雪瀬さんの作品は特に恋愛物がおすすめとは聞いていたのですが、正義の味方ですとかヒーロー物っていうのが大好きな自分はこちらの方に飛びついてしまいました!
確かに思春期のキャラクター達の繊細な心理描写が麗しく、それだけにこちらの作品が評価されていないのが不思議です。
そもそもヒーロー物は主人公たる正義の味方が持つ自分の信念の置き所に対する葛藤に焦点が当たりがちで、繊細な心理描写こそ生きる作品だと思っています。
今作では主人公がある種のブレなさを持つ故に周囲の人間が葛藤し、悩むという構図をとっています。しかし周囲からはある種の聖人のごとくみなされる主人公ですら内なる闇に思い悩んでいる。
この多方向に飛び交う思い悩みは青春×ヒーローって感じで非常に素敵、この関係性を描く味が雪瀬節って奴なのかもしれません。
ある人が仰っていたのですが、ヒーロー物で大事なのは読み手に「こんな奴いるわけない」という感情を「こんな奴いてほしい」という感情が圧倒させることだそうです。
僕は日野川連がこの世界に居て欲しいと思います。きっと眩しくてウットオシクて、でも美しくて……大好きです。
この物語が如何なる正義を示すのか楽しみにしています。