(4)
「修吾さん、おはようございます。うわ、どうしたんですかその傷」
「おお、一之瀬か……」
朝、登校中偶然一之瀬に出会った。
「もしかして喧嘩ですか?」
「いやまあ、そんなところだな」
熊雄に鍛えられはじめてから三日経つ。毎日毎日ボコボコと殴られて、修吾の体は今日も節々痛い。至る所に包帯が巻きつけられている。この日は特に腰が痛かった。
「あ、いててて……」
「不良漫画じゃないんですから。今時喧嘩なんて流行りませんよ?」
「喧嘩っていうか、俺が一方的にやられてるだけだけどな……いてて」
周吾は腰を抑さえながらいう。だが痛がりつつも、それと同時に自分の回復能力の異常さについても自覚せざるを得ない。訓練終了時は毎回指を動かすのも辛いくらいなのに、翌日の訓練時間になる頃には傷は全部癒えている。この腰の痛みも、もう何時間かすればすっかり感じなくなっているだろう。
「あ、あの。手伝いましょうか?」
「……え?」
突然の申し入れに、修吾は面喰った。一之瀬は自分の力こぶを見せるようなポーズをとって話す。
「私、腕っぷしは自信ありますよ。鍛えてますし」
「……お前、面白い奴だな」
「い、いやあ、あのその……」
ややテンパった風の一之瀬。恥ずかしそうに、頬を赤らめる。
「ありがとよ。その気持ちだけ受け取っとく。だがこれは俺自身が解決しなきゃいけない問題なんだ」
「そ、そうですか……」
何故か残念そうに、一之瀬は顔を伏せるのだった。
昼休み。
学校の屋上。
賑やかな教室を後にして、恋子と修吾は二人屋上で昼食を食べていた。
「あいてててて」
「修吾くん、大分しごかれてるみたいだね……」
「クソ、あのヤロー手加減なしだ。ムカつくぜ……。この前一之瀬に会った時お蔭で心配されちまったぜ」
「そうなんだ……」
「だが、それなりにこの刀を使いこなせるようになりつつあるとは思う。まあ、まだあいつには一太刀も入れられていないんだがな……」
「頑張ってるんだね」
「恋子ちゃんの為、だからな」
「……」
そういうと何故か恋子は少し俯き気味になるのだった。
「恋子ちゃんの方はどうだ? 何か新しい情報はあるか?」
「色々聞いてるよ。まず、アカネ先輩を殺した犯人。まだ分からないけど、多分あいつは『七色蠍』っていう集団のメンバーじゃないかっていわれてる。『蟲飼い』になった人間によって構成されている集団で、人間を滅ぼして、蟲飼いだけの新しい世界を作ろうとしている連中なんだって」
「なんだそりゃ。またイカれた連中だな……。ん? でも妙だな? そいつらは『蟲飼い』に対しては仲間意識を持ってるってことだろ? 何でそんな奴等がクマノミのメンバーを襲うんだ?」
「それがね、『七色蠍』は同じ蟲飼いのでも過激派の組織で、クマノミのような人類と蟲飼いとの共存を考えているような集団とは敵対してるんだって」
「……なるほど。穏健派の『クマノミ』と過激派の『七色蠍』ってとこか」
ということは、あの女は『クマノミ』への攻撃を仕掛ける『七色蠍』の尖兵みたいなものなのだろうか。
「そして近いうちにあの犯人を捕らえるための何か大規模な作戦が行われるんじゃないかっていわれてる」
「そうなのか。まあ栗子さんも四人も仲間が殺されてるんじゃ、このまま指をくわえて黙ってみているわけにもいかないだろうからな……」
「……ねえ、修吾くん。栗子さんは犯人を捕まえて、でも報復に命を奪うことは考えてないんだって。罪は償ってもらうけど、殺すつもりはないんだって」
声のトーンを落とし、恋子は話す。
