閑話 追いついたぞ
「……ようやく見つけましたよ。ちんちくりんコンビ」
クラウさんと歩いていると、背後から失礼な言葉が聞こえました。
聞き覚えのある声です。振り返ると、予想通りトワさんがいました。
トワさんは艶やかな方です。出ているところが出ているトワさんにとって、相対的に私やクラウさんは貧相なボディになってしまうのでしょう。あくまで相対的にです。……絶対値はそこそこあるわよ。
「やはり、二姉さまが最初に追い付いてきましたね」
二姉さま、とクラウさんは言います。上から二番目だからだそうです。因みにクラウさんは上から三番目です。
「のんびりと散歩をしていたら、悪趣味な真っ黒花火が上がったので」
クラウさんの打ち上げた黒い球を見て、私達のところへと一目散に駆けつけてくれたようです。
「それで、場所は分かりますか?」
「さきほどからずっと、勇者殿の聖剣が微弱なバイブ音を発しています」
「なるほど、勇者の聖剣が矛先を求めて唸っていると……」
「はい。だから近くにいることは確かなのです」
「そのものに突き立てれば、コトは終わるのですね」
「ええ、その通りです二姉さま。屈強な男性だろうと、無垢な幼女であろうと、勇者殿の聖剣をぐさっとやればイチコロです」
「ふふ……ならば早急に終わらせてしまいますよ、クラウ」
ちょ、ちょっと卑猥じゃないかな。二人とももう少し言い方ってものが……あれ、でも二人とも平然としてる……もしや卑猥なのは私の頭? やだ、顔が熱い……。
「ふっ……」
「ふふ……」
トワさんとクラウさんがニヤニヤしながら私を見つめていました。あ、これ、ゼッタイわざとだ。あの卑猥な言い回し、分かってて言ってたんだこの二人……にゃろう。
「勇者殿は頭が桃色でいらっしゃるようで」
「潤いが満たせず、欲求不満なのですか?」
ニヤニヤと、下卑た笑みで二人は言います。
桃色なのはあなた方二人もでしょうが! こんにゃろう!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます