第2章 1話

私がバイトを初めてはや1週間

私は飲み込みが早いのか、与えられた仕事を素早く、かつ、正確にこなしていた。


時は昼過ぎ。日本の時間でいえば午後二時ぐらいだ。

酒場という飲食関係の仕事では一番忙しい時間であろう。

「シカンダちゃん、一旦休憩しなよ。」とバイト仲間のアルカル

黄緑みたいな緑色の髪、琥珀色の目、身長は私より5cmぐらい高い男性だ。身長分けろ。


「うん。そろそろ落ち着いて来たから休憩貰おうかな。」有り難く休憩を貰い酒場の裏方へと向かう。

そして真っ先に手が伸びたのは...

「はぁ...美味しそぉ!」そう。カユア特製お弁当

お弁当と言っても「玉子焼き」や「ウィンナー」などではなく、握り拳ぐらいのパンとかサンドイッチだ。

とにかくパン系が多い、

ひたすらお米が食べたい

多分、この世界の人に「お米」を食べさせたら世界変わると思う。


そんなことを考えながら、私はカユアの作ってくれたサンドイッチを頬張る

トマトの酸味、レタスと思われる葉のシャキシャキ感、そして何よりこのパン。とてもフワフワで美味しい。


サンドイッチを味わいながら、別で持ってきた水筒を開ける。その中は私とカユアが初めて出会って初めて口にしたシチューだ。

私はもうシチューに餌付けされたみたい。


「はぁ。美味しかった」

ごちそうさま と手を合わせ、テキパキと片付ける。

さぁ。あと数時間頑張るか!


────────カユア────────


「ん〜...ん゛〜」

俺とアンディアンは今、街で一番大きいであろう、服屋に来ている。

服屋…と言っても屋根があるだけの屋台みたいなものだが…


「なぁアンディアン?」

小さく呟き隣を見ると

行き道に買ってやった串肉を、幸せそうに頬張るアンディアンがいる。

「熱っ! …ん?どうひたの?」と若干涙目の聞きづらいがなんとか言葉を拾い、

「シカンダの服ってどんなのが似合うのかな…」

そう。今日ここに来た理由は数日前にさかのっぼって説明しよう



数日前────


「うわぁんカユアぁぁぁぁ!」

昼も終わりかけてきた頃シカンダが涙目で俺のところのに来た。

「どうしたんだ?!そんなに汚れて」

シカンダはあちこち切り傷やあざを作っていたし、とにかく砂やホコリで汚れていた。

とりあえずお風呂に入ってこいと言い、その後、話を聞いた。



「なるほど。『ショパーナ』で倉庫の掃除をしていると、元から不安定だった箱に手が当たり、落ちてきたと。」

「そう。それで…その…カユアに貰った服が破れちゃって…」

服のことより自分のこと心配しろ…

「服はまだ予備があるからそれ着なよ。でも、ほんとに怪我の方大丈夫か?」

その箱の中身というのが、鉄板だったようで、結構深い切り傷が2.3ヶ所あった。

「うん。怪我は大丈夫だよ」

「そっか。良かった良かった」

とシカンダの頭を軽く撫でた。

「え…?」

シカンダの『きょとん』とした表情は俺を我に返し、

「っ…!ご、ごめんっ!!」

「ううん…大丈…夫」その時シカンダの顔が真っ赤だったのを今でもハッキリ覚えている。



────なんていうことがあったんだ。

最後の方はただのいい思い出だ。

「ん〜シカンダはなんでも似合いそう♪」

確かに、

「でも、どうせならオシャレなのがいいよな〜」

「うんうん♪女の子はオシャレ好きだもんね♪」

そういえば、最近シカンダ、バイトで稼いだお金で髪飾り買ってたな…

「でも、迷宮(ダンジョン)に潜ったり、バイトする時にも着るから…」

「じゃあ これとかは?」

と言い、アンディアンが見せてきたのは

四角や線が変にならない程度に装飾されたこの国の伝統的な模様の入ったカーキー色のワンピースだ。

「おお。いいんじゃないのか?」

よし。後は…────


「一応、プレゼント用に包んでもらおうか」

「あ!僕もシカンダにプレゼントする!!」

はいはい。後でな とアンディアンを説得し、

街を再び歩き始める。


途中、アンディアンはシカンダに魔石のネックレスを買い、家路につく。



でもその日、シカンダは帰ってこなかった。


────2章 1話 end

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