第3話
時間が過ぎていく。留まるような一人の時間。流れゆく家族との時間。漂うような週末の弦楽器の流れる時間。その全てが、好きか嫌いかさえも構わず、諭されるように緩やかにねじ込まれていくようだ。私にはこれがあるべき日常かなんて、わからないのだから。
ある時、私の生活に転機の兆しが見え始めた。医者に、リハビリの開始を告げられたのだ。順調に回復に向かっている体を、病室の外で少しずつ動かしていこうというものだ。
窓の外に広がる風景に足を踏み出せる。ぼんやりとそこに待つものを夢想した。壁のない空間を歩くのはどんな感覚なのだろう。時折窓から訪れるそよ風を外で感じるのはどんな感覚なのだろう。ぼんやりとした想像はどこか掴みどころのない期待だった。
生に至る病 @somnus_meus
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。生に至る病の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
近況ノート
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます