第1章 5話

「アンディアン!次はこれで勝負だ!」

「カユアも懲りないなぁ」

「次こそ勝ってやるからな!!」

私達はアンディアン(十層神)とすっかり打ち解け今では仲間として毎日楽しく過ごしている。

あの出来事からもう2日。

私は自分の能力に目覚めることができ、また1歩、「日本」に近づいた。

「我が主よ。聞いてますか?」

「ん?あ、あぁ。ごめん。」

完全に意識が遠のいていた。

私は今、ユグドラシルに聖霊魔道のいろはを教えてもらっている。

「いいですか?あなたは私達の主。使い方を間違えればこの世界は滅びます。」

「それは大げさなような」

「いいえ。決して大げさではありません。」

結構危険な能力みたいだ。

ユグドラシルはすごく真剣な顔で私に話す。

──貴女はあの方の生まれ変わりなんです

ユグドラシルはこの言葉を何度も呟く。

生まれ変わりとはどういうことだろうか。

アンディアンが言っていた500年前、私と同じような聖霊魔道を使った者の事だろうか。

「─さぁシカンダ。まだ覚えてもらうことはたくさんありますからね」

「えぇ。まだあるのぉ!?」

「弱音を吐かないでください。これも貴女の為なんです。」

「わかったよ、ユグ。」

「わかればよi……って名前を訳さないでください!!」

なんとなくそう呼んでみたのだがダメだったのだろうか

「いや、なんとなく。」

「別に…結構気に入ったのでいいですけど……」

気に入ったみたいだ。

それにしても三日ぐらいの付き合いだがわかった事がある。

ユグドラシルはツンデレだ。

いつも、みんながいる時には私のことを『主』としか言わないのに2人の時は『シカンダ』

と名前で呼んでくるのだ

すごく可愛い。

ツンデレユグの可愛さに浸っていた私の耳元で

「ねぇ!シカンダ!!遊ぼ!」

とソプラノ声が聞こえた。

「アンディアン。カユアと遊んでたんじゃ?」

「カユアとゲームしてたんだけど全部勝っちゃって落ち込んでるの。」

「こら。アンディアン。今、私は主とお話をしているのです。あとにしてもらいましょうか。」

「むぅ!なんでユグドラシルが決めるのさ!」

「も〜、喧嘩しないの!」

「シカンダ、モテモテだな」

「あ。カユア。元気出しなよ。」カユアはとても暗い顔で私が座っていたソファーの隣に座った。そして大きなため息をついた。

「どうしたの?ため息つくと幸せ逃げるよ?」

「マジか!……いや。アンディアンすっげー強くて敵わないんだよなぁ」

「嘘ついてる。」

「え?」

「カユア、嘘ついてるでしょ。」

私でもわかる。カユアは嘘が苦手だ。

嘘をついたら絶対自分の短剣を触るんだ。

「はは…バレたか」

「隠し事はやめよ?何でも聞くから」

「そうだよな… ─シカンダは「日本」から来たって言っただろ?いつかシカンダは「日本」にかえらないといけない日が来る訳だ。今、俺はお前や、アンディアン、ユグドラシルに会えて嬉しかったし楽しい。でもこの日常もいつかなくなるんだなって思ったらさ……」

そうだ。私は日本に帰らないといけないんだ。

私もカユアに会えて、アンディアン、ユグドラシルとも仲良くなれてすごく楽しいし嬉しい

大げさかもしれないけど友達がいなかった私にとって初めての友達だから。

こんな楽しい日もいつか───

「そう…だね。すっかり忘れてたや」

私はとっさに苦笑いしかできなかったがカユアにはどう映ったかな

「まぁ、今すぐにって訳じゃないしな。」

そしてカユアは私の前に立ち「すまん」と頭を下げた

「いいのいいの。」とつられて私も頭を下げた、

その時「お〜い。二人とも一緒に遊ぼうよ!」

とアンディアンの声、

カユアは私の手を取り

「行こうか、」

と手を引っ張ってくれた。

少し照れたが素直に嬉しかったので心の中に収めておこう。



★月●日■▼曜

────────これから先どんなことがあっても私は今、目の前にあるものだけを信じよう。

だって未来は変えることが出来るから。

楽しい事だけの人生なんて面白くない

少し苦しいぐらいが1番面白い。

今日辛くてもきっと明日にはいいことがある。そう信じて生きていこう。

どうしても困った時、辛い時には隣には最高の友達がいるから。



✠────────✠

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