「それで考えたんだけど、私はね。やっぱりそれじゃ納得出来ないんだ。どうしても私がこの手で、あいつを殺したい。アカネ先輩が受けたのと同じ苦しみを、あいつにも受けさせたい。それじゃあ私は納得できないの」
「……」
「私の願いはね、早く普通の日常に戻ること。アカネ先輩のことはちゃんと決着を付けて、それでまた普通に笑って、普通にみんなと仲良く過ごせる日常に戻りたい。あ、それはアカネ先輩を忘れちゃうってことじゃなくてね。多分きっとあの人はいつまでも私の胸の大切な部分に居続けるんだと思うけど……」
「……ああ」
「先輩をあんな目に合わせた犯人が私には許せない。絶対に。ちゃんと決着を付けないと、私は前に進めない。私はこれからこの先自分の人生を歩めない。毎日毎日、ふとした瞬間に先輩の顔がよぎるの。日曜日の朝起きた時とか、帰り際の靴箱とか、そんな何気ない時に。そしてもうあの表情は永遠に失われてしまったということに気付く。すると私の中からどうしようもない感情が溢れてくる。怒りとか、憎しみとか、そういうドロドロとした感情。こんなこと考えたくないって思うんだけど、そう思えば思うほどそんなまっ黒な感情はどんどん大きくなっていく……」
鼻頭にしわが出来、眉が歪む。いいながら、恋子の表情はその憎しみによって強く染め上げられていくのだった。
――ああ、恋子ちゃん。
――どうかそんな顔をしないでくれ。
内心そう思いながら、修吾はそれをおくびも出さない。
「……私馬鹿だから、こんな風にしか出来ないや。ねえ修吾くん。お願い、私の前にあいつを連れて来て。私にあの女を殺させて?」
自嘲するような、歪な半笑いを作って恋子は話す。
しばしの沈黙。
「……それが君の願いか?」
「……うん」
まだ少しためらいがあるのか、その声はか細く小さかった。
「……分かったよ、恋子ちゃん。何とかして俺があいつの武力を完全に奪った上で、君の前に差し出してやる。後は君の好きにしてくれ」
「……ごめんね」
「気にするなよ。前もいったろ? 俺の願いは君の手助けをすることだって」
「……ありがとう」
ぽつりと漏らす恋子に、修吾は笑って応える。
といいながら、修吾はそんな約束を守る気なんて本当の所これっぽっちもないのだった。
――馬鹿だな恋子ちゃん。
――殺しなんて君の可愛い手を汚すようなこと、俺が君にやらせるわけないじゃないか。
終礼が終わると、修吾は荷物を持ち教室を出た。
今日も今日とてクマノミのアジトに向かう。とりあえず、あの熊雄と対等に渡り合える程度の実力を付けなければ話にもならない。今の実力では例のヤンキー女に傷一つ付けることも出来ないまま、瞬殺されるだけだろう。
それ以上に、修吾の気持ちの問題でもある。単純に、熊雄の奴にボコスカ一方的に殴られたのがムカつくのだ。同じくらいか、それ以上にやり返してやらないと修吾の気持は収まらない。その為に、今日の所はとりあえず一撃でもあいつに入れてやりたいところだが。
ふと、廊下を歩む修吾の前方、一人の男子生徒がこちらに駆けてくるのが見える。
「ま、待ってくれ……」
男は偉く疲れた様子で、修吾よりやや手前の地点を見つめている。
生徒の視線の先。修吾は何か素早く蠢くものを発見する。修吾の脇をすり抜け逃げようとする物体。
咄嗟に手が出ていた。
気が付けば自分の手に握られていたそれ。
白い鼠だ。
修吾の掌よりもやや大きめのサイズ。結構大きな鼠である。
鼠は手足をばたつかせ、鳴き声を上げながら掌から必死に逃げ出そうとしている。一生懸命走っていたはずが、気付いたら人間の手に捕まれていたのだ。慌てるのも無理はないだろう。
暴れる鼠の視線が、修吾の瞳を捉える。
「黙れ。潰すぞ」
ぼそり、と。
呟くようにいう修吾。
