第21話 剣を持つ資格
結論から言ってしまえば、リアの魔法学園入学の話は一時保留となった。
リアの言い出した言葉はジークベルトやオルトにとっても看過できるものではなく、リア自身が何よりも魔法学園に対して特に興味を抱く事がなかった、という現実的な問題もあったせいだ。
もっとも、ジネットは何かを考え込むような素振りを見せているのだが、リアやマリーナはあまり気に留めていない。
そして現在、うろの家の前の開けた場所で、リアとマリーナ、そしてアークとオルトの四人がそれぞれに木剣を手に立っていた。
「――では、始めるとしようか」
「よろしくお願いします」
最初に中央を陣取ったのは、オルトとマリーナであった。
純粋な剣技での手合わせ。そんな条件の下で実力が均衡するであろう組み合わせを考えた時、リアはあまりに未知数である。そんな訳で、オルトがまずはマリーナとリアの実力を見てみる事となったのである。
元々は没落しかけているとは言え騎士爵の娘であるマリーナの剣術は、アルヴァレイム王国流剣術が基礎となり、魔物との戦いの中で己の手で昇華させてきたものだ。近衛騎士団長であったオルトにどこまで通用するのか、この三年の間に様々な戦いを経て成長してきたという矜持もあるからこそ、オルトに対する戦意は高い。
しかし対照的に、マリーナの気配はまるで静そのものだった。
獣のような荒ぶる気迫もなく、ただただ平時の――否、それ以上の静けさを身に纏うマリーナの姿に、オルトも思わず目を細めた。
――これは……。
近衛騎士団で稽古をつけてきた者達とも、剣で名を売ってきた者達のそれとも異なる気配に、オルトは気を引き締めた。
二十歳前後の、オルトから見れば子女にすら見えるマリーナに対する評価をぐっと上方修正しつつ、無造作な構えから一変して、しっかりと構えを取った。
「ほう……、オルトが最初から構えるか」
ジークベルトが思わずといった様子で呟くのも無理はなかった。
常に王国内最強の名を恣にしてきた剣士オルトが、挑戦者を迎え撃つ。その際、オルトは常に無防備に立ったままのような姿勢から戦いを始めるのが常であった。此度の手合わせもそうなるものかと思えば、マリーナを相手にして油断は禁物だと悟ったのだろう。
鬼気迫る空気を身に纏い、マリーナの静とは正反対とも言える激しい気迫を隠そうともせずに構えた。
「――いくぞッ!」
先手を取ったのはオルト。それもまた、泰然と挑戦者を迎え撃つ事の多いオルトにしては珍しい光景であると言えた。
巨躯に似つかわしくない凄まじい速度でマリーナへと肉薄し、小手調べとばかりに振り出された袈裟斬りの一撃。風圧だけで並の人間ならば吹き飛ばされかねない程の一撃に対して、マリーナがどう対処するのか。
そんな周囲の視線を――マリーナはまるで嘲笑うかのように上体を後方に仰け反らせるという、ただそれだけで躱してみせた。
これに驚いたのはオルトであった。
二十歳そこそこの女性と言えば、王国の女性騎士であっても未熟な半人前が多い。オルトの放つような鋭い一撃に対して慌てて防御を選択するか、或いは大きく避けるかを選ぶのが一般的である。
「――ふっ!」
オルトの空振った木剣が再びマリーナへと追撃しようと切り上げられる、それより前にマリーナが動いた。返す形でマリーナを襲おうとした際に生まれた一瞬の制止を見極め、最も力が入りにくいその一瞬を狙ってマリーナがオルトの木剣を横に弾いたのだ。
筋骨たくましいオルトとか細いマリーナとでは膂力が全く違う。しかし、マリーナが放った一瞬の攻撃は力が入りにくいタイミングであった事もあってか、あっさりとオルトの追撃の軌道を逸らす事に成功した。
同時に、マリーナが反撃に動いた。
オルトの木剣を弾くその勢いのままにすれ違うようにくるりと回転しつつ、オルトの後頭部目掛けて回転の勢いを乗せた一撃を放つ。
だが、オルトとて歴戦の剣士である。
一瞬の隙を窺い、針の穴に糸を通すかのような一連の攻撃を、前方へと前転する事で回避してみせ、即座に起き上がって反撃できるようにと身構える。
不用意に懐に飛び込めば、オルトの手痛い反撃を喰らっていただろう。
マリーナはそれを見越していたかのように佇んでおり、オルトもまたそう簡単にいく相手ではないと理解していたのか、小さく口角をあげ、改めて立ち上がった。
それらはたった一瞬の攻防であったが、目まぐるしく動く戦局にジークベルトとアークは言葉を失った。
「……なんなのだ、あの娘は……」
「あの子は『蒼空の剣』所属の冒険者さ。魔物ハンターとしての腕なら、すでに一級とも比肩する程度には鍛えているよ。もっとも、訓練を優先しているせいか、三級で止まっているけどね」
「一級だと……? しかしあの娘、まだ若いであろう」
「ま、死線を強引に渡らされたっていう経験は伊達じゃないって事さね」
――まぁ、そうなれたのは二人の過保護な連中のせいでもあるけどね。
リアと行動する以上は、常人で到達できる程度の実力者では許さないとばかりにマリーナを鍛えたジルとティアを思い出して、ジネットは苦笑する。
マリーナはジルやティアによって、三年前から〈
今のマリーナは、かつて苦汁を舐める結果となったバジリスクの亜種ですら一方的に斬り刻めるだけの実力を持っているのである。
もっとも、リアとの手合わせではそうした得意な状況に持ち込む前に銀珠という包囲殲滅攻撃によって封殺されてしまうが。
また、マリーナ自身は知らないが、かの『蒼空の剣』所属の天才剣士、ケインすら「彼女は僕以上に才能に恵まれている」と言わしめた天性の素質があった。でなければ、三年前の時点で変異したバジリスク相手に自ら傷を負ってまで反撃させるには至れなかったというのが現実だ。
リアという特異な存在がいなければ、彼女もまた十二分に評価されて当然なだけの実力者なのだ。
お互いに一撃ずつを入れ、実力を理解したのだろう。
そこからは膂力を利用したオルトの攻撃、速度を重視したマリーナの剣戟が鳴り響いていた。
勝敗は――引き分け。
マリーナもオルトも、お互いに武器破壊を狙っていたのだろう。オルトは執拗に木剣の一箇所を狙い続け、マリーナもまた破壊すると決めた箇所に負荷がかかるようにと攻撃を続けた結果、最後の最後でお互いの木剣が折れてしまったのである。
肩で息する二人が、折れた木剣を見て苦笑し、お互いに手を差し出した。
「驚いた。貴殿程の実力ある若者ならば、いつでも我が王国騎士団の門戸を開けるであろう」
「光栄です。が、私は冒険者です。自由に生きる方が性に合っていますので」
「……惜しいな」
お互いに握手しつつ、さりげなく勧誘してみせたオルトにマリーナはあっさりと断った。
オルトとて返答は予想していたのか、惜しいとは言いつつも苦笑に留まった。
「オルトよ、どうであった?」
「……彼女もまた本気ではなかったようですな。全盛期であったならいざ知らず、お互いに死合うのであれば、どうなるか」
「むぅ……そこまで、か」
唸るように呟くジークベルトを他所に、すでにリアが木剣を持って中央へと移動し、準備運動を始めている。しかし対照的に、どうにもマリーナとの手合わせは現役を退いたオルトには些か厳しいものがあったようだ。未だに体力が回復しきっていないのか、疲労を見せる表情に気が付いて、リアがくるりとアークへと振り返った。
「オルトさんは疲れてるみたいだし、待ってるだけっていうのも暇だもんね。アークくん、やろっか」
「……そう、ですね。分かりました、相手をさせてもらいます」
リアを相手にすると決まって、どうにも緊張の色を隠せないらしいアークを見て、ジークベルトは先程までの驚嘆とは全く異なった、呆れの色を孕んだ溜息を漏らした。
アークは第一王子として相応しい、賢い子供である。
剣の実力も、頭も良く、見目も整っている。その上、そうした部分を鼻にかけない実直な性格をしている。
そのせいか、貴族の女子達にはその人気は凄まじく、男女の駆け引きも知らない子供達からは積極的に自分をアピールされており、それが理由で女性に対しては少なからず大人な対応を心がけるようになってしまった。同時に、女性に対してはどうにも下に見ているとでも言うべきか、無意識下に見下している傾向がある。
そんな孫が、見て分かる程にリアを見て顔を赤くしているのだ。
確かにリアの見た目はそんじょそこらの貴族令嬢にも引けを取らない。
美しい白銀の髪に整った顔立ち、どうにも天真爛漫というか警戒心のない様子が愛らしく、くりくりとした紫紺の瞳は喜怒哀楽を隠そうともしない。それらは貴族家に生まれ育った者達には珍しい。
――だが、相手が悪すぎる。
アークの初恋の相手であるリアを、ジークベルトはそう評するしかなかった。
かの〈銀珠の魔女〉の肩書きを受け継ぎ、冗談であろうと一笑に付してしまいたくなるような魔物の討伐記録の数々。その実力は実力主義のアルヴァレイム王国内であっても異様な程であり、フォーロア辺境伯ですら自陣に引き込む声をかける事さえ躊躇われるような相手――それがリアだ。
もちろん、そんなリアという存在がアークと恋に落ち、その上で国を支えてくれるのならばこれ以上の事はない。しかし、先程の問答からも見えた通り、リアはどうにも堅苦しい生き方というものを好んでいるようにも見えず、ましてや王子様に憧れる子女ではない。
年を取り、女性としてもう少しばかり成長すればいざ知らず、今のリアが恋に邁進して苦労を買ってくれるとは到底思えなかった。
だとすれば、せめてアークと友誼を結び、友として立ち上がってくれれば良い。
そうした方向に考えを改める方が、余程建設的であった。
一方、そうしたジークベルトの政治的な思考には気付かず、アークは己の中に芽生えつつある感情に未だ戸惑っていた。
こうした感情を胸にした事はない。
リアの一挙手一投足についつい目が向いてしまい、顔に見惚れてしまう。それらが愛だの恋だのといった感情であるかどうかは、アークも理解できていなかった。
そんな相手と剣を交えるともなれば、アークとしてもどうするべきか躊躇われた。
――女の子相手に怪我させる訳にもいかないかな。
木剣を手に持ち、そんな風にせめて怪我や痛い思いをさせぬようにと気遣っているのだろう。どうにも真剣味がないままリアと向かい合う位置へと移動したアークの姿は実に分かりやすく、ジネットを嘆息し、ジークベルトやオルト、マリーナはどうにも苦笑を浮かべてその姿を見送った。
「準備はいい?」
「あ、あぁ。いつでもどうぞ」
「……殿下。戦いを前にその態度はいかがなものかと思いますが?」
「……実力は分かっているつもりだけど、ね」
「アーク!」
苦言を呈するオルトやジークベルトに対し、アークはどうにも乗り気ではないと言いたげに肩をすくめてみせた。
アークは剣の才能があると周囲に持て囃されており、事実騎士を相手に善戦できるという、リアと同い年の十一歳にしては規格外とも言える程の実力を有している。
確かに、マリーナとリアの戦いは目を見張るものがあった。
しかしアークは、リアが操る銀珠とマリーナの動きばかりに注目していた事もあって、リアの剣術というものは見た事もない動きであった事もあってか、素人のそれだと思い込んでしまっているのだ。
自制しているものの、それでも十一歳の少年。
そんなアークが己の実力に自信を持っているからこそ、同じ年代の少女相手ではどうにも本気にはなれないというのが本音だった。
一方で、そんな態度を目の当たりにしたリアは特に何も思うところもなかった。
自分の実力を侮る事に対しても、自分をどこか見下しているようなアークの態度に対しても、そもそも自分の実力がそこまで高いという実感すらないリアには、どうとも思えないというのが本音だった。
