閑話 追いついたぞ

「……ようやく見つけましたよ。ちんちくりんコンビ」


 クラウさんと歩いていると、背後から失礼な言葉が聞こえました。

 聞き覚えのある声です。振り返ると、予想通りトワさんがいました。花魁おいらん、というのでしょうか。着崩した着物姿が相変わらずセクシーです。お花の香りも、相変わらず……どんな花なのか、知識のない私にはさっぱりですけど。

 トワさんは艶やかな方です。出ているところが出ているトワさんにとって、相対的に私やクラウさんは貧相なボディになってしまうのでしょう。あくまで相対的にです。……絶対値はそこそこあるわよ。


「やはり、二姉さまが最初に追い付いてきましたね」


 二姉さま、とクラウさんは言います。上から二番目だからだそうです。因みにクラウさんは上から三番目です。


「のんびりと散歩をしていたら、悪趣味な真っ黒花火が上がったので」


 クラウさんの打ち上げた黒い球を見て、私達のところへと一目散に駆けつけてくれたようです。


「それで、場所は分かりますか?」

「さきほどからずっと、勇者殿の聖剣が微弱なバイブ音を発しています」

「なるほど、勇者の聖剣が矛先を求めて唸っていると……」

「はい。だから近くにいることは確かなのです」

「そのものに突き立てれば、コトは終わるのですね」

「ええ、その通りです二姉さま。屈強な男性だろうと、無垢な幼女であろうと、勇者殿の聖剣をぐさっとやればイチコロです」

「ふふ……ならば早急に終わらせてしまいますよ、クラウ」


 ちょ、ちょっと卑猥じゃないかな。二人とももう少し言い方ってものが……あれ、でも二人とも平然としてる……もしや卑猥なのは私の頭? やだ、顔が熱い……。


「ふっ……」

「ふふ……」


 トワさんとクラウさんがニヤニヤしながら私を見つめていました。あ、これ、ゼッタイわざとだ。あの卑猥な言い回し、分かってて言ってたんだこの二人……にゃろう。


「勇者殿は頭が桃色でいらっしゃるようで」

「潤いが満たせず、欲求不満なのですか?」


 ニヤニヤと、下卑た笑みで二人は言います。

 桃色なのはあなた方二人もでしょうが! こんにゃろう!

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