途端鼠は暴れるのを止め、口を黙らせて、無抵抗であることを示すかのように腹を出し手足を開く。その体は全身小刻みに震えていた。
――それは蛇の眼だった。捕食者の眼だ。逃げ惑う者に絶対の恐怖を与え、動きを封じる魔の視線。
「あれ、どこいった……?」
その鼠を追いかけていたのだろう男は、ようやく修吾の元に辿り着いた。
「何か探しているのか?」
「いや、実は僕は化学部に所属しているんだけど、研究用に飼ってあるラットを逃がしてしまって……」
「ふうん……」
「君、見なかったかい?」
「いや、見てないな……」
手を後ろに隠しながら、修吾は答える。
「困ったなあ。何処に行っちゃったんだろ……。見つからなかったら僕が怒られる……」
しょげた様子で男は修吾の後方へと走っていく。
――初心者はまだ自分の毒の正体を知らなくていい。
男が去ったことを確認してから、修吾は鼠を取り出し眺める。鼠は怯えるように縮こまっていた。蘇るのは、前に熊雄がいっていたそんな言葉だ。
熊雄の言い分にも一理はあるのだろう。だが、修吾には時間がないのだ。短時間で、出来る限り自分の力を引き上げなければならない。あのヤンキー女を仕留めるために。
修吾は鞄から取り出したビニール袋に、その鼠を放り込んだのだった。
「で、あの子使えそう?」
単刀直入に、栗子は熊雄に聞くのだった。
呼び出しがかかったので、熊雄は栗子のオフィスを訪れたのだが。
相変わらず、良く片付けられた清潔な部屋だった。本や資料などはきちんと棚に仕舞われ整理されている。床にもほこり一つない。
「そうですね、あいつは生意気で口も悪いですが、少なくとも今のところ弱音を漏らしてはいない。鍛えがいはありますね」
「戦力にはなりそうかしら?」
「腕はまだまだですが、ウチの非戦闘員の奴等よりは役に立つと思いますよ」
デスクに座った栗子に、壁にもたれたまま熊雄は応えた。それは熊雄の本心だ。伸びしろのある男だというのが、依代修吾と直に関わってみて感じた熊雄の評価である。今はまだまだ弱いが、体さばきも刀の扱いも日を追うごとに上手くなっている。
「ただなんというか、アイツの剣は見てて危なっかしい気持ちにさせられます。自分を守ることなんてちっとも考えていない、いや、自分なんてどうなっても構わないと思っているようなそんな剣だ」
「そう……」
栗子は手を組み直し続けた。
「ほんとならまだ実戦には投入したくないんだけどね……。だけどそうもいってられない。他に戦力もないしね」
クマノミ組織のメンバーは全員で大体七十人前後、その内実際に戦闘経験のあるメンバーは十人にも満たないのだ。蟲刀を体内に孕んだからといって、誰もが望んで戦闘に赴きたがるわけではない。戦闘を避けたがる蟲飼い達も少なくないのだ。まあ、クマノミは「人類と蟲飼いとの共存」を理念に掲げて誕生した組織なのだから、そういう戦闘に不向きな連中ばかり集まって来るのも当然といえば当然だが。
「相手の正体が今一はっきりしないのが不安ですがね……」
「けどもう黙ってるわけには行かない。こちらも攻勢に出ないと。何よりこれ以上私たちの仲間を失うわけにはいかないわ」
『蟲飼い』になった人間の内、大多数は『七色蠍』のような過激な思想を持った武闘派組織に属している。寧ろ『クマノミ』のような穏健派は少数派だ。それ故にクマノミは『七色蠍』を含めた様々な組織から恨みを買っている。
今回の事件もそれらの何らかの組織による犯行かと思われたが、それにしては犯人は単独で行動しているようだ。組織的な動きは今のところ全く見られない。
実体が見えてこない辺り、不気味な相手である。