「んー、とりあえず始める?」
「はい。いつでもどうぞ、かかってきてください」
「うん? でも構えてもいないよね?」
「大丈夫ですよ」
初めて淡い恋心を抱いた相手だからこそ、背伸びしたいという少年らしさもあったのだろう。強気に――否、いっそやる気すら見せない事で余裕があるとでも言いたげに佇んでみせたアーク。
しかし、そんなアークの心情など知った事ではないのがリアである。
かかって来いと言われたのだから、リアは木剣を腰元で構え――ドン、と鋭い速度で一瞬で間合いを詰め、アークの脇腹目掛けて木剣を振るった。
「――ッ!?」
咄嗟に対応できたのは、有り体に言えば偶然だった。
差し出した木剣でギリギリのところで衝撃を受け止めるも、しっかりと構えてすらいなかったアークの木剣は押し込まれ、そのまま脇腹に減速した木剣が突き刺さり、蹲る。
「……あれ?」
その光景に対する反応は三者三様であった。
唖然とするジークベルトとオルト。ジークのリアを見下すような態度に苛立っていた事もあってか、笑いを堪えるジネットとマリーナ。そして、てっきりマリーナやケインならば確実に対処できたであろう攻撃に崩れたアークをきょとんとした表情で見つめるリア。
「……えっと、大丈夫?」
「ぐ……ッ、だ、大丈夫だ……。い、今のは油断しただけだよ……。はは、結構速いんだね……。油断してたよ」
「……油断?」
初めて淡い好意を抱いた相手にみっともない姿を見せてしまったのが恥ずかしかったのか、そんな言い訳じみた言葉を口にするアーク。
その姿に大人達は呆れたような生温かい目を向けるが――次の瞬間、リアから突如として身体から放出した強大な魔力に、誰もがぎょっとした表情でリアを見つめた。
「――立って」
「え……?」
涼しげで無感情なリアの言葉に、アークは目を剥いた。
先程までのほんわかとしていて柔らかな空気とは一変した、肌を刺すように向けられた戦意に、言葉が出なかった。
踵を返して再び距離を取ったリアが、冷たい表情のまま木剣を構える。
立ち上がったアークはそんなリアの気迫に呑まれるかのように、僅かに震えながら木剣を構えた。
「いくよ」
短く告げるリアの声。
刹那、一瞬でアークへと肉薄し、抜刀するような姿勢から放たれた一撃が風切り音を奏でながらアークの首元へと襲いかかり、ピタリと止まった。
遅れてやってきた風に髪を揺らしたアークが、何が起こったのかと目を白黒させながらリアを見て――身体の芯から冷えるような冷たい視線に息を呑んだ。
「――もしもこれが本当の戦いだったら、さっきの一撃であなたは死んでる。運良くやり直せるチャンスがあったのに、それでも今の一瞬であなたは死んでるよ」
「……あ……」
「……よくこの〈
冷たく無感情に言い放ってみせるリアの態度に、ジークベルトとオルトは目を丸くし、対照的にジネットとマリーナは「やっぱり怒った」と予想していたかのように苦笑した。
「ジネット様、彼女は何故……」
「どうしてあんなに怒っているのか、なんてくだらない質問するんじゃないよ。ここを何処だと思ってるんだい。リアの言った通り、ここは〈
「確かにそれはそうですが……」
五級以上の魔物が当たり前のように跋扈する、最果ての森。その危険性は重々承知している。だからこそオルトもこの場所へと付いて来る事を選んだのだ。
だが、天真爛漫でどこか抜けた性格をしているらしい少女であるリアが、何故あのように豹変してしまったのか。オルトにはそれが理解できなかった。
ジークベルトとオルト、そして直接怒気を向けられたアークが呆然とする中、ジネットは呆れたようにじろりとオルトとジークベルトを睨めつけた。
「呆れたもんだね。ここが何処だか分かっていて、それでもあの子の怒りが理解できないかい。平和ボケしてるってのは間違ってないみたいだね」
溜息交じりにジネットは続けた。
