣と敏捷、鍛冶屋取ったけど……」
「鍛冶屋は職業スキル。パッシブスキルには関係無〜し」
マモンは笑顔で言った。とりあえず抱きついて
「愛してるよ、マモン!」
「私もよ、アリアちゃん!」
周囲から好色な視線を向けられるがそんな事は気にもならなかった。とりあえずマモンのおっぱいフカフカで柔らかい。しかし変形するのはずるい。
「さぁ、スキルを買って鉱山に行きましょう」
「うん!」
五分後
「あれ?」
「どうしたの? アリアちゃん」
「僕、ソロプレイヤーのはずだったけど?」
「え……アリアちゃんって私を嫌いになっちゃったの?」
僕は首を横に振って
「大好きだよ」
「アリアちゃん!」
抱きついて来たマモンのおっぱいの感触を堪能して
「そもそも今日はきりひなたちの勧誘を蹴ったんだけど……」
正面から迫ってきた大きな蟷螂をアークスラッシュで攻撃。スキル硬直の隙を埋めるために振るったアスタリスクハンマーは見事に残った体力を削り切った。
「これ、性能良いけどどうしたの?」
「ベータの時のボスドロップ。私は弓矢だし使わないんだ」
「弓矢ってコスパ悪いんじゃないの?」
フッフーン、と自慢気に胸を張るマモン。だから大きいってば。
「なんとこの矢、ストック出来るんですよ!」
「おお?」
「ここに一本しか見えなくても撃ったら自動で即補充出来る優れ物!」
「おお!」
「今ならなんと「売っちゃうの⁉︎」
私は驚きのあまり叫んだ。すると坑道内に反響して
「あら、たくさん集まって来ているね」
「探査取ってるから分かるよ……」
「アリアも連続に拘らないで単発重攻撃や範囲攻撃取ったら?」
「そうだね、少し時間を稼いで」
「え」
僕はメニューを開いてスキルを2つ解放する。これは片手長剣のスキルの派生だから買う必要は無い。
「何を取ったの?」
「単発」
「そうなの」
弓矢から離れた矢は蟷螂の頭を吹き飛ばして一撃の元に絶命させる。そして死体は光の粒子になって消えた。
「えへへ」
「いや……弓矢って強いね」
「極めたらね」
「そこまでやってないでしょ」
僕はメニューを閉じてソードとアスタリスクハンマーを構える……邪魔だからアスタリスクハンマーは一旦しまって
「ブラスト!」
前方へ吹き飛ばしの発生する単発重攻撃を放つ。蟷螂は正面から受けて地面を足で擦りながら下がった。そしてきかねぇな、みたいに首を傾けた。だけど遅い。
「えいっ!」
お腹を突き刺し、光となる死体を見ないで振り向くと
「あ、終わった?」
弓矢を肩に担いで微笑んでいるマモンが。
「アリアちゃんもすぐに最強まで行けるからねー。今くらい強いんだぞーって見せておかないと」
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