「近いうちに仕掛けるつもりなんですね」
「準備が整い次第ね」
「じゃあやっぱり依代の奴を、今回の作戦に投入するつもりですか?」
「そのつもりよ……。熊雄くん、彼の面倒を頼めるかしら?」
「そりゃ構わないですが、刃を交えた限りじゃ相手はかなりの強者ですよ」
「そう、熊雄くんがそんな風にいうなんて、本当に強かったのね……」
奈琴がやられ、修吾が刺されたあの夜、熊雄は例の女と刀を交えた。結局その後すぐに相手が退いたので決着はつかなかったが。
自分の実力に自負はある。
だが、あのまま一対一でやりあっていたらどうなっていただろうか……。
「まあ三人、四人で掛かってたら別ですけどね」
「なんとか複数で一人を追い詰める状況に持っていくしかないわね……」
しばらく栗子は足元を見つめ、何やら考えている様子だった。
「結局あの女の正体はまだ分からないんですか?」
「今のところはそうね。私も色々当たっては見てるんだけど……。でも熊雄くんのお蔭で大分進展すると思う。これ、良く出来てるでしょ?」
栗子が取り出したビラ。そこに描かれているのは、例の女の似顔絵だ。熊雄からの聞き取りを元に描かれた物である。
「やっぱこいつ『七色蠍』の構成員ですかね?」
「恐らくね。ここまでウチにしつこく絡んで来そうな組織は他にはないと思うんだけど……。でも、分からないわ。個人で動いてる可能性もあるし」
「そうですね」
「ただ、これ以上黙ってウチの子達を傷付けさせるつもりはないわ。それだけは何としても止める。絶対に」
きりりと、栗子の表情が引き締まる。強い責任感を感じさせる、リーダーとして仲間を守る決意の伴ったその表情。
――美しい。
熊雄は自分の胸の鼓動が、僅かにどくんと昂ぶったのに気付いた。
「ふん!」
大きく振りかぶり放たれた熊雄の蟲刀を、紙一重で修吾はなんとかかわした。かなり無理な体勢で避けたので、それ以上の回避が出来ない。
「ぐ……っ」
その隙を付いて放たれた熊雄の蹴りは修吾の腹部に直撃する。だが腕を腹に添え、ぎりぎり防御した。修吾は地を回転し、衝撃を逃がす。
「まだだ」
素早く立ち上がった修吾は、地面を蹴り熊雄に飛び掛かる。
熊雄は再び刀を大振りに構えた。
放たれた一閃。
だがそれは修吾には届かない。刃は修吾の服と皮を裂くいたが、それだけだ。大した傷ではない。
間合いに入るか入らないかという距離で、修吾は足を止めたのだ。
攻撃を外し背を見せる熊雄に、修吾は渾身の力を込めて拳をめり込ませる。
熊雄は吹っ飛び、壁に直撃してから地面に倒れ込んだ。
「……今のはいいパンチだったぜ」
むくりと、大してダメージを受けていない様子で熊雄は立ち上るのだった。
「刀に頼らない攻撃が増えて来たのはいい傾向だな。武器を持った奴の多くは、得物ばかりに気がいって動きが読みやすくなる」
「ちっ……」
さっきの蹴りの重みが効いてきたのか、修吾は片足を付く。
「とはいえ最も俺の一閃を僅かにとはいえ皮膚に当ててしまった時点で、実質的にはお前の負けだがな。これが実践なら『蟲毒』をぶち込まれている……。しかし、ちょっと鍛えただけでずいぶんやるようになったな。正直驚いてるよ」
「やっと一発入っただけだろうがよ……」
「俺に一発入れば十分だ。まあ勿論、俺はまだ本気を出しちゃいないが。それに栗子さんは俺よりもっと強いぜ?」
「そうなのか?」
組織のトップについているのだからそれなりに実力はあるのだろうとは思っていたが。まさかこの熊雄よりも強いとは。
「ウチの組織だと、多分あの人が最強だな」
「マジかよ……」
ちらりと、熊雄は自分の腕時計を見る。