「ここがただの訓練場だったなら、リアだって真剣にはならないだろうさ。でもね、この場所であんな態度――それも、この中で一番弱い小僧が、戦いに対して見せた姿勢があれだ。それがリアには、許せないのさ」
一度落とした命だからこそ、リアは命に対して強い想いを抱いている。
初めて外に出た三年前のあの日、魔物を殺した。
銀珠を使った移動で気持ちが昂ぶっていたおかげもあって、そこに囚われるような真似はせずに済んだのは幸いだったが――あの日の夜、リアは理解したのだ。
もしも自分が間に合わなかったのなら、ジネットやナゼスを生きる人達は死んでいたのかもしれない。それを止める事ができたのは嬉しかったが、同時に自分の力はまだまだ未熟であり、もっと強大な敵が出てきていたのならどうなっていただろうか、と。
この世界はかつて自分が、梛野凛空として生きていた世界とは違う。
魔物という危険な生物も多く、命は軽い。死が近く、だからこそ生きる為にも、大事なものを守る為にも、必然的に強さは必要となってくる。
だからこそ、リアは天真爛漫な性格こそは変わってはいないものの、その裏で戦いや力に対しては貪欲でもあった。自ら魔法を学びたいと申し出た頃は、まだ漠然と魔法に対して憧ればかりが強かったが、三年前の一件を機に、その根源となった想いは大きく変化している。
――守る為の力がほしい。
病床に伏し、何もできなかった前世の悔しさは今でも確実にリアの中に根付いている。
父や母、姉の苦しそうな、それでも気を遣って笑みを浮かべてくれていたあの日々を、決して忘れたりはしない。
しかし、今は当時とは違う。
自ら選び取れるというのなら。その手で掴み取れるというのなら、その為の努力を惜しむつもりはない。
そのせいもあって、こと戦闘面においては幾度となくジルやティア、ジネットに無茶をするなと口を酸っぱくして言われるという事件もあった程だ。
マリーナや他の者達との手合わせでは、確かにお互いに弛緩した空気を纏って戦う事もある。しかしそれは、あくまでも技術の向上だけを目的にしたものであると割り切っているに過ぎない。
事実として、それぞれに手合わせの中で新たな技を思いつき、それを実戦レベルにまで引き上げる事も珍しくはない。そうした発見もあるからこそ、手合わせの最中に意図的に動作を確認し合うような戦い方になるのは当然と言えた。
それに比べて、アークのそれは決定的に違っていた。
向上心も気迫も感じられず、気持ちを切り替える事すらできていない。
リアとマリーナの手合わせを見ていたにも拘わらず、どこかで侮っていたのだろう。銀珠が――魔法がないのなら、純粋な剣技のみならば自分ならば勝てるという過信と、”一般的に見て強い”という現実が、アークを増長させてきた。
しかし、危険の少ないただの練習と、命を賭した魔物との戦い。
その違いを知るリアにとってみれば、アークのそれはあくまでもおままごとの延長のようにしか見えなかった。怪我こそすれど死なない前提でしか戦った事もなく、危険を知ろうとすらしていない。
その姿勢は、リアにとってみれば命を軽んじているように見えてならなかったのだろうとジネットは推測しており、事実リアはアークの態度に強い怒りを覚えたのだ。
「あの子は根っからの天真爛漫で、真っ直ぐな性根だ。だから余計に、戦いに対しても真摯であろうとしているのさ。私の張った結界の外に一歩でも出れば、即座に魔物達が襲ってくるような場所で生きてきたあの子は、あんた達と違ってそれをよく理解しているのさ」
もう話す事は何もないとでも言いたげに立ち去るリアの背を見つめながら、呆然とする一同を前に、ジネットは「今日は帰るんだね」と短く一言だけ告げてリアを追いかけていくのであった。
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