「さて、そろそろいい時間だな。今日はもうこれで終わりにしよう」
いいながら、熊雄は片足を付いたままの修吾に手を差し伸べる。不承不承という感じで、修吾はその手を握り立った。
「いつもは置いて帰るくせにどうした?」
「いや、最近一人で行動することが多いかったんで忘れてたがな、なるべく二人以上で行動しろという命令が出てるんだ。お蔭で栗子さんに怒られてしまった」
「……ふん」
熊雄は部屋の電気を落とし、鍵を閉める。修吾もその後に続いた
「……」
「……」
特に会話もなく、二人は帰り道を歩く。十字路に差し掛かったところで、修吾は口を開いた。
「俺はこっちだ」
「そうか。俺はこっち」
「じゃあな……」
といって修吾はその場を去ろうとする。
「おい、大丈夫か? ここから家は近いのか?」
「まあ歩いて五分ってとこだな。心配か?」
「一応な」
「なんなら俺んちまで着いてこさせてやってもいいぜ」
「何故上から目線なんだ……」
熊雄はため息を付きながらこめかみを押さえた。
「まあいい。今のお前の実力なら逃げるぐらいなら問題ないだろう。……だが、もし襲われても闘おうなんて思うなよ」
「分かってるよ」
修吾は背中を向け手を振りながら、その場を去る。
「やれやれ。本当に生意気なやつだ」
しばらく無言で背中を見送った後、ふうと再びため息を付いてから熊雄もそこを後にした。
*
熊雄は気付かない。
自分の背後。遥か後方に黒塗りの車が停止していることに。
「ふん、ゴミめ。ようやく一人になったか」
伊草場はハンドルを握りながらひとりごちる。
つかつかと、自宅へと向かう熊雄の後ろ姿を目で追いながら伊草場はニヤリと笑みを浮かべる。
ビジネス用の笑みではない。
とてもお客の前には出せない、下卑た、他者を蹴落としあざ笑う笑みだ。
「それにしても毒蟲共め。のうのうと人間様の街を歩きやがって。最悪な気分だぜ。お前たちはこの世界の汚物だ。人間になり損なったカス共だ。とっとと全滅させて、早くこの世界を綺麗にしないと……」
ぶつぶつと呟きながら、伊草場は助手席を確認する。席には黒塗りのスーツケースが置かれていた。
「熊雄とつるんでた、あの依城とかいうガキ。あいつも恐らく毒蟲っぽいな。熊雄を殺したら次はあいつも始末しないと……、早くあの気持ちの悪い人間未満の連中を消し去るんだ」
伊草場は車のギアを変え、発進させる。そしてペダルを徐々に深く踏み込んでいく。車はどんどんスピードを増して行った。
車は大通りを走る。そこは灰茨市のちょっとしたオフィス街だ。辺りには高さのある建築物が密集している。
「ふふふ、ははは」
声をあげて笑う伊草場。車は熊雄の後姿に追いついて行く。ガードレールを跨いで、熊雄はもうすぐ傍だ。伊草場はペダルに一気に力を入れ踏み込む。車は更にスピードを上げ、急停車の利かない危険な速度へと踏み込んでいく。
「ふはは、死ね!」
伊草場はハンドルを急に切ったかと思うと、スーツケースを掴みドアを開き、そのまま車から飛び降りた。
地を回転し、受け身を取る伊草場。
車は行先を変えると、恐ろしい勢いでガードレールをぶち破り、そのままビルに激突した。
――間に熊雄勝を巻き込んで。
ガラスが割れ、コンクリートが砕け、鉄柱がひしゃげる。
ビルの側面を削りながら、ようやく暴走車は停車する。
しばらくすると爆発音と共に火炎があがる。ガソリンに火が付いたのだろうか。
火炎は勢いを増し、ビルは見る見る内に焼かれ、炎に飲み込まれていった。
すさまじい事故だった。
*
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